【この記事の執筆者】
相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。
こんにちは。相続専門税理士の橘です。
相続税の税率は何パーセントかというと、ずばり最低10%から最高55%です!
これが↓国税庁から公表されている相続税の税率表です。
この表を見た人のほとんどは・・・
と、感じると思います。
では早速、先ほどの税率表を見ながら、相続税を計算してみましょう。
例えば、財産1億円を持っている人が亡くなってしまったとします。相続人は子供1人だったとします。
そうすると、1億円以下の税率は30%で、控除額というのが700万あるから・・・
1億×30%-700万=2300万‼これが相続税か‼たけー‼
と思いきや・・・
正解は・・・
1220万円です‼
実は、相続税は、遺産の金額にダイレクトに税率をかけて計算するわけではないのです。税率をかけるまでには様々なプロセスがあるので、皆さんが思っているより相続税はだいぶ少なくなると思います。
国税庁のホームページに、相続税の税率の解説がありますが、これを読んで一発で理解できる人は天才です。普通の人は理解不能だと思います。チャレンジ精神旺盛な人は試しに読んでみましょう。(旺盛じゃない人は読み飛ばしましょう)
出典:国税庁
今回は、正しいけど難しい表現の解説となってしまっている国税庁の代わりに、私が相続税の税率をわかりやすく解説いたします‼
相続税の税率をかけるまでには、3つのステップがあります。
1.亡くなった人の遺産の時価を集計します
2.そこから、基礎控除という、皆さん一律に引ける金額を引きます(基礎控除を詳しく知りたい人はこちら)
3.基礎控除を引いて余った部分を、各相続人が、仮に法定相続分で相続したものとみなして、各相続人に配分します
そして、その配分された金額に相続税の税率をかけて、相続税を計算します。
そして、各相続人ごとで計算された相続税を合計して、家族全体での相続税を計算します。
そして家族全体での相続税を計算し終わった後に、今度は、各相続人が実際に相続した割合に基づいて、相続税を分配し、この金額をそれぞれの相続人が納税することになります。
と、このような非常にまどろっこしいプロセスを経て相続税は計算されます。
何故このような面倒くさいやり方にしているかなどは、こちら↓の動画や記事に詳しく書きましたので、ご興味ある方はご覧くださいませ。
相続税の計算は誰でも自分でできる!しかも超簡単です。相続税の計算方法を日本一わかりやすく解説しました。
税率表に書いてある、この控除額とは、一体どういう意味があるのでしょうか?
これ、実は、ただの便利機能なんです。深い意味はありません。素早く相続税を計算するために作られたものです。
本来、相続税の計算は、財産額の段階ごとに税率をかけていき、その合計額を集計して計算するという、非常に面倒くさい方法によって計算されます。
例えば、財産1億円、相続人1人というようなケースであれば、遺産1億円から基礎控除3600万を引いた6400万に、各段階に応じた税率をかけていきます。
まず、3600万からプラス1000万までの部分は相続税が10%(1000万×10%=100万)
そこからプラス2000万までの部分は相続税が15%(2000万×15%=300万)
そこからプラス2000万までの部分は相続税が20%(2000万×20%=400万)
そこから最後の1億円までの部分には相続税が30%かかります。(1400万×30%=420万)
これを全て合計すると・・・
100万+300万+400万+420万=1220万となります。図にすると↓のような感じです。
これだと、計算するのが大変なんです!何回電卓叩かなくちゃいけないの?
そこで相続税の計算を簡単にするための便利機能、控除額を使います。
まずは下の図をご覧ください。
小学校の頃の算数の時間を思い出していただきたいのですが、最終的に計算したいのは、ピンク色の相続税の金額です。
この相続税の金額を計算するために、まず、赤い枠で囲まれた部分の金額を計算します。
6400万×30%=1920万円です。
そして、赤い枠から、水色のボックスを引いた金額が相続税となります。この水色のボックスこそが、控除額です。30%の税率まで財産がある場合には、控除額は700万円となります。
1920万から控除額700万を引くと、あら不思議!!
1220万円となり、先ほど計算した相続税と一致します!
このように、控除額を使うと、相続税の計算が非常に楽になります。
6400万×30%-700万=1220万円です。電卓を一回叩けば計算できますね♪
平成27年1月1日より、相続税の税率が引き上げられました。
平成26年までは40%とされていた、2億円から3億円までの財産に対する税率が45%に引き上げられ、50%とされていた最高税率が55%に引き上げられました。
改正前と改正後を比べると次の通りです。
2億円までの財産にかかる税率は変わっていませんので、影響を受けたのは、かなりの富裕層だけということになりますが、「増税するなんて最低だー」と思う人も多いと思います。
しかし、過去の歴史を振り返ると、昭和62年までの相続税の最高税率は75%です‼平成14年までも最高税率は70%でした。過去の相続税改正の歴史をご覧ください。
出典:財務省
実は、相続税の改正の歴史を見ていくと・・・
今後、どのように改正されていくかの予想ができます‼
注目すべきは、昭和63年と平成4年と平成6年の改正です。この時、立て続けに相続税が改正されていますが、いずれも基礎控除の引き上げ、相続税率の引き下げと、納税者にとって有利な改正がされています。
この時代にどのような背景があったのでしょうか?
答えは・・・
バブルです!
バブル景気によって、不動産の地価が高騰し続け、相続税が払えない人が続出したのです。さらに追い打ちをかけるようにバブルが崩壊し、相続税が払えない人がより一層増えてしまったのです。
このままじゃいかん!ということで、当時の政府は立て続けに相続税を引き下げて、当時の国民の負担を軽くしようとしたのです。
と、ここまではいいのですが、近年のアベノミクスにより景気が回復してきました。失われた20年長かったですね。
この景気回復をうけ、政府はこう考えたわけです。
という背景があり、平成27年に基礎控除の引き下げ、相続税率の引き上げが行われました。
しかし、いつの時代であっても増税というのは国民から非常に大きな反発を買います。
そこで、政府の考えることは、いつも同じ!
増税するなら・・・
ちょっとずつ‼
消費税でも、タバコ税でもそうですよね。いきなり大幅にあげるのは大変なんです。そのため、増税を行う時は、ちょっとずつ行います。
この流れを考えると、昭和62年並みの相続税に戻したいのであれば、今後もちょっとずつ増税していく流れが予想できます。
相続税の税率は、亡くなった人の遺産に直接かけるわけではありません。
法定相続分で仮に相続したものして配分された金額に、税率をかけていくというややこしい使い方をします。
また、税率表に書かれている控除額は、何かの特典で控除してくれるというわけではなくて、ただの便利機能です。控除額を使うと簡単に相続税が計算できるので便利なのです。
現在の相続税の最高税率は55%で、凄く高いなーと感じるかもしれませんが、過去の歴史からするとまだまだ低いです。今後も上がっていく可能性は十分にありますね。
ただ、一方であまり知られていないのは、現在、贈与税は減税のトレンドで税制改正が行われています。生前贈与を活発化させて景気を促進したいという狙いがあるわけです。
相続税は増税!贈与税は減税!この流れにうまく乗っかって、みなさんの大切な財産を守っていきましょー♪
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2019年10月より相続税でも電子申告が可能になります。
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2019年6月18日更新
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