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  • 【贈与税改正2024】いつから相続贈与一体化?暦年110万非課税は廃止へ!

2022年12月16日、令和5年度の税制改正大綱が発表されました!

上記のYouTubeに最新情報をまとめていますので、もしよければご覧ください。

相続税と贈与税が、大きく変わるって聞きました!

こんにちは、円満相続税理士法人の橘です。

2022年12月16日、令和5年度税制改正大綱が発表されました!

今回の改正は、非常に大きな改正になります。

まず、要点を先にお伝えすると、

暦年課税は3年内加算から7年内加算へ(2024年1月1日以降の贈与に適用)

7年内加算の適用対象者に変更なし!孫への贈与は、これからも節税効果大!

相続時精算課税制度に110万の非課税枠が新設!2024年からは暦年課税より精算課税の方が有利⁉

こちらの3点について、詳しく解説していきますね。

今回の記事では、日本一売れた相続本の作者である私が、巷で噂の相続・贈与の一体化について解説していきます。

最後までお読みいただければ、税制改正に向けてとるべき行動が明確になり、よりよい相続対策ができるようになりますよ♪

税制改正の本文

まずは、本文をそのまま紹介します。難しい文章なので、読み飛ばしても問題ありません。この次にわかりやすい要約文を載せています。

 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。
 一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、格差の固定化につながりかねない。
 このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。
 今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では、家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

令和4年度税制改正大綱はこちら

わかりやすい要約文

高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

日本って、高齢者がたくさんお金もってるよね。これが若者世代に渡れば、若者はお金をたくさん使うから、景気が良くなって皆ハッピー

一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、格差の固定化につながりかねない。

ただ、相続税と贈与税を無くしてしまうと、お金持ちの子孫は、代々ずっとお金持ちで、ずるいよね。お金持ちとそうじゃない人をシャッフルするのが相続税と贈与税の役割なのさ

このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。

相続税と贈与税がもつ、シャッフル機能をキープしつつ、若者世代に早くお金が渡る仕組みを作るのが大事だよなぁ

わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。

今の日本の相続税と贈与税って、別々の制度として独立してて、贈与税は割と高めに設定してるんだよね

このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある

そのため、将来的に、相続税のかからない世帯や、かかったとしても少しだけの世帯の人にとっては、110万を超える贈与をして贈与税払うのはもったいないから、贈与をしない人が多いんだよなぁ~

一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。

だけど、将来的に相続税が、がっつりかかる富裕層にとっては、小まめに分散して贈与すれば、相続税よりも贈与税の方が安くなるから、めっちゃ節税できちゃってるんだよね!

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

アメリカとかヨーロッパは、贈与で財産渡しても、相続で財産渡しても、最終的には同じ金額の税金になる仕組みになってるんだよね。日本も真似して、そういう形にしたいな~

あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では、家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

あ、あと教育資金の一括贈与。この制度も、すごい節税になるので、お金持ちとそうじゃない人のシャッフル機能を邪魔してるよね。見直ししないとあかんな~

と、このようなことを言っています。

3年内加算から7年内加算へ

現行【生前贈与の3年内加算ルール】

現在の税制では、3年内加算のルールというものが存在します。

これは、生前贈与をしてから3年以内に亡くなった場合、相続税の計算上、3年以内に贈与した財産も加算して相続税を計算する、というルールです。

3年内加算(相続税)

相続開始直前に駆け込みで贈与することによる節税を防ぐためのルールです。詳しくはこちらの記事で解説しました。

≫贈与の3年内加算とは何ぞや?

日本では、この持ち戻し期間は3年間なのですが、アメリカやヨーロッパでは、もっとこの期間が長いのです。

外国の持ち戻し期間は日本より長い

例えば、アメリカの税制を見ていきましょう。

アメリカの相続税(遺産税といいます)の最大の特徴は、『統一移転税額控除』という非課税枠です。

これは、贈与で財産を渡す場合も、相続で財産を渡す場合も、同じ非課税枠でカウントし、その非課税枠を超えた場合に課税する、という仕組みです。

アメリカ遺産税(統一移転税額控除)

つまり、アメリカの持ち戻し期間は、一生涯!ということになります。

他の国の持ち戻し期間は、次の通りです。

イギリス➡7年

ドイツ➡10年

フランス➡15年

諸外国と比較すると、日本の税制は3年間だけの持ち戻しなので、その点については優遇されているのかもしれません。そして、この点について

諸外国を参考にしつつ、相続税・贈与税のあり方を見直します

と発言しており、日本の相続税も2024年1月1日以降の生前贈与から、3年の期間を7年間に延長することが決まりました!

2024年1月1日以降の贈与は7年間

まずは令和5年度税制改正大綱の本文を紹介します。

相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用する。

つまり、令和6年(2024年)1月1日以後の贈与については、現行の3年内加算を7年内加算に延長する、ということを言っています。

具体例で7年期間を確認しましょう

この度の税制改正のイメージ図は、こちらです。

2024年1月1日に生前贈与をした人を前提に解説していきます。

例えば、上記の人が、2027年7月1日に亡くなったとします。

この場合、本来3年内加算のルールであれば、遡る期間は2024年7月1日まで。つまり、2024年1月1日は加算対象にはなりませんでした。

しかし、新しい7年ルールが適用されますので、2024年1月1日~2027年7月1日までが遡り期間となります。結果として、このケースでは遡り期間は3年6ヶ月ということになります。

例えば、2030年7月1日に亡くなったとします。

この場合も同様に、2024年1月1日~2030年7月1日までが加算対象となります。結果として加算期間は6年6ヶ月。

それでは、2031年7月1日に亡くなった場合はどうでしょうか?

この場合は、2024年7月1日~2031年7月1日までの丸7年が加算対象となります。そのため、2024年1月1日に行った贈与であれば、加算されることありません。

このように、2024年1月1日以降に行う贈与については、段階的に期間が延長されていき、2031年1月1日からは完全に7年間の加算期間に移行することになります。

延長された4年間の贈与は100万円を控除

この度の改正によって延長された4年間に行われた贈与については、総額100万円までは相続財産に加算しなくてもよいこととされました。

これは、あくまで総額で100万円なので、毎年100万を引けるわけではありません。

この取り扱いの趣旨は、

過去に受けた贈与の記録・管理に係る事務負担を軽減させましょう

ということのようです。

まぁ確かに、7年も前の贈与を正確に覚えておくのは大変ですからね。

加算対象者に変更なし

富裕層が、生前贈与で相続税を節税しているのは、けしからんよね

税制改正大綱から読み取れるお国のスタンスは、生前贈与による節税に対して、かなり否定的です。

相続・贈与一体化の目的の一つに、『贈与による節税効果をなくす』、というものがあります。

そのことを鑑みると、贈与による持ち戻しの対象に孫や曾孫が含まれるように改正されると、私は予想していました。

しかし、この点に税制改正は行わないことが決まったのです!

え?むしろ今は、孫や曾孫への贈与は、3年内加算のルールから外れているのですか?

実は、そうなんです。

現行の3年内加算のルールの対象者は、『相続または遺贈により財産を取得した人』とされており、ざっくりいうと、相続人に対する贈与に限定されているのです。

つまり、孫や曾孫に対する贈与は、原則として3年内加算のルールが適用されないのです。

そのため、

お父さんが亡くなってしまいそう!
私への贈与は3年ルールになるけど、私の子(孫)への贈与なら大丈夫よ。
お父さん、孫への贈与お願い!

りょ、了解じゃ…

という、ギリギリ贈与による節税が可能です。

孫への贈与は規制されると思っていたのですが、意外でしたね。

今後も引き続き、お孫さんのいる方は、積極的に贈与をしていきましょう。

相続時精算課税の基礎控除(新設)

一生涯、持ち戻し…。代わりに贈与税は課税しない…。これって今ある、相続時精算課税制度と同じですよね?

勘の良い方は気づいたと思います。

実は、相続・贈与一体化とは、現行の相続時精算課税制度、そのものを指しています。

相続時精算課税制度とは、贈与するときは2500万円まで非課税としますが、その方が亡くなった時には、贈与した財産も相続財産に足し戻して、相続税を計算してくださいね、といった制度です。

この制度は、一度、使うことを選択した場合には、贈与したのが20年前でも30年前でもさかのぼります。

≫相続時精算課税をわかりやすく解説

現在の制度では、この相続時精算課税制度を使うか、年間110万円までのオーソドックスな贈与税の形をとるかは、選択することができます。

2023年は最適額の生前贈与をすべし

2024年1月1日から7年内加算のルールが始まります。

裏を返せば、2022年、2023年までは110万円までの贈与は現行のルールが健在なので、その期間中にできるだけ贈与した方が良いでしょう。

期間が限られているとしたら、最大限節税ができる金額の贈与をするのがオススメです。

最適な贈与額の計算は、こちらの記事をお読みください。

≫贈与税は払った方が得!

最も影響を受けるのは庶民世帯

贈与による持ち戻し期間が現行の3年から7年と延長された場合に、最も影響を受けるのは、財産額が基礎控除ギリギリ超えるか超えないかといった、いわゆる庶民世帯です。

これまでは、基礎控除をギリギリ超えそうであれば、子や孫に110万の贈与を数回するだけで、財産額が基礎控除を下回り、結果として、相続税がかからずに済みました。

しかし、相続・贈与一体化により、持ち戻し期間の延長されれば、贈与によって財産額を圧縮することができなくなり、結果として相続税申告が必要になるでしょう。

また、持ち戻し期間が延長になれば、当人たちが、自分たちでしっかりと忘れないように、贈与額を管理する必要があります。

≫相続税の基礎控除とはいくら?

税制改正後の節税方法

相続贈与の一体化がされた後も、贈与による節税ができなくなるわけではありません。

価格が暴落しているものを贈与する

例えば、時価が一時的に暴落しているような上場株式があれば、その時にまとめて贈与をする。

相続財産に足し戻されるのは、贈与した時の価格となるため、暴落している時の価格でフィックスすることができます。

収益を生むものは早めに贈与する

継続して収益をうむ、アパートや株式投資信託を、早い段階で子や孫に贈与する。

元本そのものは相続財産に足し戻されますが、贈与した後に発生する家賃や配当金は、贈与を受けた子や孫のものとなります。結果として、高齢世代の財産を膨張させず、将来かかる相続税の上昇を抑える効果があります。

その他の相続税の節税対策

生前贈与による節税ができなくなったしても、他にもできる相続税対策はたくさんあります。是非、こちらの記事もお読みくださいませ。

まとめ

相続税と贈与税が一体化されたら、これまでの相続対策の形が大きく変わります。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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