こんにちは、相続専門税理士の橘です。

夫婦のどちらか一方の方が亡くなってしまうことを一次相続といい、その後、残された方が亡くなってしまうことを二次相続といいます。

一次相続 二次相続

平均余命からすると男性の方が先に亡くなってしまうことが多いですが、夫が亡くなってしまった時に、妻が相続する財産に多額の相続税が課税されてしまうと、今後の妻の生活に大きく支障がでてしまいます。

そもそも、夫婦の財産は、夫婦が長年協力して築き上げたものです。そんな財産に相続税を課税するのはあんまりです!

と、いう趣旨のもと、夫婦間の相続には、最低でも1億6000万円まで相続税を課税しない、配偶者の税額軽減という制度があります。

ちなみに・・・

よく相続税の配偶者控除といわれるけど、正式名称は配偶者の税額軽減だワン!

正確にいうと相続税には配偶者控除という制度はなく、配偶者の税額軽減が正しい名称です。まぁ、制度の名前はそんなに重要ではありません。

横道にそれましたが

夫婦間の相続は最低でも1億6000万まで相続税が課税されないのです!

この話をすると非常に多くの人から、次の質問を受けます。

私の財産は1億6000万もないから、妻に全財産相続させたら相続税は0円になるの?

答えはどうなると思いますか?

その通り!お持ちの財産が1億6000万以下の人が、配偶者に全ての財産を相続させた場合、相続税は0円になります。

夫婦間の相続は最低でも1億6000万まで無税なので、配偶者に全財産を相続させれば、結果として相続税が0円になることもあるのです。この話をすると多くの人が次に考えるのは・・・

だったら、私が全財産を相続するわ!相続税0円なんて心配して損したわ

しかし、残念なことに、この方法が結果として、最も相続税を増やしてしまう可能性が高いのです!

今回は、配偶者の税額軽減の基礎知識から、相続税対策の最大の落し穴を解説します。

配偶者は一体いくらまで非課税になるの?

配偶者は最低でも1億6000万まで相続税が非課税になりますよ、とお伝えしましたが、正確にいうと・・・

配偶者は、法定相続分と1億6000万円のいずれか多い金額まで、相続税が非課税とされています。

よく意味がわからないので、わかりやすく説明してください。

ご安心ください。私も初めて聞いたときは「??」となりました。

これは事例を使って解説した方がわかりやすいので、早速事例を見ていきましょう。

例えば、財産を2億円持っている人がいたとします。この人が亡くなってしまった時に、妻はいくらまで相続税が非課税になるか考えていきましょう。

『法定相続分と1億6000万円を比べていきます』とお伝えしましたが、妻の法定相続分は全財産の2分の1(子がいる場合)です。つまり半分ですね。

※法定相続分とは、遺産の分け方の目安として国が定めた割合です。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

亡くなった方は2億円の財産を持っていたので、妻の法定相続分は1億円です。この1億円と1億6000万円を比べてみましょう。

どちらが多い金額になりましたか?

1億6000万円ですよね!

このことから、2億円の財産を持っている人が亡くなってしまった場合には、妻は1億6000万円まで相続しても相続税がかからないということになります。

配偶者の税額軽減1億6000万まで無税

では続けて、4億円の財産を持っている人の事例で考えてみましょう。

4億円持っている人の奥さんは、いくらまで相続しても相続税が課税されないでしょうか?

ちょっと考えてみましょう‼

わかりましたでしょうか?

では、一緒に計算していきましょう。

まず、4億円の法定相続分(2分の1)は2億円です。この2億円と1億6000万円を比べてみましょう。どちらが多い金額になりますか?

2億円ですよね!

このことから、4億円の財産を持っていた人が亡くなってしまった場合には、奥さんは2億円まで相続しても相続税が課税されない、ということになります。

配偶者の税額軽減(相続税)

このように考えると意外と簡単に理解できますよね。

改めてお伝えすると、配偶者は1億6000万円か法定相続分のいずれか多い金額まで相続しても相続税がかかりません。

上の伝え方が正しい形なのですが、とても覚えにくいですよね。

そこで、私がオススメする覚え方はこれです。

配偶者は最低でも1億万6000万円までは絶対に相続税かかりません!

これで覚えるのが一番です!

相続税0円でも相続税の申告は必要

母に全財産を相続させれば相続税0円ですよね?だったら相続税の申告もしなくていいですよね?

いいえ!たとえ相続税が0円だったとしても必ず相続税の申告はしないといけません。申告をしないと非課税にしてもらえなくなる可能性があります!

国税庁のホームページにも、『この制度の対象となる財産には、隠蔽又は仮装されていた財産は含まれません。』とばっちり明記されています。注意しましょうね。

配偶者の税額軽減(隠ぺい行為)

国税庁のホームページ(配偶者の税額軽減)はこちら

配偶者に全額相続させると不利になる理由

私が全財産を相続すれば相続税は0円になるのに、なんでそれが一番損になるのよ?

夫婦の間では最低でも1億6000万まで相続税がかからないなら、最大限それを使った方がお得に決まってるじゃない!

と思う人も多いと思います。

しかし、ここが相続税の最大の落し穴といって過言ではありません。配偶者の税額軽減があるからといって、必要以上の金額を配偶者に相続させてしまうと、結果として損をしてしまう可能性が非常に高くなるのです。

それはなぜかというと・・・ 

一次相続で配偶者がたくさん相続すれば、確かにその時の相続税は少なくなります、ただ、問題になるのは・・・

二次相続の相続税です!

一次相続で配偶者が多くの財産を相続すると、次に、その配偶者が亡くなった時の相続税が高くなります。

一見当り前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、実は、多くの人が次のことを知らないのです。

一次相続と二次相続とでは、仮に、同じ金額の財産を相続する場合でも、圧倒的に二次相続の時の方が、相続税が割高になるのです。

一次相続と二次相続の相続税を合計すると、一緒になるわけではありません。二次相続の時の方が税金が割高になります。そのため、二次相続で夫婦の財産をまとめて子供に相続させようとすると、相続税が非常に高くなります!

一見お得そうに見える配偶者の税額軽減ですが、夫婦でどれくらい相続させあうかは慎重に考えないといけないのです。

二次相続の方が、相続税は圧倒的に割高になります。同じ金額がスライドするわけではないので注意しましょう。

二次相続の税金が割高になる理由

なぜ、二次相続の時の方が割高になるのか、その理由は二つあります。

二次相続は相続税が割高になる
二次相続は要注意

【理由1】配偶者が元から所有している財産

二次相続の税金が高くなる原因は、相続税の税率の仕組みにあります。

相続税の税率は、財産が増えれば増えるほど、その税率もあがる構造(累進税率)がとられています。最低10%から最高55%までの税率があります(ちなみに平成27年から相続税率が引き上げられました!)。

相続税の税率

ここでポイントになるのが、奥さん(配偶者)がもとから所有している財産です。

奥さんも奥さんで、ご主人から相続する前から自分自身の財産を持っている人も大勢います。

奥さんが現役時代に働いて貯めたお金かもしれませんし、奥さんがご両親から相続した財産かもしれません。

既に財産を持っている奥さんが、ご主人から全財産を相続すると、その時の相続税は0円になりますが、相続した後の奥さんの財産は非常に大きくなってしまいます。

この状態のまま奥さんが亡くなってしまうと、相続税の税率が非常に高くなってしまうのです!

一次相続で子供に財産を相続させた場合
二次相続でまとめて子供に財産を相続させた場合
まとめて相続させると税率が高くなる

夫婦間で相続させすぎると2次相続の財産額が大きくなってしまう。財産額が増えると、相続税の税率が高くなってしまう。これが一つ目の理由です。※相続税の税率について詳しく知りたい人は↓の記事もご覧ください。

【理由2】相続人の数が一人少ない

一つ目の理由より、二つ目の理由の方が圧倒的に影響が大きいです。

その理由は、相続人の人数にあります。

先ほどのご家族におかれましては、一次相続の相続人は何人いましたでしょうか?

相続人は3人です。

相続人は3人
一次相続

それでは二次相続の時は、相続人は何人になりますでしょうか?

相続人は2人になります。

相続人の数が1人減るのです。

相続人の数が一人減る
二次相続では2人

この『相続人が1人減る』ということが、相続税を大幅に増加させる最大の原因です。

ここでは詳しくお伝えしませんが、相続税の計算は、相続人の数に基づいて計算されています。

ここで重要なポイントは、相続税は相続人が多くなるほど少なくなるという性質を持っていることです。

裏を返すと、相続税は、相続人の数が1人減るだけで、跳ね上がるという性質を持っているということです!

実際の金額で検証してみましょう

この2つの理由が組み合わさると、どれだけ相続税が高くなってしまうか、実験してみましょう。

例えば、1億円の財産をもった父と、5000万円の財産をもった母、子供が2人いるご家族だったとしましょう。

夫婦間でまったく相続しなかった場合(0%)から夫婦間で全て相続した場合(100%)の相続税の推移は次のようになります。

妻が全く相続しない場合(0%)、一次相続の相続税は630万円、二次相続の相続税が80万円、合計710万円です。

一方、妻が全ての財産を相続した場合(100%)、一次相続の相続税は0円、二次相続の相続税が1840万円、合計1840万円になります。

一次二次を合計すると、0%と100%で3倍近く変わりました!いかに二次相続が割高かお分かりいただけたと思います。

ただ、実際には残された人が今後どれだけ財産を使うかによって、上記の結果は変わってきます。そのため、夫婦間でどれだけ相続させあうかは、慎重に考えなければいけないのです。

まとめ

夫婦間の相続においては最低でも1億6000万円まで相続税はかかりません。

しかし、節税対策になると思って、必要以上に相続させすぎると次の相続で非常に割高な相続税を払うことになります。

私は普段、相談者さんに対して、

一次相続では、奥様が『今後これだけあれば安心して暮らしていける』と思える金額を相続してください

とお伝えしています。

確かに相続税のことも大切ですが、一番大切なのは、残された人の今後の生活です。

いずれにしても夫婦間の相続というのは税金のことまで考えて慎重に検討する必要がありますね。遺言書の作成や、遺産分割のご相談、いつでもお受けしています。是非お気軽にご連絡ください!

最後になりますが、私たちが発行するメールマガジンに登録いただくと、税制改正速報や税務調査のマル秘裏話などの情報を発信しています♪必ずお役に立つと思いますので、登録していただけたら大変うれしいです(*^-^*)最後までお読みいただき、ありがとうございました!

円満相続ちゃんねる

税務調査の裏話を、ぶっちゃけ公開中

死亡直後にやってはいけない相続手続き6選

税制改正等の最新情報を
タイムリーに配信中!

無料

メルマガ or LINE公式アカウント登録で
1万円値引きキャンペーン実施中!

※当キャンペーンは予告なく終了しますが、今ご登録いただいた方は、未来永劫1万円割引の対象となります。

メールマガジン登録

氏名
メールアドレス
年代
都道府県
当サイトの個人情報の取り扱いについて

同意する

LINE公式アカウント登録

友達追加する

※メルマガとLINE公式アカウントは違う情報を配信しております。

さらに今なら下記のプレゼントを進呈中!