
今月のニュース
冬の出張相談会 12月開催のお知らせ(関西地域)
大阪事務所の北尾です。
円満相続税理士法人では、下記の通り「冬の出張相談会」を開催いたします。
相続が発生しており、かつ申告のご依頼を検討している方を対象に、税理士による個別相談を無料で承ります。
◆開催エリア
京都/神戸/姫路/奈良/和歌山/高松
◆ 日程
京都:12/19(金)
神戸:12/2(火)
姫路:12/12(金)
奈良:12/1(月)
和歌山:12/8(月)
高松:12/5(金)
◆面談時間
9:00〜18:00(1時間30分程度・事前予約制)
定員に達し次第、受付を締め切らせていただきます。
お早めのご予約をお願いいたします!
相続人が未成年の場合の「未成年者控除」と「特別代理人」【税のトピック1】
東京事務所の鈴木です。今回は、相続人が未成年者の場合の制度と注意点をわかりやすく解説します。
未成年者控除とは?
「未成年者控除」とは、相続人が相続開始の時点で18歳未満である場合に、相続税額から一定額を控除できる制度です。
これは、未成年の相続人がまだ自分の生活を維持する力が十分でないことを考慮して、税負担を軽減する趣旨で設けられています。
控除額の計算方法
控除額は以下の計算式で求めます。
(18歳 − 相続開始時の満年齢) × 10万円
たとえば、相続開始時に15歳の子どもが相続人の場合、
(18歳-15歳)×10万円=30万円
この30万円を相続税額から控除できます。
適用要件
未成年者控除を受けるには、以下の要件を全て満たす必要があります。
相続または遺贈により財産を取得していること
相続開始時点で18歳未満であること
法定相続人であること(養子含む)
日本国内に住所があること(一部例外あり)
控除しきれない場合は扶養義務者に引き継ぎ
相続人本人の相続税額が少なく、未成年者控除を使いきれない場合、
残りをその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
なお、この場合の扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。
実際に扶養しているかどうかは問われず、兄弟姉妹でもOKです。
未成年者が相続人のときの「特別代理人」選任
相続人に未成年者が含まれる場合、遺産分割協議の際に「特別代理人」を選任しなければならないことがあります。
これは、親が未成年者の法定代理人(親権者)である一方、相続においては親自身も相続人になることが多く、「親と子が同じ相続財産の分け方を協議する」という利益相反が生じるためです。
その場合、家庭裁判所に申し立てを行い、親に代わって協議を行う特別代理人を選任してもらう必要があります。
たとえば、父が亡くなり、母と未成年の子が相続人の場合
→ 母は自分の取り分を主張する立場になるため、子の代理人にはなれません。
→ 家庭裁判所に特別代理人を申立て、選任後に遺産分割協議を行います。
この手続きを怠ると、協議が無効になるおそれがあります。
一般的には、成人している親族が特別代理人となるケースが多いですが、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するケースもあります。
また、未成年の相続人が2人以上いる場合には、それぞれ別の特別代理人を選任する必要があります。
なお、申し立てから結果の連絡まで約1カ月かかるといわれているため、相続税の申告期限(10か月)内に特別代理人の選任と遺産分割協協議を済ませるには、早めの対応が重要です。
相続人に未成年が含まれる場合は、私たち税理士や司法書士、家庭裁判所などの専門家へ、お早めにご相談ください。
相続税の申告書は自分で作成できるのか?【税のトピック2】
名古屋事務所の土屋です。今回は共有不動産についてのお話です。
相続税の申告書を自分で作成しようと勉強していらっしゃる方は多いと思います。
お客様の相談でも「私は相続税の申告書を自分で作成するつもりですが、私にできますか?」と聞かれることがあります。
そのお客様がどの程度、知識があるか分からないので一概に答えにくいのですが、相続税の申告は専門性が高いので税理士に任せた方が賢明です、とお伝えしています。
それって、税理士が仕事増やしたいからそう言っているだけじゃないの?
では、何がなぜ税理士に任せた方が良いのか、具体的に説明します。
不動産評価が難解
所得税の確定申告書を毎年、自分で作成している方も多いので、相続税の申告も自分でできると思われるかもしれませんが、相続税の申告は難易度が全然違います。
まず、不動産の評価が難解です。
面積×路線価だけで単純に評価を出せるのはごく一部の不動産に過ぎず、ほとんどの場合、評価単位をどう取るかから始まって各種の減額要素の検討、都市計画法などの法規制の検討、最適な小規模宅地特例の検討、マンションなら区分所有補正率の適用、などが必要です。
専門知識がない一般の方が自分で評価額を算出するには正直言ってハードルが高すぎます。
預金は預金履歴の検討が必要
預金については相続開始日の残高だけを記載して終わり、というものではありません。
預金履歴(又は通帳)を過去10年分、目を通して貸付金・贈与・預け金など相続財産として認識すべきものがないか検討することが必要です。
スケジュール管理が重要
相続税の申告を作成するにあたって、進められるところから進めるのではなく、相続財産全体を見渡して何がネックになるのかを最初に把握する必要があります。
例えば資料収集に時間がかかるもの、誰かの協力を得なければ進まないもの、相続税申告の前に確定させる債務(準確定申告など)、認知症の相続人や未成年の相続人がいれば裁判所で代理人選任手続き、海外居住の相続人がいればサイン証明、などなど最も時間がかかりそうなものから優先的に着手する必要があります。
1次相続と2次相続の最適な遺産分割が分からない
一般の方は1次相続の相続税申告書を作成するのに精一杯で、2次相続を考慮した遺産分割を考える余裕はないでしょう。
その結果、配偶者税額軽減を限度一杯まで適用してしまい、2次相続でかえって多額の相続税が出てしまうという結果になりがちです。
税務調査に選定されがち
税理士が作成していない相続税申告は税務調査になる確率が上がります。
私は税理士になる前には税務署の職員をしていましたが、一般の方が作成した相続税の申告書は何かしら間違いがありました。
専門知識のない一般の方が作成する申告書なので仕方がないのですが、そうは言っても間違いは間違いなので、修正申告を指導していました。
修正申告をする際に申告した納税者は「相続税の申告書は想像以上にやることが多くて難解で、申告が合っている自信がなかったですが、やっぱり修正申告ですか・・・。」と言われることが多かったです。
分からないところは税務署に聞けばよいのでは?
確かに税務署でも教えてくれますが、不十分なものになりがちです。
税務署に相談できるのは事前予約制で特定の曜日に限定されます(たいてい1時間以内)。
相続税を自分で作成するとなると分からないことがたくさん出てきます。
分からないところが出てきた→税務署に相談予約を入れる→税務署で相談する→また分からないところが出てきた→税務署に相談予約を入れる→税務署で相談する→またまた分からないところが出てきた・・・・・・
このペースでやっているとすぐに申告期日(相続開始から10ヶ月後)は過ぎてしまいます。
また、税務署は聞かれたことしか答えてくれません。
税務署は遺産分割については納税者の判断で決めるべきと考えていますので、「こうやって遺産分割した方が節税になりますよ。」などとは教えてくれません。
相続税を自分で作成している方は全体の10%くらいいるらしいですが・・・
確かにそれくらいの割合ですね。
私の現場経験では、その10%の自力申告の方のはほとんどは遺産総額1億円以下でした。
遺産総額1億円以下の方は不動産も少なく、複雑な評価が必要な財産もない場合が多いので、何とか自力で作成できた印象ですね。
逆に、遺産総額1億円以上になると自分で相続税の申告書を作成する方は相当少なく、2億円以上になると皆無に近かったと記憶しています。
まとめ
相続税の申告書の作成は難易度が高いので税理士に任せた方が賢明ですが、次のいくつかに当てはまる方は自分で作成できるかも知れませんので参考までに挙げておきます。
・時間がたっぷりある。
・平日に休みを取れる。
・遺産に不動産がなく、金融資産だけという方。
・不動産はあるが形状がきれいな四角。数も少ない。
・遺産分割協議でもめる心配がない。
・不動産の相続登記くらいなら自分でできる知識がある。
編集後記(橘の日常)
みなさま、こんにちは!税理士の橘です
8月に開講した円満相続塾も早いもので11月8日(土)に最終講義を迎えます。
今回の円満相続塾は、今までのテキストを全て刷新し、非常にパワーアップした内容にしました。
というのも、最近はありがたいことに税理士会からの研修依頼など、税理士さんに対しての講演依頼の機会が増えてきました。
税理士から税理士に税法をレクチャーする際は、きちんと根拠条文までお伝えするのが、暗黙のマナーと思っています。一つの取扱いについて、「実務上はこうなんです」だけではダメで、「相続税法○○条○○項に記載されているため、こうなんです」まで伝えないと腑に落ちませんからね。
ということで、改めて相続税法という法律条文にしっかりと向き合った3ヶ月間でした。
今までは何となく理解していたつもりになっていたことも、条文を深く読み込んでいけばいくほど、理解がより一層深まり、税法がもっと好きになりました。
また、法律を理解するには、その法律が制定された時代の背景を知ることが大切です。それを知ることで、今の時代と適合する制度なのか、それとも、柔軟に変えていくべき制度なのか。そういったことも考えることができるようになります。
法律を扱う専門家として、知識経験を探求していくのはとても大切ですし、とても楽しいことだと感じています。嬉しいことに、税理士業界では非常に有名な出版社から、専門家向けの書籍の執筆オファーをいただきました。来年、実現できるように頑張ります(^^♪
今年も残すところ2ヶ月!最後まで駆け抜けていきましょう♪














