孫養子

相続税対策で、孫を養子しようと思っています。

相続税対策の一つの手段として、お孫様を養子にしたいと考える方は非常に多くいらっしゃいます。

しかし、お孫様を養子にすると、相続人の中に、未成年者が含まれている場合があります。

相続税対策にだけ着目し、お孫様を養子にしたことによって、思わぬ落とし穴に遭遇することがあります。

そんなことを防止するためにお孫様を養子縁組する場合の留意点について、お孫様の養子縁組にも多く関与してきた私が、わかりやすく解説します!

相続人の中に未成年者がいる場合の手続きについては、こちらで詳しく解説をしています♪

孫を養子にする効果

養子縁組をすると、相続税を減らす効果があると考えられるため、この効果を狙って、『よーし、孫を養子にしよう!』と考える人がたくさんいます。

養子縁組をすることによる効果はこちらです。

相続税の基礎控除額が増える

法定相続人の増加による累進税率の緩和

一代飛ばし相続による相続税負担の軽減

しかし、安易な考えからこれを実行してしまうと、「確かに相続税の対策にはなったけど、面倒な手続きが増えてしまった…」となることがあります!

親権が復活しない?!

親権者とは?

親権者とは、子供の監護及び財産の管理について権限を有する人のことをいいます。
監護とは子供の適切な衣食住を確保するために努めること、財産管理とは子供に代わって預貯金の取引をしたり、契約などの法律行為を代理、同意することをいいます。

それでは、具体例を使って、養子縁組をした後の留意点について、解説をしていきます!

養子縁組後の親権者

三郎くんの親権者は、父である二郎さんと母であるB子さんです。
しかし、この度、三郎くんを一郎さんとA子さんの養子とすることにし、養子縁組を行いました。
養子縁組とは、法律上の親子関係を成立させる制度であるため、三郎くんの親権者は、これにより、一郎さんとA子さんに変わることになります。

死亡した場合でも、養子関係は継続されるため親権者がいない状態

ほどなくして、一郎さん、A子さんが相次いでお亡くなりになられました。この時、三郎くんはまだ未成年でした。
当然、実の親である二郎さんとB子さんが存在するのだから、親権は二郎さんとB子さんに戻るのだろうと考えますが、養子縁組をした後に養親・養子の一方が先に死亡した場合でも、養子関係は継続されるため、未成年である孫養子の親権者は養親(一郎さんとA子さん)のままです。実の親である二郎さんとB子さんに親権は復活しません。

つまり、三郎くんには、親権者がいない状態となります。

養親の相続手続きにおいて、三郎くんは親権者がいない状態にあるため、「未成年後見人」を選任するという特別な手続きが必要になります。

未成年後見人

概要


未成年に対して、親権を行う者がいなくなってしまったときに、その未成年者の代理人となる人をいいます。

特別代理人は、親権を行う者は存在するが、その者と利益相反してしまう場合に選任をするものです。一方、未成年後見人は、親権を行う者がいなくなったときに選任するという違いがあります。


そのため、特別代理人は遺産分割協議が終了した時点で、任期が終了するのに対して、未成年後見人は原則、未成年が成人するまで、後見を続けることになり、その間、家庭裁判所の監督を受けるため、定期的な報告を行う必要があります。

未成年後見人になるために、特に資格は必要ありませんが、次の人は未成年後見人にはなれないとされています。

未成年者

家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人

破産者で復権していない人

未成年者に対して訴訟をし、またはした人、その配偶者、その直系の血族

行方のわからない人

未成年者の生活や財産の状況、後見人候補者の経歴や未成年者との関係など、さまざまな事情を考慮し、未成年者の心身の状態や生活の状況に十分に配慮できる人を選任します。

候補者を立てることができるため、三郎くんの場合、二郎さんとB子さんを未成年後見人候補者として申立することは可能ですが、実の親であるからといって必ず許可されるというものではありません。未成年者が多額の財産を所有していたり、多額の死亡保険金などの受領が見込まれたり、未成年者と候補者との間で身上監護や財産管理の方針に大きな食い違いがあるような場合には、弁護士や司法書士といった専門家が選任されます。

申立場所と申立ができる人


未成年後見人の選任は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をします。
申立人になれるのは、未成年者本人(意思能力がある必要あり)、未成年者の親族、その他利害関係がある人です。

必要書類

特別代理人の選任と同様に、未成年者一人につき、収入印紙800円と連絡用の切手が必要になります。

未成年後見人の選任方法

その他、未成年者の財産目録や収支予定表、事情説明書、親族関係図など、家庭裁判所が定める書式に記入を求められることがあります。

未成年後見人選任申立書は裁判所のホームページより入手が可能です。参考に記載例を掲載します!

未成年後見人選任申立書
未成年後見人選任申立書
裁判所ホームページより 未成年後見人選任の申立書 記載例

選任の流れ

一般的な選任までの流れは、下記の通りです。

未成年後見人選任の流れ

一般的に、申立から結果の連絡まで、約3か月かかるといわれています。
こちらも、申立する家庭裁判所の混雑具合によっては、これ以上かかることもありますので、未成年後見人の選任が必要なときは、相続税の申告期限に余裕をもって手続きを開始する必要があります。

死後離縁という方法もある


未成年後見人に選任された場合であっても、親権が戻るというわけではありません。
実の親である二郎さん、B子さんに親権を戻す方法として、死後離縁という方法があります。

こちらも家庭裁判所の許可が必要になります。

申立人は、養子縁組の当事者ですが、当事者が15歳未満の場合、離縁した後にその法定代理人になる者(実の父母など)が、代わって手続きをすることになります。

申立書に加え、養親・養子の戸籍謄本を添付して申立てをします。

ちなみに、死後離縁をした場合であっても、三郎くんは養親である一郎さんとA子さんの相続人であることに変わりはありません。相続権は亡くなった日時点で相続人であったかが基準になるためです。

未成年後見人と死後離縁のまとめ

比較表

未成年後見人と死後離縁のまとめ

実親のネグレクトなどが原因で、養子縁組を行う場合もあります。このような場合には、実親が健在だからといって親権を戻すことが子の福祉になるとは限りません。これが、養親が死亡しても、自動的に実親に親権が戻らない理由の一つでもあります。

しかし、相続対策で養子縁組を利用するような場合には、養親が死亡し、実親が健在のときは、後見人の事務負担や親権者以上に重い財産管理注意義務が課せられている点を考慮して、死後離縁により実親に親権を復活させる方が良いでしょう。

家庭裁判所においても、養親の財産を相続したにも関わらず、養親側の親族の扶養を免れるためや先祖の祭祀を免れるためにするようなものでない限り、死後離縁を許可すべきと考えられています。

いずれにしても家庭裁判所に申立が必要になる

未成年後見人を選任する場合も、死後離縁をする場合も、家庭裁判所に申立をする必要があるため、いずれを選択しても、手続きがいっきに増加します。

ほかにもデメリットがある(2割加算)

孫の養子縁組を検討されている場合には、事前にこちらのブログもお読みください!

まとめ

ご家族皆さんが、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、孫を養子にするという選択をする必要があります!

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