代襲相続とは

私よりも先に子が亡くなってしまった。
私が死んだときには、孫が相続人になるのかの?

円満相続税理士法人の橘です。

事故やお病気により、子が親よりも先に亡くなってしまうことがあります。

この場合、亡くなった子に子(親からすれば孫)がいれば、その孫が相続人になります。

相続する権利が下の代に受け継がれることを、代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

代襲相続

今回の記事では、代襲相続について、日本一売れた相続本の著者である私が、わかりやすく解説していきます。

全パターンを書きますので、目次からご自身の知りたい情報を探してみてください。

それでは早速、解説していきましょう♪

代襲相続はどこまで

ひ孫にも代襲相続される

あまりないケースかもしれませんが、1(親)、2(子)、3(孫)、4(ひ孫)世代いたときに、2(子)、3(孫)の両方が1(親)より先に亡くなっている場合には、1(親)から、4(ひ孫)に代襲相続されます。

これを再代襲といいます。

子の配偶者には代襲されない

例えば、1(親)、2(子)、3(孫)といたときに、2(子)が1(親)より先に亡くなった場合において、代襲相続されるのは、3(孫)だけであり、2(子)の配偶者には代襲相続されません。

数次相続の場合は配偶者も相続人

誤解が多いのが、代襲相続ではなく、数次相続の場合です。

数次相続とは、1(親)、2(子)、3(孫)といたときに、1(親)が先に亡くなり、1(親)の遺産の分け方が決まる前に、2(子)に相続が発生したようなケースをいいます。

この場合、1(親)の遺産を相続する権利は、2(子)の相続人に承継されます。代襲相続と異なり、このケースにおいては、2(子)の配偶者も1(親)の遺産を相続する権利があるのです。

代襲相続とは性質が異なりますので、混同しないように注意しましょう。

兄弟姉妹の場合は、甥姪まで

亡くなった方に子がいない場合には、配偶者と直系尊属(親)が相続人になります。さらに、直系相続(親)も既に亡くなっている場合には、相続人は配偶者と兄弟姉妹です。

相続人が兄弟姉妹となる場合、その兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、甥と姪が代襲相続人になります。

ただ、孫に代襲相続される場合と異なり、甥と姪への代襲相続は、甥と姪までとされています。

つまり、甥と姪の子には再代襲されません

相続人が途方もない人数になってしまいますからね。

胎児にも代襲相続される

1(親)、2(子※男性)といたときに、2(子)が先に亡くなりました。

その後、すぐに1(親)が亡くなりました。

この時、2(子)の妻のお腹の中に赤ちゃんがいました。

この場合、妻のお腹の中にいる赤ちゃん(胎児)に代襲相続されます

相続を考える場合、胎児は出生しているものとみなして考えます。

残念なことに死産だった場合は、胎児に相続権はなかったものとされます。

相続放棄と代襲相続

代襲相続されないケース

父が多額の借金を遺していたので相続放棄する予定です。
私が相続放棄すると、私の子に借金が代襲相続されますか?

1(親)、2(子)、3(孫)といたときに、1(親)から2(子)に対する相続を2(子)が相続放棄をした場合でも、3(孫)に代襲相続されることはありません。

相続放棄をした人は、元から相続人ではなかったと扱われるため、代襲相続されることもないのです。

≫相続放棄を徹底解説

代襲相続されるケース

私の父は借金を遺して早くに亡くなりました。
その時、私は相続放棄をしたのですが、私の祖父が亡くなった時に、私は代襲相続できますか?

1(親)、2(子)、3(孫)といたときに、2(子)から3(孫)に対する相続を3(孫)が相続放棄をした場合でも、1(親)から3(孫)へ代襲相続されます。

あくまで、相続放棄をしたのは2(子)の相続に限られますので、1(親)からの相続には影響を及ぼしません。

代襲相続の法定相続分

代襲相続された場合の法定相続分は、元々の相続人の法定相続分が承継されます。

この際、代襲相続人が複数いる場合は、元々の法定相続分を均等に承継することになります。

例えば、父、母、長男、長女という家族構成だった場合。

長男が先に亡くなり、長男の子(孫)が二人いたとします。

父に相続が発生した場合の法定相続分を一緒に考えてみましょう。

まず、母の法定相続分は2分の1。

長女の法定相続分は4分の1。

代襲相続人である孫二人のそれぞれの法定相続分は8分の1ずつになります。

≫法定相続分とはなんぞや?

代襲相続と遺留分

孫(ひ孫)が代襲相続人となる場合は、子の遺留分を承継します。

遺留分の割合は、法定相続分の時と同様、子の遺留分をそのまま引き継ぎ、代襲相続人が複数いる場合には、子の遺留分を均等に承継することになります。

甥や姪が代襲相続人となる場合は、元々、兄弟姉妹に遺留分はありませんので、甥や姪にも遺留分は承継されません。

≫遺留分とはなんぞや?

代襲相続させない遺言は可能?

代襲相続人の孫の素行が悪いので、代襲相続させたくないです。
遺言で代襲相続させないことはできますか?

遺言で代襲相続を止めることはできません

ただ、特定の代襲相続人に遺産を遺したくない旨を書き遺すことは当然可能です。

しかし、代襲相続人が孫(ひ孫)である場合は、上記で解説した遺留分は遺りますので、その点はどうにもできないですね。

養子縁組があった場合の代襲相続

養子の子(孫)への代襲相続は、養子縁組前に産まれているかどうかで変わります。

養子縁組前に産まれた孫は、代襲相続されません

養子縁組後に産まれた孫は、代襲相続されます

例えば、父、母、子(養子)、孫A(養子縁組前に出生)、孫B(養子縁組後に出生)がおり、子(養子)が先に亡くなったとします。

その後に父が亡くなった際、相続人となるのは、母と孫Bの二人となります。

孫Aは養子縁組前に産まれていますので、父の代襲相続人にはなれないのです。

特別受益と代襲相続

特別受益の義務は承継される?

亡くなった父は祖父から多額の贈与を受けていたようです。
祖父が亡くなった時、私が祖父から贈与を受けたものとして、特別受益の持ち戻しの対象になりますか?

生前贈与で財産をもらった場合、それは遺産の前渡し扱いとなり、相続の時には調整が必要になります。これを特別受益の持ち戻しといいます。

≫特別受益の持ち戻し徹底解説

特別受益の持ち戻し義務も代襲相続人に承継されるかは、学説が分かれているところですが、原則として承継されるという説が有力です。

つまり、亡くなった父が祖父から特別受益を受けているなら、代襲相続人(子)も遺産の前渡しを受けていたものとして、祖父の相続の際に相続できる遺産は減ることになります。

そんなぁ。父は祖父から贈与されたものを使い切ってて、私は全然もらってないんですよ?

代襲相続人が一切に利益を受けていない場合には、特別受益の持ち戻し義務がないとした判例もあります。

弁護士さんに相談しましょう。

代襲相続人になる前の贈与

私は父が生きている頃から今に至るまで毎年、祖父から贈与を受けています。
特別受益になるのは、いつからの贈与ですか?

特別受益の対象になるのは、代襲相続人になってからの贈与に限られます

つまり、お父様がご健在だった頃に祖父から受けた贈与は、特別受益になりません。

代襲相続と相続税

相続人の数

代襲相続人は相続税の計算上、実子や兄弟姉妹と同じカウントで扱われます。

つまり、代襲相続人が複数人いれば、法定相続人の数は増えることになります。

養子縁組の算入制限のようなことはありません。

≫養子縁組の算入制限てなに?

基礎控除

3000万+600万×法定相続人の数

この法定相続人の数は、代襲相続人の数を含めます。

複数の代襲相続人を一人とみなす、というようなことはしません。

≫相続税の基礎控除はいくら?

生命保険の非課税枠

代襲相続人が受け取る生命保険も非課税の対象になります。

500万×法定相続人の数という非課税額の計算上、法定相続人の数に代襲相続人の数に含めます。

複数の代襲相続人を一人と扱ったりはしません。

≫生命保険の非課税枠を徹底解説

代襲相続と2割加算

代襲相続人である孫(ひ孫)が遺産を相続する場合、2割加算は適用されません

一方、甥や姪が代襲相続人となる場合は2割加算の対象になります。

孫(ひ孫)を養子縁組した場合は、原則として2割加算の対象になりますが、代襲相続人である孫(ひ孫)を養子縁組した場合は2割加算の対象とはされません

代襲相続が発生している場合は、相続税を減らすための養子縁組とは言えないための取り扱いです。

≫相続税の2割加算とはなんぞや?

代襲相続と贈与3年内加算

3年内加算の対象者は、『相続又は遺贈により財産を取得した者』とされています。

そのため、代襲相続人として遺産を相続すれば当然3年内加算の対象となります

裏を返すと、代襲相続人であったとしても遺産を相続しなければ、3年内加算の対象からは外れます。

≫贈与の3年内加算とはなんぞや?

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