特別受益とは?時効や改正、持戻し免除を日本一わかりやすく解説しました

2021.06.24

【この記事の執筆者】橘慶太

相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。

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こんにちは。相続専門税理士の橘です。

世の中で非常に多くの相続争いの原因となっているのが、過去に行われた生前贈与の取扱いです。今回も事例を使って解説していきます。

あるところに、1億円の財産を所有する母と、A子とB太郎という子供がいました(父は既に他界)。母は、A子が新居を購入するにあたり、頭金の援助として2000万円を生前贈与しました(この時点で母の財産は1億円から8000万円に減少)。

その後、時は経過し、母に相続が発生します。四十九日も過ぎたころに、A子とB太郎は、母の遺産の分け方について話し合いをすることにしました。A子は言います「お母さんが残した遺産は8000万で、法定相続分は2分の1だから、4000万円ずつ分け合いましょう」

しかし、それに対してB太郎は反論します。「いやいや、姉さんは母さんから既に2000万の生前贈与を受けているだろ?相続でも4000万貰うなら、合計で6000万貰うことになるじゃないか!それに比べて僕は4000万しか貰えない。こんなの不公平だ!」それに対し、A子は反論します。「確かに生前贈与で2000万貰ったけど、生前贈与と相続は関係ないじゃない!遺産8000万は半分ずつよ」

この議論、皆さんはどちらが正しいかわかりますでしょうか?

法律的には、長男の意見に軍配が上がります。

A子さんを始め、世の中の多くの方が、「生前贈与と相続は関係ない」と思っているのですが、実は、法律的には関係大ありなんです。法律上、生前贈与で渡した財産は、遺産の前渡しと考えます。この前渡し分のことを特別受益(とくべつじゅえき)と言います。法定相続分を考えるうえでは、この特別受益を亡くなった時の遺産に足し戻して考えなければいけません。これを特別受益の持戻しといいます。

先ほどの例では、A子が生前贈与で貰った分を持戻して相続分を考えるので、遺産8000万+特別受益2000万=1億円 1億円×2分の1=5000万 A子は既に2000万を贈与で貰っているので、遺産はA子3000万、B太郎が5000万円を相続する形になります。※遺産分割協議の原則は、両者の合意があれば自由に分け方を決めることができます。そのため、B太郎が「先に贈与で貰った分は持戻さなくていいよ」と納得するのであれば、4000万円ずつ遺産を分けても問題ありません。

【特別受益のポイント】

世の中では、この特別受益を巡るトラブルが後を絶ちません。これから生前贈与を検討している方、既に生前贈与をしている方は、是非、この特別受益の基礎知識はしっかりと押さえておきましょう。今回は、特別受益の①対象となる贈与、②時効、③持戻し免除の意思表示、の3点を解説します。

まず、特別受益の対象となる生前贈与についてです。親から子供に援助をしたら何でもかんでも特別受益になるかというと、そうではありません。特別受益は、『親族間の扶養的金銭援助を超えるもの』とされています。わかりやすく大雑把に言い換えると、家族として食費や学費、医療費やお小遣いを与えるのは当り前なのでノーカウント。そういった類を超える大きな贈与を特別受益と扱います、ということです。

具体例を挙げると、子供が新居を購入する際の頭金の援助、婚姻や養子縁組の際の持参金や支度金が代表例として挙げられます。この特別受益の線引きは非常に難しいので、詳しいことは弁護士にご相談ください。

次に、特別受益の時効についてです。実は、特別受益には時効という概念が存在しないのです。極端な話、30年前でも40年前であったとしても、特別受益となる生前贈与を受けている場合には、持戻しの対象になります。※ただ、実際に何十年前の生前贈与を立証するのは非常に困難です。「そんな贈与受けてないよ~」としらを切られてしまえば、それまでになってしまうかもしれませんね。

最後に、特別受益の持戻し免除の意思表示という制度を解説します。通常であれば、親から子供に対して新居の購入費の援助をしたなら、それは特別受益に該当し、遺産分割の際は、持戻して分け方を決めるのが原則です。しかし、もしも、贈与した人が、「生前贈与はするけど、この分は、私が死んだときに特別受益として持戻さなくていいわよ」という意思表示をしていた場合には、持戻さなくてよいこととされています。これを特別受益の持戻し免除の意思表示といいます。先の例でいえば、母からA子に贈与した2000万について、母が持戻し免除の意思表示をすれば、実際の遺産分割の際には4000万ずつをA子とB太郎で分けることになります。

法律上、この制度は口頭だけでも成立するとされていますが、口頭だけだと言った言わないの水掛け論になることは明らかなので、持戻し免除の意思表示をする場合には、その旨を書面に残した方がいいでしょう。

このように、生前贈与と相続は大いに関係しています。この考え方を知らずに生前贈与をしてしまい、相続が発生した後に、争いが発生してしまうケースが非常に多いのです。生前贈与を検討している方は、『うちの子供達は平等にしないと揉めるかもしれないな』と感じるのであれば、生前贈与分も加味したうえで平等になるようにしてあげましょう。

【2019年7月民法改正 特別受益の持戻し免除の意思表示の推定】

2019年7月1日より民法改正!婚姻20年以上の夫婦間で自宅の贈与(又は遺贈)があった場合には、特別受益の持戻し免除の意思表示があったものと推定されるようになりました。この改正のポイントは、推定、という箇所です。実際に、持戻し免除の意思表示があったかなかったかに関わらず、意思表示がなかったものとみなして、持戻しが免除される、という仕組みです。

ここまで、親と子の間の生前贈与にフォーカスして解説してきましたが、特別受益の考え方は、夫婦間の贈与にも適用されます。問題が起こりやすいのは、前妻の間の子と後妻の間柄です。夫から後妻に生前贈与が行われていた場合、前妻の子は相続できる金額が減ってしまうので、後妻に対する生前贈与を特別受益として扱うべきと主張されることがよくあります。

この度の民法改正の趣旨は、高齢化社会の情勢に鑑みて、自宅の贈与は持戻し計算の対象としないことにより配偶者の生活保障をより厚くしようということのようです。相続争いは兄弟姉妹の間柄だけでなく、親子の間でも起こりえます。争いを避けるためにも、この民法改正の内容はしっかりと押さえておきましょう。

出典:法務省パンフレット

【まとめ】

生前贈与と相続は深い関係があります。特別受益の取扱いに注意しながら円満な相続を実現させていきましょう♪

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