亡くなった父が昔購入した車があります。どのように相続手続きをすれば良いですか?免許証も保有していましたが、返納すべきですか?

こんにちは 税理士の枡塚です。

『父が昔に購入して、乗らずに放置している車があります。』

『母はもう高齢で、誰も乗る人がいない車があります。』

といったお話は、よくお伺いします。

昔購入したもので、もう価値はないから放置しておこうというお考えに至る方も多くいますが、その放置は、危険です!

亡くなった方が自動車を所有していた場合の相続手続きの一切を解説します!

最後までお読み頂ければ、自動車の相続手続きで困ることはありません!自動車保険の有利な引き継ぎ方法についても解説をしています♪

また、相続税申告において、車は財産として計上すべきものです。

一般的に購入から6年を経過すると、価値はなくなると考えますが、いわゆる高級車の場合には、6年を経過しても価値があり、相続税の計算に含めることになります。どのような場合に相続税の計算対象とすべきか、適正に判断します。こちらも合わせてお読みください。

≫相続税申告プラン

運転免許証の返納手続き

運転免許証の返納は必要なのか?

まず、亡くなった方が運転免許証を所有していた場合の手続きについて解説をします。

運転免許証を所有していた方が亡くなった場合、運転免許証の返納手続きが必要になります。

ただし、返納は義務ではありません

返納せずに、そのまま所有していた場合であっても、自動的に運転免許証の効力は失われます。

しかし、返納しない場合には、更新時期が近づくと、「運転免許証更新連絡書」の通知(ハガキ)が届きます。

この通知の送付を停止するためには、返納の手続きが必要になります。

返納の期限

亡くなった人の免許証返納の申請には、特に期限は設けられていません。

「すみやかに」手続きを行うようにしましょう。

返納に必要なもの

免許証返納の申請には、次のものが必要です。

返納する運転免許証

亡くなられたことを証明する書類(死亡診断書の写しや住民票の除籍など)

申請に行く方の本人確認書類(運転免許証など)

返納の場所

亡くなられた方の住所地を管轄する警察署や運転免許センターで返納手続きができます。

土日、祝日、年末年始はお休みのところがありますので、事前に確認をしましょう。

運転経歴証明

近年、高齢などによる運転能力の低下を自覚し、免許証を自主的に返納する方が増加しています。

しかし、公的な身分を証明する本人確認書類がなくなってしまうことを心配する声も多く、そういった方のために導入された制度が「運転経歴証明書」です。

運転経歴証明書は、免許を持っている人が免許のすべてを申請で取り消した日から、過去5年間の運転経歴を証明するものです。

この運転経歴証明書も運転免許証と同様に、返納をすることが可能です。

失効した運転免許証は返却を受けることもできる

返納手続きが終わった運転免許証は希望すれば、返却を受けることができます。

無効の証明としてパンチで穴があけられますが、思い出に返却を受けるのもいいかもしれませんね。

車の名義変更

亡くなった人が持っていた自動車も遺産の一つとして相続の対象になり、相続税がかかります。

車の評価額は、原則、売買実例価額です。

売買実例価額とは、亡くなった日に中古車として売却したと仮定したときの金額です。ネット上で、一般的な買取相場を調べる、業者に見積価額を算出してもらうなどの方法により算出します。もしも、この売買実例価額がわからない場合には、減価償却費などを考慮して計算をします。

では、亡くなった人が所有していた車が長い間使われておらず、ほとんど価値がないものであるため、そのままに放置しても良いでしょうか?

車の名義変更は必要なのか

車の所有者が亡くなったときは、所有者の変更を行う必要があります。

価値がないからそのまま放置はNGです。

その後、自動車保険に加入できない可能性が生じるほか、売却や廃車をする際に、必ず名義変更が必要になるためです。

ちなみに、所有者とは、自動車検査証(いわゆる車検証)の「所有者の氏名又は名称」欄で確認をすることが可能です。

名義変更の期限

車両の相続手続きをしなかった結果、罰則が科せられることは一般的ではありませんが、道路運送車両法には、次のような規定があります。

新規登録を受けた自動車について所有者の変更があったときは、新所有者は、その事由があった日から15日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。

そのため、すみやかに、名義変更の手続きをしましょう。

名義変更に必要なもの

自動車検査証

戸籍謄本(死亡の事実および相続人全員が確認できるもの)

車庫証明書(車庫の住所を担当する警察署で入手します。発行に2,000円前後の手数料が生じます。発行までに長ければ1週間程時間がかかりますので、前もって申請をしましょう。また、証明後、40日以内のものが必要です。なお、亡くなった方と新所有者となる相続人が同居していた場合には、不要になる場合があります。)

新所有者となる相続人の実印(本人が手続きに行けない場合には、実印を押印した委任状が必要です)

遺言書がある場合

・遺言書

・検認済証明書

遺産分割協議をした場合

・遺産分割協議書

・新所有者となる相続人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のものが必要です)

なお、車の価格が100万円以下である場合には、遺産分割協議書に代えて、遺産分割協議成立申立書を提出することができます。

遺産分割協議成立申立書は、遺産分割協議書よりも簡単な様式ですが、車の価格が100万円いかであることが確認できる査定証などの資料の添付が必要になります。

遺産分割協議成立申立書
遺産分割協議成立申立書 見本

遺産分割協議成立申立書は運輸局HPにて入手ができます。

名義変更を行う場所

名義変更は、車のナンバープレートを管轄する運輸支局で手続きができます。

各地域にある運輸支局の場所や受付時間などの詳細は、国土交通省の公式サイトでチェックしましょう。

その他

軽自動車の相続手続き

亡くなった人が軽自動車を所有していた場合には、手続きを行う場所が異なり、軽自動車検査協会で行います。

また、遺産分割協議書などを添付する必要はなく、簡易的に名義変更を行うことが可能です。

ローンがある場合

亡くなった人が車をローンで購入し、返済が終了していない場合には、車検証に記載されている所有者は「ローン会社」もしくは「ディーラー」になっており、亡くなった人は「使用者」として記載されていることがあります。

このようなときは、ローン会社に連絡をして債務者が死亡したことを伝えましょう。

ローンがある場合には、相続人が引き継いで、返済をする必要があります

損害保険の名義変更 等級の相続ができる?!

まず、自動車保険の仕組みから簡単にご説明します。

自動車保険の証券を見てみると、「契約者」「記名被保険者」「所有者」の欄があります。

契約者:保険契約を申し込み、保険料の支払いをしている人

記名被保険者:主にその車を運転する人

所有者:これは、車検証に記載されている所有者と同様

また、自動車保険は等級制度が用いられています。

これは、事故歴に応じて保険料を割引したり、割増したりする制度です。

20段階に区分されており、初めて契約する場合は、6等級から開始し、1年間事故がなければ、更新時に等級が1つあがる仕組みです。

等級が高いほど、保険料の割引率は大きくなります。

名義変更

契約者が亡くなった場合には、一般的には、法定相続人の代表者から保険会社に電話連絡をし、契約者の変更を行います。

法定相続人の中に配偶者がいる場合には、配偶者が代表者になります。

証券番号、新契約者となる人の氏名、住所、生年月日、免許証の情報が確認されます。

お手元に保険証券と、新契約者となる人の免許証を用意して電話をしましょう。

受付が完了すると、契約変更のための書類が送付されます。

必要事項を記載の上、返送すると契約者の変更が完了します。

記名被保険者、所有者が亡くなった場合には、契約者本人から保険会社へ連絡しましょう。

この場合にも証券番号が確認されますので、お手元に保険証券を用意して電話をしましょう。

この場合には、電話で契約変更が完了する場合があります。

等級の引き継ぎが可能

記名被保険者が亡くなった場合に、同居していた家族や親族が記名被保険者を引き継いだときは、等級も引き継ぐことができます。

等級の引き継ぎができる家族や親族とは?

亡くなった記名被保険者の配偶者

亡くなった記名被保険者の同居親族(6親等内血族)

亡くなった記名被保険者の配偶者の同居親族(3親等内姻族)

自動車保険に新規加入すると、6等級からスタートするので、従前の契約が7等級以上であれば、引き継ぎを検討しましょう。

逆に5等級以下であれば、新たに契約をし直す方が保険料を節約できる可能性があります。

また、保険会社によっては、一定期間内に手続きをしない場合には、等級を引き継げない場合がありますので、注意が必要です!

まとめ

亡くなった方が車を所有していた場合の行うべき手続きについて、ご理解頂けましたでしょうか?

特段、期限が定められているものはありませんが、

将来のことを考えて「すみやかに」手続きを行いましょう!

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