寄与分とは何かわかりやすく解説!要件厳しく介護の苦労は報われない

2021.06.24

【この記事の執筆者】橘慶太

相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。

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こんにちは。相続専門税理士の橘です。

両親の介護を行ってきた子供VS介護をしてこなかった子供の間で相続争いが発生するケースは非常に多いです。今回の記事では、介護の苦労を報うための制度、寄与分について詳しく解説していきたいと思います!

あるところに、認知症の母と暮らすA子さんがいました。A子さんにはB子とC子という二人の妹がいます。B子とC子は結婚後に故郷を離れ、遠方で暮らしていました。責任感の強いA子さんは、認知症の母の面倒を献身的に行っていましたが、B子とC子は遠方で暮らしていることを理由に、母の面倒を全く見ることはありませんでした。

その後、母が他界し、四十九日も終わったころに、遺産の分け方について話し合いをすることになりました。A子は言います「長年にわたり認知症の母の面倒を見てきたのは私よ。当然、私がたくさん遺産を相続する権利があるわ」。しかし、B子とC子は言います。「法定相続分は3分の1でしょ?法律にのっとって平等に財産を分けるべきだわ」

親の介護をしてきた子VS介護をしなかった子の間で相続争いになるケースは、世の中で非常に多く発生しています。認知症を患った親の介護は、肉体的にも精神的にも非常に大変です。財産を多く相続したいと想うA子さんの気持ちも大変よくわかります。さてこのような場合において、A子の「面倒見てきたのは私だから、私が多く相続する」という主張、法律的には認められるのでしょうか?

答えは、残念ながら、ほとんど認められないんです!

法律上、亡くなった方の介護などを一生懸命に行い、その方の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人には、特別に相続財産を多めに相続ができる、寄与分という制度があります。寄与分の金額は、相続人同士での話し合いで決めるのが原則ですが、折り合いがつかないときは調停を行い、調停でも決まらない場合は家庭裁判所の審判により決定されます。

世の中的には、寄与分が認められれば介護の苦労が報われると思われがちですが、ぶっちゃけた話、実務上では寄与分は認められないことが非常に多く、もし認められたとしても、思っている金額には到底及ばない少額の寄与分しか認められない結果になることが殆どです。

【寄与分が認められるハードルは非常に厳しい】

家庭裁判所が公表している「寄与分の主張を考えている皆様へ」というQ&Aによれば、①寄与行為が親族としての通常期待される以上であること、②介護に専念していたこと(仕事の傍らに通って介護していた場合は専念とはいえず、また、病院や施設に入所していた場合は、その期間の寄与分は認められません)③介護を相当期間(少なくとも1年以上が目安)継続したこと、④報酬等を受け取っていないこと、⑤これらの主張の裏付けとなる証拠資料を提出すること等が要件に挙げられています。これらを鑑みると、家庭裁判所から寄与分を認めてもらうためのハードルは非常に厳しいというのが実態です。

また、もし寄与分が認められた場合、世の中的には、相続できる割合が変化すると思われがちです。先ほどの例でいえば、本来の法定相続分は3分の1ですが、A子に寄与分が認められた場合、A子が2分の1、B子とC子が4分の1と、法定相続分の割合が変化するといった具合です。しかし、これ違うんです。寄与分が認められても、相続できる割合が変化するわけではなく、仮にプロのヘルパーに介護をお願いした場合に支払うはずだった金額を基に、A子が介護に要した時間を乗じて計算する方法等が採用されます。そのため、A子の寄与分の金額は、A子の期待にそぐわない場合がほとんどです。

このように、法律上は介護の苦労を救うために寄与分という制度があるものの、①認められるためのハードルが非常に高い、②認められても想像以上に寄与分の金額は小さい、というのが実態であり、実質的に介護の苦労は法律では救済されないと言えます。

※⇩(参考)東京家庭裁判所【寄与分の主張を検討する皆様へ】

【対策として】

こういった事態を防ぐためには、どうすればよかったのか。方法は2つあります。

1つは、母が遺言書を残しておくことです。「介護を献身的にしてくれたA子には遺産の6割を、B子とC子には、それぞれ2割ずつを相続させます」というような内容の遺言書があれば、A子の気持ちは救われますし、B子とC子も遺言がある以上、それに従わざるを得ません(B子とC子の遺留分は6分の1(つまり16.6%)なので、2割相続できるなら、遺留分を侵害していません)。

2つ目は、生前贈与です。A子に対して先に生前贈与で財産を渡し、特別受益の持ち戻し免除の意思表示(後程詳しく解説します)をしておけば、A子は確実に多くの財産を引き継ぐことが可能になります。

ただ、この2つの方法はそれぞれ、弱点があります。遺言書で財産を渡そうとする場合には、A子の立場からすると、「遺言書って、いつでも書き換え可能だし、簡単に破棄もできてしまう。それにお母さんが遺言書を紛失しちゃったりしたら…」というような形で、介護を続けているさなか、A子は「本当に介護の苦労は報われるのであろうか」という不安を抱える日々を送らなければいけません。

一方、生前贈与の場合には、母の立場からすると、生前贈与で先に財産をあげた後に、A子が介護をやめてしまう可能性も0ではありません。そのことから、母は「財産を先にあげてしまってよかったのであろうか」という不安を抱える日々を送らなければいけません。

これらの不安を解消する方法として、負担付死因贈与契約という方法があります。これは贈与契約の一種で、例えば「私が死ぬまで同居を継続してくれたら、金〇〇円をあげる」というような条件付きの約束です。遺言との大きな違いは、遺言は母の気持ち次第で何度でも変更が可能ですが、負担付死因贈与契約の場合、A子の同意もないと、母だけの気持ちで契約を変更することはできません。負担付死因贈与契約は口頭だけでも成立しますが、言った言わないの水掛け論にならないよう、書面(それもできれば公正証書)に残しておいた方がいいです。注意点としては、死因贈与契約で不動産を渡す場合には、通常の相続の場合と比べて不動産取得税や登録免許税が高額になります。金融資産であれば特にそのようなことはないので、問題ありません。※ちなみに、死因贈与契約は贈与税の対象ではなく相続税の対象になります。

いずれにしても、家族内の約束がきちんと守られるかどうかは、家族の信頼関係に委ねられます。

上記以外のシンプルな方法として、生命保険の受取人にA子を指定しておく方法もあります。生命保険は受取人固有の財産であり、遺産分割協議の対象や遺留分の算定にも含まれない性質があります。A子に確実に財産を渡す方法としては使い勝手がいいですね。

ただ、どの方法を採用するにしても、母に意思能力がしっかりとあることが前提となります。遺言も、生前贈与も、生命保険の加入も、基本的には認知症になってしまった後はできなくなります。A子さんの例は、母が認知症になってしまう前に対策を打っておかなければいけなかったと言えます。

【まとめ】

現在の法律では、寄与分という制度は存在するものの、実態としてはあまり機能していません。献身的に介護をしてくれた相続人の苦労の報い方は、寄与分以外の方法を検討した方が賢明かもしれませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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