住宅取得資金の贈与の非課税はまだするな!デメリットもあるよ!

2021.06.30

【この記事の執筆者】橘 慶太

相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。

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こんにちは!相続専門税理士の橘です。

子供が住宅を購入するときに、資金援助をするご両親は多いですよね。

通常、1年間あたり110万を超える生前贈与には贈与税が課税されます。しかし、子供が住宅を購入するための資金援助であれば、年間110万円に加えて最大3000万円まで贈与しても贈与税が課税されない特例があります。

一見お得そうに見えるこの特例ですが、実は、この特例を使わない方が税金対策になる場合も存在します。

また、この制度は毎年お決まりのパターンでトラブルになるケースがあるのです。

今回は住宅取得等資金の贈与税の特例を、デメリットと注意点を中心に解説します。

【住宅取得等資金の贈与税の非課税はどのような制度?】

この特例は、一言でいうと「子供ないし孫が住宅を購入するための資金援助であれば、一定額まで贈与しても贈与税を課しませんよ」という特例です。

あくまで住宅を新たに取得するための資金援助に限定されるため、既存の住宅ローンの返済のための資金援助はこの特例の対象となりません。

この制度はかなり人気の制度です。使っている方は非常にたくさんいらっしゃいます。

基本的にはこの制度は非常に良い制度です。相続税対策にもなりますし、亡くなる前3年以内の贈与はなかったことにされる、贈与税の3年内加算のルールも適用されません。(3年内加算を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください)

贈与税の3年内加算とはなんぞや?

この制度の主な条件は次の通りです。

・贈与を受けるのは子供か孫であること(直系であることが条件です。例えば妻の両親から夫が贈与を受ける場合などには、この特例は使えません)
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を新築や取得していること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は遅滞なく居住することが見込まれること等

また、非課税となる、一定額とは下記のとおりです。消費税を10%負担している人は最大3000万まで非課税です!(ちなみに消費税を10%負担していない人とは、知り合い同士で売買をするようなケースです。不動産会社から購入しない場合には、消費税が課税されないこともあるんです)

【注意点1 贈与税が0円でも必ず申告が必要です。】

住宅取得等資金の非課税の特例を使う場合に、最も多くトラブルになるのが、「非課税の範囲内だから申告しなくていいと思いました」というケースです。

この特例は、非課税額の範囲内だったとしても必ず贈与税の申告が必要なのです。

例えば、住宅取得資金を500万円贈与したとします。住宅取得資金は700万まで非課税なので、確かに特例を使えば税金は0円です。しかし、税金が0円だったとしても申告はしなければいけないのです。もし申告しなかった場合には特例を受けることはできません。500万円を通常の方法で贈与した場合には48万5千円の贈与税が課税されてしまいます!

贈与税の申告期限は、贈与した年の翌年2月1日から3月15日までです。毎年、この期限を過ぎてから、「住宅取得資金を申告しなかったんですけど、今からなんとかなりませんか?」という相談を受けます。

この制度の恐い所は、申告期限に1日でも遅れたら非課税に絶対にしてくれなくなることです。

こんなことはあまり言ってはいけないのですが、税金の世界は「遅れちゃいました、ごめんなさい」が結構通用します。

遅れた分の利息は払わないといけませんが、利息さえ払えば、問題なく特例を受けることができるものもたくさんあります。

ただ、この住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は厳しいのです!1日でも遅れたら特例を受けることができなくなります。

この特例を検討している人は、必ず「税額がでなくても申告は必要!」と覚えるようにしてください。

【注意点2 小規模宅地等の評価減が使えなくなる?】

将来の相続税対策の一環として子供へ住宅資金の贈与を考えているのであれば、それはちょっと待ってください!

実は、子供に住宅を持たせると、将来の相続税が跳ね上がるリスクが存在するのです。

その秘密は、小規模宅地等の評価減という特例にあります。

この特例は、一言でいうと、「亡くなった人が自宅として使っていた土地については、8割引きの金額で相続してもいいですよ」といった特例です。

1億円の土地であればたったの2000万の評価額で相続できる特例ですので、これが使えるか使えないかで、支払う税金は何千万と変わることがあります。

この小規模宅地等の特例を使うためには条件が存在します。

その条件とは、「自宅を相続する人が、配偶者もしくは亡くなった人と同居をしていた親族であること」というものです。

原則としては、配偶者か同居親族だけなのですが、もしその両者とも存在しない場合には、「亡くなった人と別居していて、かつ、3年以上自分の持家に住んでいない親族」も特例を受けることができます。わかりやすく言うと、賃貸暮らしや社宅暮らしをしているお子さんです。(この特例を業界用語で「家なき子特例」といいます)

この家なき子特例を使わせたいのであれば、子供にあえて、住宅を持たせてはいけないのです。あえて賃貸暮らしを継続させるのです!※小規模宅地等の特例をもっと詳しく知りたい方はこちら

小規模宅地等の特例とはなんぞや

「おいおい、そんなこと言っても子供はマイホームを欲しがっているんだよ」という人もたくさんいらっしゃると思います。

そんな時には、子供に住宅資金をあげるのではなく、親が不動産を購入し子供に無償で貸してあげる、という方法も存在します。

いや、存在しましたと言うべきですね。この方法は、国税庁から「過度な節税である!」ということで、平成30年4月1日からは禁止されることになりました。

この方法は平成30年4月1日からは税制改正により使えなくなります。もし税理士や金融機関の人から、このような提案を受けても、「あれ?それってもう使えない手ですよね?」と言いましょう。詳細はこちらの記事をご覧ください。

【平成30年改正】家なき子特例とはなんぞや?

平成30年4月1日から、小規模宅地等の特例のうち、いわゆる家なき子特例の要件が大幅に税制改正されることが決まりました。家なき子特例について基礎的なところから、細かい要件、平成30年税制改正の内容、実際に申告する際の添付書類などについて解説していきます♪

【注意点3 資金援助したのなんて黙っていればわからないでしょ?】

住宅を購入する時に親から資金援助を受けたことなんて、黙っていれば誰もわからないでしょ?とお思いのそこのあなた!

そのお考えは、大変危険です!!

はっきり言って、プロが見れば・・・

すぐにわかります!!

親から資金援助を受けたのに、それを税務署に申告していない場合というのは、簡単に見破れます。

どうやって見破るかを教えましょう。

一例になりますが、まずは、子供が購入した不動産の登記簿謄本を用意します。

これが登記簿謄本です

登記簿謄本には、その不動産の所有者の情報が書いてあるのですが、ポイントになるのは、抵当権の部分です。

住宅ローンを組んで住宅を購入するのであれば、必ず、登記簿にいくらの借入をどこの銀行からしたかが書かれます。抵当権の設定なしに不動産を購入するということは、銀行から融資を受けないで不動産を購入したことを意味します。つまり自分達でお金を全て用意したことになります。

もちろん若くてもたくさん稼ぎのある人なら話は別ですが、例えば30歳のサラリーマンが5000万円の物件を住宅ローンを組まずに購入するというのは、親の援助がなければ現実的ではありません。

超高給取りのサラリーマンなら別かもしれませんが、税務署からすれば、そのサラリーマンが毎年どれくらいの給与を会社からもらっているかは筒抜け状態です。
そこまで収入があるわけでもないのに、住宅ローンを借りずに不動産を購入したということは、親からの資金援助があったと疑われても仕方ないのですね。

親から住宅取得のための資金援助を受けることが悪いことでは決してありませんが、その場合には必ず贈与税の申告をすることを守ってくださいね。

【注意点4 似たような制度で相続時精算課税制度があるけど、間違えて使わないように!】

住宅を購入するための贈与税の非課税制度と、非常に似た制度に、相続時精算課税制度というものがあります。

この制度は、贈与税がなんと2500万まで非課税にできる、非常にお得そうに見える特例です。

しかし、お得そうに見えるだけです。実は全然お得になりません。むしろ損する可能性の方が高い制度です。

非常に多くの人が間違えてこちらの制度を使ってしまいますので、必ず確認してくださいね。※相続時精算課税制度についてはこちらをご覧ください

相続時精算課税制度とは?

【まとめ】

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、基本的には凄くいい制度です。どんどん使っていただくことをお勧めしています。

ただ、注意点としては、まず申告は必ず必要になること。納税がでなくても翌年3月15日までに必ず申告してください。

次に、将来の小規模宅地等の評価減についてです。別居していても、持家のない親族であれば特例を受けることができます。あえて子供に住宅を持たせないという対策もありますので、ここは慎重にご検討いただければと思います。※家なき子特例は他にも細かい条件がありますので、こちらの記事もご覧くださいね

小規模宅地等の特例とはなんぞや?

最後に、「申告なんてしなくてもばれない」とお思いの方。そんなことはありません。ばれないからダメというのではなく、きちんと申告すれば税金もかかりませんので、申告することをお勧めします。

なお、この制度を使えば一定額まで非課税となりますが、通常の1年間あたり110万円までの非課税枠を併用することも可能です。

110万まで非課税と聞くと、非課税の範囲内で贈与するのがお得そうに見えますが、実は将来的に相続税が課税される人にとっては、贈与税を払ってでも、多くの財産を生前贈与した方が、最終的には得をします。詳しくはこちらの記事に書いてありますので、是非ともご一読していただければ嬉しいです

贈与税は払った方が得!

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