円満相続税理士法人 代表税理士
『最高の相続税対策は円満な家族関係を構築すること』がモットー。日本一売れた相続本『ぶっちゃけ相続』シリーズ19万部の著者。YouTubeチャンネル登録者10万人。
皆さんこんにちは税理士の橘です。
橘税理士のお悩み相談コーナーということで、お話をしていきます。
今日は税理士事務所の転職ということで、ご相談をいただきました。
ありがとうございます。
橘先生
初めまして!質問です!
現在、税理士法人勤務なのですが、他の税理士法人へ転職を考えております。
その際に今勤務している税理士法人に転職する旨を伝えるのは
○次の転職先が決まってから
○次の転職先が決まる前から
のどちらが良いと思いますか?
今勤務している所はいくつかの会社を担当する形なのですが、引継ぎには3ヶ月くらいかかると思うので転職先がその期間待ってくれるのか不安ですし、かと言って家庭もあるので決まらないままの退職は不安です。
橘先生は円満相続税理士法人の代表をされていらっしゃいますし
転職先となる事がほとんどだと思うので転職先としての考えも聞けたら嬉しいです。
長文大変失礼致しました。
どうかよろしくお願い致します。
ということで、とても良いご質問をありがとうございます。
私なりに回答をさせていただくんですけれども、まず先に結論からお伝えをしていきます。
結論は、転職先が決まってから伝えた方がいいと思います。
新しく勤めるところが決まってから今の勤め先に辞めるということを言った方がいいと思います。
ただこれ伝え方について一番いいのは、面接時に『まだ今の会社に辞めることは伝えていません』と、正直に伝えて、『御社から内定をいただけましたら、今の会社に退職の意向を伝えます。恐らくは意向を伝えてから2ヶ月から3ヶ月後の退職となると思いますが、今の会社でよく話をした上で入社日について調整させて頂ければと思います。』と伝えた上で内定を獲得し、今の会社と引き継ぎなどについてよく話をした上で、お互いが気持ちよく辞められる日を退職日にするという、こんな流れが一番いいんじゃないかなと思います。
この理由についてなんですけれども、3つあげました。
まず1つ目の理由が『転職は急がない方がいい』ということで、これはご相談者さんが一番ご不安なところだと思うんですけど、まさにそれは私も同じ気持ちです。
やめたいという旨を伝えてからだいたい就業規則で決めていると思うんですけれども早ければ2ヶ月後に退職になっていくと思います。
それで今の事務所から強い引き止めに合うケースもあれば、逆もあって、もう退職が決まっている人については1日も早くやめてほしいと考えている事務所も結構あったりするんですよ。
なので、いつが退職日になってしまうかっていうのも早ければ2ヶ月になっていくことになります。それで、次の就職先が決まらないと焦りからブラック事務所に入ってしまうかも、ということで、『もう辞めてるんだけど、次の就職先が決まっていない』ってことになっちゃうと、その期間、収入も途絶えてしまいますし、家族も大変不安に思うでしょうから、焦りから『もうここでいいかな』みたいな感じで、よくあまり調べていない状態で入ってしまったりすると、結構大変な事務所に入ってしまうリスクとかも出てくるかなと。
で、今売り手市場なので、どの会計事務所もそうだと思うんですけど、人手不足が深刻なので、いろんな税理士法人の話をよく聞いてから転職した方がいいと思います。
じっくり時間をかけてどの税理士法人がいいかなっていうのを見る時間がありますから、やっぱり焦らない方がいい。
これがまず第一の理由です。
第二の理由は、面接で少し不利になるかもしれません。
これは、面接をさせていただいている私たち側の目線ではあるんですけれども、退職間近に面接に来られると、『うちは第1希望じゃないんだろうな』と受け取られてしまうと思います。
というのが、例えば今、執筆しているのが2023年の6月15日なんですけれども、
今面接に来られた方が『6月30日に退職することが決まってるんです』ということだと、『退職したい!』っていうことを、もう前もって会社に伝えているわけじゃないですか。
それで、その会社に伝えてから今日に至るまでに、日数があったわけで、その間に色々と他の税理士法人の面接に行ったけど受からなくて、うちに来たのかな?
っていうふうにやっぱりどうしてもそう思われてしまうと思います。少なくとも
ちょっと私はそういうふうに感じてしまうことが少なからずありますね。
ただ、何か特別な事情があれば話は全然別です。
例えば引っ越しがあったり、耐えられないほどのパワハラや残業などがあったりとか、わかりますよね理由として。
あとはもともと有期の契約だったとかね、そういったことの事情があれば全然話は別です。しかし、そういう特段の事情がないと、採用側からすると、このように受け取られてしまうリスクというのはあるかもしれません。
でまた、もしかしたら足元を見られて不利な条件を言われるかもしれません。
『この人、次の就職先、急いで決めてるんだな』と足元を見られてしまう。
こういった面はあるかなと思います。
そして3点目の理由です。
“転職先が良い事務所かどうか見極められる”ということで、これが一番大切かなと思います。
面接時に先ほどのように伝えているにも関わらず、
『入社日を今すぐ決めてもらわなきゃ困るよ』と、面接官がそういうふうに言う場合、その事務所はブラックの可能性が高いのでやめたほうがいいと思います。
そもそも会社の辞め方って、その人の人間性が一番色濃く出るものだと思っています。『新しい職場に転職はしたいけど、今の職場で多くのことを教えてもらったことには本当に感謝をしている』と、『できるだけ今の職場にも迷惑をかけずに綺麗に退職したい』という、このような気持ちはすごく大切で、そういった気持ちや姿勢を大切にしている求職者のことを、健全な経営をしている事務所であれば、絶対に理解してくれます。
それで、『私たちの事務所に入りたい』って言ってもらえるのはすごく嬉しいんですけれども、『今すぐ転職したいんだけれども、今の事務所にも散々すごくお世話になったので、今の事務所にも迷惑をできるだけかけない綺麗な形で退職したいんです』っていう人については、私は、それは人としてすごく健全な価値観だと思いますし、そういった姿勢は絶対大切だと思うので、それは本当に、まず一番に考えてもらって全然いいと思います。
税理士事務所、税理士法人には、確かに繁忙期はあるので、その時にいてくれたら、それはすごく助かるのは助かるんですけれども、でも、それは今勤めている事務所でも絶対同じことを思っているわけなので、今勤めているところが、『例えば1月から3月は確定申告で忙しいし、5月までは法人税の申告で忙しいので、いてほしい』というなら、できるだけその意向は汲んであげるのが大切だと思います。
健全な経営をしている事務所であれば、『今勤めている所との調節をちゃんとした上で、入社日決めたいんです』という意向は、絶対に理解してくれますので、そういった意味で、転職先の事務所のスタンスを見極めることができると思います。
繰り返しになっちゃうんですけど、今は売り手市場だから多少の融通は効くと思いますよ。
このような理由からやはり、転職先が決まってから、ちゃんと今の事務所にありがとうの気持ちと一緒に、退職の意向を伝えていくっていうことを私はおすすめいたします。
会社の辞め方というのは、その後の人生もそれで決まるくらい私はすごく大切なことだと思うんですよね。
私も、前の会社を辞める時っていうのは、ちょうどね、年が明けた1月5日、年始早々に上司に伝えたんですよ。
『年始早々に、こんな話すんなよ』みたいに思われたと思うんですけれども、『実はもう独立開業したいから会社辞めたいんです』っていう話をしました。それで、すごく
引き止めてくれたんですけれども、散々交渉した結果、『じゃあ年末までしっかりやってくれたら、円満退社だよね』っていう話(つまり後1年働いて)をされ、私は、それを快諾しました。
快諾したっていうもの、なんかちょっとおこがましいですけど、しっかりやりました。
もう退職する意向を伝えてから1年間、売上目標も達成し、しっかり後輩の指導とかもしたうえで退職しました。
この業界は、とてもとても狭い業界なのでその前の会社でできた人脈とかその仲間っていうのが独立をした後だとか、次の事務所に転職した後っていうのも、すごく助けになってくれます。
なので『辞めたら後のことは知―らない』みたいな感じにはならずに、今の事務所もしっかりやって、『あの人すごく気持ちの良い辞め方をしたよね』って言われるくらいの辞め方をすることを、大切にしてほしいと思います。
ということで、橘税理士のお悩み相談コーナーについては質問箱ですとか、TwitterのDMとかで受けていますので、他にももし相談したい方がいらっしゃればお気軽にお声掛けください。
ということで、次の転職先も頑張って見つけてくださいね。
ご清聴ありがとうございました。