故人に相続人がいない場合、故人の遺産は最終的に国のものになってしまいます!

しかし、親身になって長年看護したなど、故人と特別の関係にあった人がいる場合は、特別縁故者として故人の遺産を取得できる場合があります。

ただし、特別縁故者になるためには、民法が規定する要件を満たさなければなりません。

そこで今回は、特別縁故者になるための要件をわかりやすく解説します♪

特別縁故者になれる要件

故人と何らかの縁があったとしても、必ず特別縁故者になるわけではありません。

特別縁故者として認められるには、民法が規定する要件を満たす必要があります。

特別縁故者に該当する人の要件として、民法は以下の3つを規定しています(民法第958条の3)。

故人と生計を同じくしていた人

故人の療養看護に努めていた人

その他故人と特別な縁故があった人

上記3つのいずれかを満たす場合は、特別縁故者に該当します。

それぞれの要件は少し抽象的なので、詳しくみていきましょう!

故人と生計を同じくしていた人

生計を同じくしていた(生計の同一性と言います)とは、生活をするための手段(主に生活の場や収入など)が故人と同じであったという意味です。

たとえば、夫と妻が長年連れ添って一緒に生活しており、夫の仕事の収入と妻のパートの収入で生活費を支払ってきた場合は、一般に生計の同一性が認められます。

故人と同居をしていた場合は生計の同一性が認められやすいですが、同居をしていなくても、生計の同一性が認められるケースがあります。

生活の都合で別居しているものの、故人が生活費や学費を支払っていたり、休日に一緒に生活していたような場合は、同居していなくても生計の同一性が認められやすいです。

たとえば、離婚した妻が現在の夫と再婚し、妻の連れ子が大学に進学して一人暮らしをしているとしましょう。

一人暮らしをしている妻の連れ子の生活費や学費を、妻の再婚相手である夫が支払っている場合は、一般に生計の同一性が認められます。

故人との生計の同一性が認められやすい例として、以下のものがあります。

籍を入れていない内縁関係の夫または妻

内縁関係の配偶者との子ども(認知していない場合)

配偶者の連れ子(養子縁組していない場合)

それぞれのケースを詳しく見ていきましょう!

籍を入れていない内縁関係の夫または妻

籍を入れていない(婚姻届を提出していない)ものの、故人と長年夫婦として同居し、一緒に生活をしてきた内縁関係の夫や妻は、一般に生計の同一性が認められます。

籍を入れており、法的な婚姻関係にある夫婦の場合は、相手が亡くなればその遺産を相続する法的な権利(相続権)が認められます。

たとえば、籍を入れている夫婦のうち夫が亡くなった場合、妻は夫の遺産の相続権があります。

しかし、籍を入れていない内縁関係の夫婦の場合は、相手が亡くなっても遺産を相続する権利が認められません。

たとえば、籍を入れずに長年生活してきた夫婦のうち、夫が亡くなった場合、妻はそのままでは夫の遺産を相続することはできません。

内縁関係の配偶者が故人の遺産を取得するには、故人が遺言書を作成し、配偶者に遺産を相続させる旨を記載するなどの対策が必要です。

たとえば、夫が生前に遺言書を作成し、「妻に自分の遺産を相続させる」と記載するなどです。

もし故人が遺言書を作成せずに亡くなった場合、内縁の配偶者は、そのままでは故人の遺産を取得することはできません。

しかし、内縁関係の配偶者が故人と長年夫婦としての生活をしてきた場合は、生計の同一性が認められて、特別縁故者として故人の遺産を取得できる可能性があります!

内縁関係の配偶者との子ども(認知していない場合)

内縁関係の配偶者との間に生まれた子どもが、故人と長年生活を共にしてきた場合は、一般に生計の同一性が認められます。

籍を入れており、法的な婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子どもは、故人が認知(法的に自分の子だと認める行為)をしなくても、故人の子としての法的な地位が認められるので、故人の遺産を相続する権利があります。

たとえば、籍を入れている夫婦の間に子が生まれて、後に夫が亡くなった場合、子は夫(子にとっては父親)の遺産の相続権があります。

ところが、籍を入れていない夫と妻の間に子が生まれた場合は、夫が子を認知しなければ、子は夫が亡くなった場合に遺産を相続する権利がありません。

もし故人が認知をしなかった場合は、たとえ遺伝的に故人の子であるとしても、内縁関係の配偶者との間に生まれた子には、故人の遺産の相続権がないのです。

しかし、内縁関係の配偶者との間に生まれた子どもが、故人と長年一緒に生活してきた場合は、生計の同一性が認められて遺産を取得できる可能性があります。

配偶者の連れ子(養子縁組していない場合)

配偶者の連れ子が故人と長年生活を共にしてきた場合は、一般に生計の同一性が認められます。

配偶者の連れ子が再婚相手の遺産を相続するには、再婚相手と養子縁組をしなければなりません。

たとえば、妻が連れ子をともなって夫と再婚した場合、妻の連れ子が夫の遺産を相続するには、妻の連れ子と夫が養子縁組をする必要があります。

養子縁組をすると法的な親子関係が成立するので、養子縁組をした夫が亡くなった場合、妻の連れ子は夫の遺産を相続できます。

ただし、養子縁組をしなければ、連れ子と再婚相手の間には法的な親子関係が発生しません。

もし養子縁組をしなかった場合、夫が亡くなったとしても、妻の連れ子はそのままでは夫の遺産を相続できないのです。

ただし、養子縁組をしなかったとしても、妻の連れ子と夫が長年一緒に生活するなどで生計の同一性が認められる場合には、特別縁故者として夫の遺産を取得できる可能性があります。

その他生計の同一性が認められるケース

内縁関係や連れ子以外のケースにおいても、具体的な事情に照らして、生計の同一性が認められる場合があります。

実際の裁判で生計の同一性が認められたケースとして、以下のものがあります。

故人の親代わりとして一切の世話をし、故人の死後に葬儀を主催した叔父

故人と同居して家事や農地の耕作などをし、死後に葬儀を営んだ叔母

故人の不動産の購入資金を半分出し、死後に葬儀費用や固定資産税などの立て替え払いをした義母

裁判例からは、故人の身の回りの世話や、死後の葬儀の主催をするなど、故人と家族同然に生活していた場合には、生計の同一性が認められる可能性があると言えます。

故人の療養看護に努めていた人

故人の療養看護に努めていた人は、特別縁故者に該当します。

療養看護に努めていたとは、故人の看護・介護・身の回りの世話・葬儀などを献身的に行っていた場合です。

療養看護に努めていた場合は、親族や同居者に限らず、特別縁故者になることができます。

実際の裁判では親族だけでなく、近所の民生委員などの他人が特別縁故者として認められたケースがあります。

なお、故人の看護や介護をしていたとしても、看護師や介護士などが仕事として報酬をもらって行っていた場合は、原則として特別縁故者には該当しません。

報酬を得ていた場合、あくまで仕事として行っていただけなので、献身的とまでは言えないからです。

ただし、仕事として故人の世話をしていた場合でも、仕事として通常期待される範囲を超えて、特別に熱心に世話をしていた場合は、例外として特別縁故者に該当することがあります。

故人の療養看護に努めていたと認められた例

実際の裁判において、故人の療養看護に努めていたと認められたケースとして、以下のものがあります。

故人の相談相手になったり、病気の看病に尽くしたり、葬儀を主宰したりした、いとこの子

故人が老人ホームに入所する際に、身元保証人や成年後見人になったり、遠距離にもかかわらず入院先を訪れて、親身になって看護や財産管理をした、故人の妹の孫

故人の食事や洗濯など日常の世話をしたり、2回の入院の看病や葬儀の世話をした、近所に住む民生委員

故人を2年以上看護しつづけ、看護の態度や報酬額などからみて、報酬以上に看護に尽くしたと評価された看護師

いずれのケースにおいても、故人の看護・身の回りの世話・財産管理・葬儀の主催などを親身に行ったことが評価され、特別縁故者として認められています。

その他被相続人と特別な縁故があった人

生計が同一であった場合や、故人の療養看護に努めていた場合以外にも、故人と特別な縁故があったと認められる場合は、特別縁故者に該当します。

どのような場合に特別な縁故があったと言えるかについて、明確な法律上の基準はありませんが、裁判において以下の基準が用いられる場合があります。

生計が同一であった場合や、療養看護に努めていた場合と同じ程度に、故人と密接な関係があったこと

故人との間に、具体的かつ現実的な、精神的・物質的に密接な交渉があったこと

遺産をその人に分与することが、故人の意思に合致すること

少しわかりにくい基準ですが、簡潔にまとめると以下のようになります。

生計の同一性や療養看護の場合と同じくらいに故人と密接な関係があり、かつ、その人に遺産を与えることが故人の意思に合致する場合は、特別縁故者として認められる。

実際の裁判で特別縁故者として認められた例として、以下のものがあります。

歌人であった故人を母のように敬愛し、故人の活動に協力して信頼を得たり、葬儀で喪主を務めたりした、義理の弟

身内の中で故人の信頼を唯一得ており、故人の相談にのったりしていた、従兄弟の子

故人の身元引受人になったり、任意後見人となる契約をしたりして、故人の精神的なよりどころとなっていた、親族の配偶者

故人への仕送りを長年行ったり、故人の家屋の買受金の大部分を支払ったりしていた、義理の妹

いずれの事例においても、故人の活動に親身になって協力したり、精神的なよりどころになったりなど、信頼できる家族のように密接な関係にあった場合に、特別縁故者として認められています。

まとめ

特別縁故者になるための要件は民法に規定されており、全部で3種類あります。

故人と生計を同じくしていた人とは、生活の手段が故人と同じであった人のことであり、故人と同居していた場合は認められやすくなります。

故人の療養看護に努めていた人とは、故人の看護や、身の回りの世話などに尽力した人のことです。報酬を得ていた場合は、原則として該当しません。

その他故人と特別な縁故があった人とは、他の2つの要件と同じくらいに、故人と特別に密接な関係にあった人のことです。故人に唯一信頼されて、相談相手になっていたなどです。

特別縁故者として認められるかは具体的なケースによりますが、故人と家族のように密接な関係にあることが重要です!

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