円満相続税理士法人 税理士
学生時代に税理士試験の受験を始め、在学中に4科目取得し群馬県の会計事務所に就職。売上規模数十億円の企業の法人税、相続税を担当しつつ25歳の時に税理士試験合格。
タワマン節税に規制が入ると聞いたのですが、具体的なことが分かりません…
令和6年1月1日以降、これまで問題視されていたタワマン節税が規制されることとなりました。
今回はその規制の内容について、最新情報をもとに徹底的に解説していきますね!
皆さんこんにちは。
円満相続税理士法人、税理士の加藤です。
今回は、最近相続税の業界で話題となっている、タワマン節税の規制について、その改正内容を徹底的に解説していきます。
※タワマン節税の内容や詳細については、下記の動画か次の記事で説明していますので、こちらも併せてご確認ください。
この改正、実はかなり複雑な内容なのですが、今後の相続税を考える上で非常に重要なものとなりますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
なお、改正後のマンション評価については、次の国税庁HPで、計算用のエクセルが配布されていますので、こちらも活用していただければと思います!
「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」
改正の目的
今回の改正は、内容はかなり複雑なのですが、その目的は実はシンプルです。
その目的は、
「時価」と「相続税評価額」との差を縮める
ということにあります。
タワマン節税とは、例えば1億円で購入した物件の相続税評価額が2,000万円となってしまう、という差額の部分に着目した節税方法です。
ということは、1億円で購入した物件であっても、相続税評価額が下がらないような評価方法を定めてしまえば、タワマン節税は防止できるわけです。
つまり今回の改正は、
マンションの評価方法をこれまでの方法から変更する
というものなのです。
改正の対象とならない物件
今回の改正については、以下のような物件は対象とならない予定です。
①2階建て以下の建物
②戸建て物件
③販売用のマンション
④一棟まるごと所有するマンション(各部屋を区分所有している場合は除く。)
⑤二世帯住宅(区分所有されている各部屋が3部屋以下の場合で、その全てにおいて区分所有者や親族が居住するとき)
⑥居住の用に供しないオフィスなどの商業ビルや事業用のテナント物件
~対象となる物件の要件~
●一棟の区分所有建物
区分所有者(区分所有法第2条((定義))第2項に規定する区分 所有者をいう。以下同じ。)が存する家屋(地階を除く階数が2以下のもの及び居住の用に 供する専有部分(同条第3項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)一室の数が3以下で あってその全てを当該区分所有者又はその親族の居住の用に供するものを除く。)で、居住 の用に供する専有部分のあるものをいう。
● 一室の区分所有権等
一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室に 係る区分所有権(区分所有法第2条第1項に規定する区分所有権をいい、当該専有部分に 係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分を含む。以下同じ。)及び敷地利用権(同条 第6項に規定する敷地利用権をいう。以下同じ。)をいう。
(注) 一室の区分所有権等には、評価基本通達第6章((動産))第2節((たな卸商品等))に 定めるたな卸商品等に該当するものは含まない。
令和6年1月1日以降の評価方法
今後のマンションの評価方法は、通達では次のように規定しています。
~通達より抜粋(飛ばしても大丈夫です。)~
(一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額)
次に掲げる場合のいずれかに該当するときの一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、次の算式による補正率を乗じて計算した価額を当該「自用地としての価額」とみなして評価基本通達(評価基本通達25並びに同項により評価する場合における評価基本通達27((借地権の評価))及び27-2((定期借地権等の評価))を除く。)を適用して計算した価額によって評価する。
(算式)
⑴ 評価水準が1を超える場合
補正率=評価乖離率
⑵ 評価水準が0.6未満の場合
補正率=評価乖離率×0.6
※1≧評価乖離率≧0.6の場合には、補正は行わず、従来の評価額のままとなります。
(注)
1 区分所有者が次のいずれも単独で所有している場合には、「補正率」は1を下限とす
る。
イ 一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分
ロ 一棟の区分所有建物の敷地
2 評価乖離率を求める算式及び上記⑵の値(0.6)については、適時見直しを行うもの
とする。
(一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額)
一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額は、「自用家屋としての価額」に、上記2に掲げる算式((注)1を除く。)による補正率を乗じて計算した価額を当該「自用家屋としての価額」とみなして評価基本通達を適用して計算した価額によって評価する。
すみません、全く意味が分からないのですが・・・
本当にそうですよね。
でもこれから私がすべて分かるように説明しますので安心してください!
新たな評価方法の概要
改正された評価方法を、かなりシンプルに表現すると、次のようになります。
改正後の評価額=従来の評価額×【一定の倍率】
この【一定倍率】という部分が、今回の改正のポイントとなります。
簡単に言ってしまえば、
「相続税評価額」が「時価」より低いなら、これまでの評価額を〇倍にすればいいじゃない。
ということです。
そしてこの【一定の倍率】のことを、通達では【補正率】と呼んでいるわけです。
つまり【補正率】さえ分かれば計算ができるのですね!
でも、これはどうやって計算するのでしょうか?
実はこの【補正率】の計算が、今回の改正を複雑にしている要因なのです。
次からは、ここを徹底解説していきます。
マンションの評価ポイント
①【補正率】が分かれば、評価ができる←今ココ
補正率の算定方法
改正後の評価方法では、【補正率】という倍率が重要になることは、上で説明した通りです。
この【補正率】ですが、通達では次のように算定すると記載があります。
~【補正率】の計算方法~
⑴ 評価水準が1を超える場合
補正率=評価乖離率
⑵ 評価水準が0.6未満の場合
補正率=評価乖離率×0.6
つまり、【補正率】は
① 評価水準
② 評価乖離率
という2つの要素が分かれば計算できるということです。
「評価水準」?「評価乖離率」?
色んな用語が出てきすぎて、訳が分からなくなりそうです・・・
大丈夫です!一つ一つ説明していきますね。
マンションの評価ポイント
①【補正率】が分かれば、評価ができる
②補正率は、「評価水準」と「評価乖離率」が分かれば計算ができる←今ココ
評価水準とは?
ここでは、補正率を計算するための要素の一つ「評価水準」について説明します。
この【評価水準】ですが、どのように計算をするかというと、次の計算式で算定します。
~評価水準の計算式~
評価水準=1÷評価乖離率
あれ?「評価乖離率」って、補正率を計算するための要素の一つですよね?
その通りです!
つまり、改正後の評価額は「評価乖離率」さえ求めてしまえば計算ができる、ということになります。
「評価水準」とは、補正を加えない相続税評価額が、時価(通達上では「市場価格」)の何倍かを示す指標です。
例えば、
「評価水準」が0.5の場合は、相続税評価額は時価の半分の価格しかない、ということになります。
逆に「評価水準」が2.0の場合には、相続税評価額の方が時価よりも2倍も高い、ということを示すことになります。
「評価水準」が低ければ低いほど、マンションの評価額は高くなっていきます。
マンションの評価ポイント
①【補正率】が分かれば、評価ができる
②補正率は、「評価水準」と「評価乖離率」が分かれば計算ができる
③「評価水準」は「評価乖離率」が分かれば計算できる。
つまり「評価乖離率」が分かれば全ての計算ができる。←今ココ
評価乖離率とは?
それではいよいよ、最も重要な「評価乖離率」について見ていきましょう。
補正率も評価水準も、結局は「評価乖離率」を求めてしまえば、計算できることは上で説明しました。
ただ、この「評価乖離率」だけは、次の計算式で、しっかりと計算をする必要が出てきます。
~「評価乖離率」の計算式~
評価乖離率は次の算式により求めた値をいう。
(算式)
評価乖離率=A+B+C+D+3.220
—-以降はこれから説明しますので飛ばしても大丈夫です。—-
上記算式中の「A」、「B」、「C」及び「D」は、それぞれ次による。
「A」=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
「B」=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨てる。)
「C」=当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
「D」=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げる。)
(注)
1 「築年数」は、当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、当該期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。
2 「総階数指数」は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする。)とする。この場合において、総階数には地階を含まない。
3 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が当該一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とする。
4 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が地階である場合には、「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、零階とし、Cの値は零とする。
5 「当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げる。)とする。
すみません、また分からなくなりました。
そうですよね。
でも要素をしっかりと確認すれば複雑なものではないので、これから一つ一つ説明していきますね。
マンションの評価ポイント
①【補正率】が分かれば、評価ができる
②補正率は、「評価水準」と「評価乖離率」が分かれば計算ができる
③「評価水準」は「評価乖離率」が分かれば計算できる。
つまり「評価乖離率」が分かれば全ての計算ができる。
④「評価乖離率」は独自の算式で計算をする必要がある。←今ココ
評価乖離率の考え方
「評価乖離率」とは、「時価」が「相続税評価額」の何倍かを示す指標です。
~評価乖離率の考え方~
評価乖離率=「時価」が「相続税評価額」の何倍か
例えば、評価乖離率が2.0の場合、「時価」が「相続税評価額」の2倍の価額であることを示します。
逆に、評価乖離率が0.5の場合、「時価」が「相続税評価額」の半分の価額しかないということになります。
評価水準は「相続税評価額」が「時価」の何倍かを示す指標だったと思うので、「評価乖離率」では、これが真逆になっているのですね!
改正の理解の仕方
今回の改正ではマンションの評価方法が変わるのですが、理解の仕方としては、次のように考えるのが最も分かりやすいかと思います。
~評価方法の理解の仕方~
・【評価乖離率】が1.0を超えれば超えるほど、評価額は高くなる
・【評価乖離率】が1.0を下回れば下回るほど、評価額は低くなる
なるほど。評価乖離率が高いほど、評価額も高くなるのですね!
評価乖離率の計算式の解説
「評価乖離率」がどのようなものかは、なんとなく理解出来ました。
ただ、計算式がまだ分かりません・・・
それではここから、計算式を要素ごとに分けて説明しますね!
評価乖離率を計算する上で要素となるものは、4つあります。
それが次の通りです。
~評価乖離率の要素~
① マンションの築年数
② マンションの総階数(マンション全体で何階建てか)
③ 所有する部屋の階数(その部屋は何階の部屋か)
④ 敷地権の狭さ(部屋の床面積に対して)
これらの要素を一つ一つ組み合わせて、評価乖離率を算定していくのですね!
マンションの評価ポイント
①【補正率】が分かれば、評価ができる
②補正率は、「評価水準」と「評価乖離率」が分かれば計算ができる
③「評価水準」は「評価乖離率」が分かれば計算できる。
つまり「評価乖離率」が分かれば全ての計算ができる。
④「評価乖離率」は独自の算式で計算をする必要がある。
⑤「評価乖離率」の計算には、4つの要素がある。←今ココ
要素①:築年数【A部分】
まず分かりやすいところとして、マンションの築年数の要素を説明します。
これは、下記の算式の内、【Aの部分】の話となります。
評価乖離率=【A】+B+C+D+3.220
~Aの計算式~
「A」=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
※ 「築年数」は、当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、当該期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。
これは、築年数さえ分かれば、すぐに計算できますね!
算式に「△」という記号がありますが、これはマイナスということです。
つまり、築年数が経過すればするほど、評価額は下がることになります。
~Aの具体例~
●前提:築年数3年5か月
① 築年数:3年5か月→4年(1年未満切り上げ)
② Aの値:4×△0.033=△0.132
要素②:総階数【B部分】
次は総階数の要素について見ていきましょう。
ここは、算式の【Bの部分】となります。
評価乖離率=A+【B】+C+D+3.220
~Bの計算式~
「B」=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨てる。)
※「総階数指数」は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする。)とする。この場合において、総階数には地階を含まない。
ここで問題となるのが、
「総階数指数」
というものです。
これは、その建物の総階数を33で割って計算される指数で、次の計算で求めます。
総階数指数=建物の総階数÷33
(小数点以下第4位を切り捨てし、1を超える場合には、1とする。)
単に総階数を当てはめればいいわけではなく、一度計算をした「指数」をBの算式に当てはめるのですね。
~Bの具体例~
●前提:総階数30階
① 総階数指数:30÷33=0.909090…→0.909(小数点以下第4位を切り捨て)
② Bの値:0.909×0.239=0.2172…→0.217(小数点以下第4位を切り捨て)
※総階数には地下は含まれないので注意してください。
要素③:部屋の階数【Cの部分】
次の要素は、その対象物件が何階にあるか、というものです。
下の算式の、Cの部分となります。
評価乖離率=A+B+【C】+D+3.220
~Cの算式~
「C」=当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
※ 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が当該一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とする。
※ 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が地階である場合には、「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、零階とし、Cの値は零とする
これは、その物件の階数さえ分かれば簡単に計算できそうですね!
~Cの具体例~
●前提:階数25階の物件
Cの値:25×0.018=0.450
要素④:敷地権の狭さ【Dの部分】
さて、いよいよ評価乖離率の最後の要素、「敷地権の狭さ」を見ていきましょう。
これは、算式の中でのDの部分となります。
評価乖離率=A+B+C+【D】+3.220
~Dの算式~
「D」=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げる。)
※「当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げる。)とする。
これは少し難しそうですね…
この計算式を難しくしている要因は、
「敷地権持分狭小度」
という指数です。
これは簡単に言ってしまえば、
その物件に割り当てられている「敷地権」は、部屋の「床面積」に対してどのくらい狭いか
というものになります。
~敷地権持分狭小度の算式~
「敷地権持分狭小度」=敷地権の面積÷部屋の床面積
「敷地権の面積」と「部屋の床面積」は、不動産の登記簿謄本から確認することができます。
~Dの具体例~
●前提条件
・土地全体の面積:4,000㎡
・敷地権の持分割合:1/200
・部屋の床面積:62.5㎡
●計算
① 敷地権の面積:4,000×1/200=20㎡
② 敷地権持分狭小度:20㎡÷62.5㎡=0.32
③ Dの値:0.32×△1.195=△0.3824→△0.383(小数点以下第4位切上)
Dの計算式をかみ砕くと、
割り当てられている敷地権が広いほど評価額は低くなる、
ということになります。
広い方が評価額が低くなるのは、ちょっと変な気がしますね?
タワマン節税は、敷地権が狭くなればなるほど、節税効果が高まっていくという性質がありました。
計算式はそれを防止するために、このような形になっているのだと思います。
評価乖離率の算定
それでは、これまで具体例で計算をしてきた要素を参考として、実際に評価乖離率を計算してみましょう。
~評価乖離率の具体例~
【評価乖離率】=△0.132(A)+0.217(B)+0.450(C)+△0.383+3.220=3.372
これでようやく、評価乖離率の算定が終わったわけですね。
だいぶ疲れました…
ここまでくれば、後はもう少しですよ!
評価額の算定
それでは最後に、上で求めた評価乖離率を使用して、実際に評価額を求めてみましょう。
評価額を求める計算式は、次の通りでしたね。
~評価額の計算式~
従来の評価額×【補正率】=改正後の評価額
そして、補正率は、次の算式で求めていきます。
~補正率の計算式~
⑴ 評価水準が1を超える場合
補正率=評価乖離率
⑵ 評価水準が0.6未満の場合
補正率=評価乖離率×0.6
※評価水準=1÷評価乖離率
では早速具体例を用いて計算していきましょう。
~具体的な評価額の計算~
●前提
従来の評価額:5,000万円
評価乖離率:3.372
① 評価水準の計算
評価水準:1÷3.372(評価乖離率)=0.2965…<0.6
② 補正率の計算
評価水準が0.6未満のため、
補正率:3.372(評価乖離率)×0.6=2.0232
③ 評価額の計算
5,000万円(従来の評価額)×2.0232(補正率)=101,160,000円(改正後の評価額)
改正後は、従来の評価額の倍以上になってしまうのですね!
今回のケースではそうなってしまいました。
この改正が、いかに大きな影響を与えるのか良くわかりますね。
評価額が上がりやすい物件の特徴
今回の改正によって、多くのマンションについては評価額が上昇するものと思われます。
その中でも特に評価額が上がる物件のポイントをまとめてみますので、ぜひ参考にしてください。
~評価額が上がりやすい物件の特徴~
・築年数があまり経過していない
・高層マンション
・高層階の物件
・割り当てられる敷地権が狭い(建物の入居者が多い)
いわゆるタワーマンションと呼ばれる物件については、上記の特徴に該当することが多いので、総じて評価額は高くなる可能性が高いですね。
評価水準が1.0を超える場合の検討
これまで今回の改正論点を徹底的に見てきましたが、一つ気になる部分があるかと思います。
それが、
~補正率の計算式~
⑴ 評価水準が1を超える場合
補正率=評価乖離率
の部分です。
もしかするとお気づきの方がいるかもしれませんが、今回の改正は
「評価水準が1.0を超えると、逆に評価額が減少する」
ということになるのです。
評価水準が1.0を超える場合とは、「相続税評価額」が「時価」よりも高くなってしまっている状態です。
よって、高くなりすぎている「相続税評価額」を「時価」まで下げる、という意味で、この計算を行うこととなります。
今回の改正の目的は、タワーマンションなどの評価額を上げることですが、全てのマンションの評価額が上昇するわけではなく、逆に評価額が下がる場合もあるので、注意してください。
~評価水準が1を超える場合の計算~
●前提
従来の評価額:5,000万円
評価乖離率:0.5
① 評価水準の計算
評価水準:1÷0.5(評価乖離率)=2≧1
② 補正率の計算
評価水準が1超のため、
補正率=評価乖離率=0.5
③ 評価額の計算
5,000万円(従来の評価額)×0.5(補正率)=2,500万円(改正後の評価額)
本当だ!評価額が下がっていますね!
評価額が下がるのは、「評価水準」が1.0を超える場合です。
「評価乖離率」と間違えないように注意しましょう。
まとめ
今回は、タワーマンションの節税に対する規制について解説をしました。
なお、この改正の通達については、次のページで誰でも見ることが出来ますので、ぜひ参考にしてください。
現時点でマンションを所有している方、これから購入をしようとする方にとっては、かなり大きな影響を与える可能性は高いと思われます。
そのため、これまでタワーマンションを使った節税策をしてきた場合は、改めてシミュレーションをすることをお勧めします。
相続税については、しっかりと対策をしておかなければ、大きな負担になってしまうこともありますので、ぜひ相続税を専門としている税理士に一度相談をしていただければと思います。
弊社でも、今回の改正の論点などのご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください!