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【非上場株式の相続税評価】純資産価額方式をわかりやすく解説したよ

2021.06.25

【この記事の執筆者】橘慶太

相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。

詳しいプロフィールはこちら

こんにちは。相続税専門の税理士の橘です。

今回の記事では、非上場株式の評価方法のうちの純資産価額方式について解説していきます。

純資産価額方式はシンプルです。一言でいえば、「仮にあなたの会社を解散させた場合に、株主に返ってくる金額をもって、株式の評価額にしましょう」という考え方です。

会社を経営している方や、会社の経理を担当している方ならピンとくるかもしれませんが、この金額は、貸借対照表(BS)の純資産価額と近い金額となります。

類似業種比準価額方式に比べると非常にシンプルで分かりやすい評価方法だと思います!一つずつ詳しく解説していきますね♪

【まずは、仮に会社を解散させてみましょう♪】

純資産価額方式を理解するうえで大切になるのは、「仮に会社を解散させた場合」というシチュエーションを理解することです。多くの社長さんは・・・

と感じると思います。

そこで、一緒に会社を解散させてみましょう!

例えば、次のような会社がありました。

会社の貸借対照表(BS)

預金:3000万

土地:5000万

資産合計:8000万

借入金:4000万

純資産:4000万

負債純資産合計:8000万

この会社を一緒に解散させてみます♪

はい!では、まず会社を解散させる場合に、やらなければいけないことはなんでしょうか?

ちょっと考えてみましょう。

いかがでしょう。

まずやらなきゃいけないことは、借入金を返済することです!お金を返さないまま会社を解散させることはできません。まずは借入を返済しましょう。

では、借入4000万を返済していくのですが、この会社の今の状況で、借入4000万円を返済できますでしょうか?もう一度、会社のBSをご覧ください。

会社には預金が3000万しかありません。このままでは借入金4000万は返済できないのです。

そこで、あなたは、会社で所有している土地を売却してお金を用意しようと考えます。土地を売却しに不動産屋に相談しにいくとこう言われました。

思いのほか高値がつきました!

嬉しい誤算ですが、ここでちょっと気になることが・・・・

ということです。BSには5000万と記載されているのに、何故1億円で売却できるのでしょうか?

それは、BSに記載されている金額は、土地の購入した時の金額だからです。貸借対照表には、購入した時の金額が記載され続けます。

仮に購入したのが50年前であったとしても、BSには購入した当時の金額が記載されますので、現在の時価に換算すると大きくズレることがあるのです。

それはそれと、めでたく土地が1億円で売却できましたので、会社には1億円のキャッシュが入ってきました。1億円のキャッシュが入金されたことによって、会社の純資産価額は4000万から9000万に増加します。

そして、4000万円の借入金を全て返済しました。借入金を返済しただけですので、純資産価額は変動しません。

と思いきや・・・

実は、まだ払わなきゃいけないものがあるのです!

それは・・・・

法人税です!!

先ほど、帳簿価額(BSに記載されている金額のこと)5000万円の土地を1億円で売却しました。5000万で購入したものが1億円で売却できたので、差額の5000万円、儲け(固定資産売却益)がでたのです。

この儲けに対して法人税が課税されます!さらに、法人税の他に事業税や法人住民税なども課税されます。

法人税や事業税などの税率は、全て合わせると最高で約37%です。法人が解散手続きをしている場合であっても、儲けがでたなら税金を払わなければいけません!5000万の儲けがでるなら、37%分の1850万を納税することになります。

この分の法人税を払って、ようやく残ったお金が株主のもとに返ってくるのです。純資産価額9000万から法人税等1850万を支払いますので、税引後の純資産価額は7150万円となります。

そして、この7150万円が株主に返ってくることになります。

今の話をもとに、会社を解散させた場合のお金の流れをもう一度解説します。

1.まずは会社の所有資産を売却し、会社にキャッシュを用意します

2.1で用意したキャッシュから銀行などの債権者に借入金を返済します。

3.1で売却した場合に儲けが出る場合には、その儲けに対する法人税等を納税します。

4.税金を支払った後の残りの財産が株主に分配されます。

※会社に十分なキャッシュがある場合や借入金がない場合には、必ずしも会社の資産を売却しなければいけないわけではありません。ただし、会社の資産を売却したものとみなして、含み益に対する法人税は納税しなければいけません。

このプロセスが、そのまま純資産価額方式の計算方法となります。

会社を解散させた場合に株主に返ってくる金額とは、会社の純資産価額(借入を返済した後の金額)から、含み益に対する法人税を納めた後の金額ということになります。この金額が、純資産価額方式により計算した株式の相続税評価額になります。

【純資産価額方式の具体的な計算方法】

具体的な計算方法の解説に移ります。

まずは、2種類のBS(貸借対照表)を作ります。1つは、会社でいつも使っている貸借対照表(BS)です。このBSを帳簿価額による貸借対照表といいます。これは会社の決算書を用意すればいいだけなので、用意するのに手間はいりませんね。

いつ時点のBSを使うかというと、評価をしようとする日を含む事業年度の、直前期の決算書を使います。例えば、毎年3月31日が決算の会社で、平成31年1月1日の評価額を計算したいのであれば、平成30年3月31日時点のBSを使えばOKです。

そしてもう1つのBSは、時価(相続税評価額)による貸借対照表です。現時点で、会社の資産を売却した場合に、どのくらいの値段がつくのか、という基準で評価し直したBSを作ります。

この場合のBSも基本的には、評価をしようとする直前期の決算書をベースに作ります。預金残高や、売掛金などは、直前期末の残高をそのまま使いますが、不動産や子会社株式などを時価に変換する必要があります。

帳簿価額によるBSには、不動産は購入した時の金額がそのまま計上されています(建物については減価償却が加味されていますが)。これを、時価に変換します。

具体的に時価とは何を指すのかというと、相続税評価額のことを指します。土地については路線価方式で計算をし、建物については固定資産税評価額を使います。

土地や建物の評価額の計算方法について詳しく知りたい人はこちらをご覧ください↓

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会社のBSのうち、土地や建物は、帳簿価額を相続税評価額に修正します。その結果、帳簿価額よりも大きくなる会社もあれば、小さくなる会社もあります。現時点での実態にかなり近づくことになりますね。

不動産以外にも、時価に変換しなければいけないものがあります。

それは、保険積立金です。法人契約で生命保険に加入している社長さんも多いと思いますが、支払った保険料のうち、損金に算入されない部分は、BSに保険積立金として記載されます。

この金額を、もし今、その保険を解約したら、いくらの解約返戻金がもらえるか?という金額に変換しなければいけないのです。

余談ですが、法人で生命保険に加入すると節税になってお得と思っている社長さんがたくさんいますが・・・

実はそれは嘘です。節税になっていません。その理由を知りたい方はこちらのブログを読んでくださいね。

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他にも、会社が他の会社の株式や投資信託などを持っている場合にも、これを時価に変換してあげる必要があります。投資用として持っている上場株式は楽でいいのです。インターネットで時価は簡単に調べることができるので。

大変なのは、子会社などの上場していない会社の株価です。帳簿価額には、子会社株式は、取得した時の金額しか書かれていません。出資して株式を取得した場合には、出資した金額。買収してきた場合には、買収した金額が記載されています。

この帳簿価額を、現時点の時価にしなければいけないのですが、この評価額を計算するために、今やっている純資産価額方式ですとか、類似業種比準価額方式などを駆使して、子会社の株式の相続税評価額を計算しなければならないのです。

つまり、子会社があるような会社の相続税評価額を計算するためには、先に、子会社の株式の相続税評価額を計算しないといけないのです!これは中々大変です。孫会社なんてある場合にはさらに大変です。

他にも細かい論点をあげるときりがありませんのでこの辺で止めておきますが、このようにして会社の時価(相続税評価額)による貸借対照表を作り上げるのです。

【2つのBSを比較して含み益があるかをチェック】

2つの貸借対照表ができましたら、この2つのBSを比較します。

例えば、帳簿価額によるBSと相続税評価額によるBSを比べて、帳簿価額の方が大きい場合には、どのようなことが言えるでしょうか?

このような場合には、会社の時価は帳簿価額よりも低いということになりますので、もし財産を売却したとしても儲けはでないということになります。つまり含み益ではなく、含み損がある状態となります。含み益がないということは、それに対する法人税も当然ありません。

法人税が発生しないということは、株主に返ってくる金額は、時価による貸借対照表の純資産価額と一致します。そのため、時価による純資産価額が、そのまま株式の評価額となります。

では次に、2つのBSを比べると、相続税評価額によるBSの方が大きくなったとします。この場合にはどのようなことがいえるでしょうか?

今度は先ほどと逆になります。帳簿価額より時価の方が大きいということは、もし、会社の財産を売却した場合には儲けがでるということになります。つまり含み益を抱えている状態となります。含み益があるなら、それに対する法人税を払わなければいけません。

含み益に対する法人税を払う必要があるということを踏まえて、株主に返ってくる金額を考えてみましょう。

株主に返ってくる金額は、会社の時価による純資産価額から、含み益に対する法人税を引いた、残りの金額ということになります。この金額が株式の相続税評価額ということになります。

以上が、純資産価額方式の具体的な計算方法でした。

実際には、次のような計算表を使って計算していきます。BSの資産の部と負債の部に、それぞれ相続税評価額を記載する欄と、帳簿価額を記載する欄があり、2種類のBSを作っていきます。

【法人税等相当額の37%控除】

含み益に対する法人税の金額は、次の算式により計算することとされています。

(時価による純資産価額―帳簿価額による純資産価額)×37%

37%という割合は、法人税や事業税、地方法人特別税など全てひっくるめた割合です。法人税率が改正されると、ここのパーセンテージも改正されます。

この金額の正式名称は、「評価差額に対する法人税等相当額」というのですが、私たち税理士業界の業界用語では、37%控除と呼んでいます。

実は、この37%控除という制度は、納税者にとって非常に有利な取り扱いなのです。

純資産価額方式は、「仮に会社を解散させたらいくらの財産が株主に返ってくるか」という考え方を基本としています。確かに、財産価値を測るには、合理的な方法だと思います。

しかしですよ?

実際に会社を解散させるわけではないじゃないですか!

実際に会社を解散させるわけでもないのに、解散した場合に発生する法人税を払ったものとみなして、その分低い評価額で株式を計算することが認められているのです。

その分、事業用の資産を個人事業主として持っていた場合より、会社として持っていた方が、含み益の37%分を控除してもらえるため、得をすることになります。

【計算結果がマイナスになった場合は、株式の評価額は0円】

純資産価額方式により計算した結果、相続税評価額ベースの資産の金額より、負債の金額が大きなるような場合には、純資産価額はマイナスになります。時価に変換すると債務超過状態になっているというケースです。

この場合には、株式の相続税評価額は0円になります。

株式の評価は、大会社の場合には、純資産価額方式か類似業種比準価額方式のどちらか好きな方を、それ以外の会社は、純資産価額方式か折衷方式の好きな方を選択することができます。

このことから、純資産価額方式で計算した結果、評価額が0円となった場合には、類似業種比準価額方式で計算した株価がプラスになった場合でも、評価額を0円としていいのです!

ただ、これがお得なのかというと、ちょっと微妙です。

もし、あなたの会社が100万円の債務超過であったとしても、株価は0円。あなたの会社が10億円の債務超過であったとしても株価は0円で評価されます。株価は0円以下にはならないのです。

もし、あなたが10億円の債務超過会社の株式と、5億円の個人資産(土地や預金など)を持っている場合には、株式はあくまで0円で評価されるだけなので、5億円の個人資産に対して相続税が課税されることになります。個人資産に抵当権などがついていても、実際に会社が債務不履行になり、抵当権を実行されない限りは、個人の債務扱いにはならないので、マイナスが取れないのです。

もしも、そのような状況にあるなら早めに債務を整理した方がいいです。個人資産から補填をしなければいけないなら、相続が発生する前にやった方がいいですよね。

【まとめ】

純資産価額方式の計算のイメージはつかめましたでしょうか?

会社の時価による純資産価額から、含み益に対する法人税を引けばいいんでしたね。含み益がない会社であれば、時価純資産がそのまま評価額になります。

他にも細かい注意点はあるのですが、今回の記事では純資産価額方式のイメージがつかめればOKだと思います!

会社を解散させる時のプロセスが、そのまま純資産価額方式の計算方法となります。

会社を解散させた場合に株主に返ってくる金額とは、会社の純資産価額(借入を返済した後の金額)から、含み益に対する法人税を納めた後の金額ということになります。この金額が、純資産価額方式により計算した株式の相続税評価額になります。

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