

円満相続税理士法人 税理士 法人・個人の税務経験の傍ら、大学院で相続税法を 専攻したのち、円満相続税理士法人に入社。 お気持ちに寄り添い、分かりやすい説明を モットーに、日々ご相続に向き合っています! 詳しいプロフィールはこちら
こんにちは!円満相続税理士法人の久保です。
今回は、たまプラーザエリア(横浜市青葉区・都筑区・緑区など)の相続対策と、税務調査対策のポイントを解説していきます。
たまプラーザエリアにお住まいの方々からは、相続税申告や生前対策に関するご相談を多くいただいております。
私自身も、たまプラーザエリアに住んでおり、実際に暮らしているからこそ実感できる、たまプラーザ・あざみ野・美しが丘といった地域特有の不動産事情や税務署の傾向を踏まえながら、今回は 「たまプラーザエリアでの相続対策と税務調査対策のポイント」 を詳しく解説いたします。
相続の準備を始めたいとお考えの方はもちろん、すでに相続が発生し申告をご検討中の方にも、参考にしていただける内容となっております。
たまプラーザエリアの特徴
たまプラーザエリアには富裕層が多く居住していると言われています。その理由の一つに、東急電鉄による計画的な開発により、1960年代から上質な住宅街として整備されてきた背景があります。ゆとりある区画や緑豊かな環境が整備され、今では“憧れの住宅地”として広く認知されています。
また、有名私立中高へのアクセスや「たまプラーザテラス」などの大型商業施設、先進的な医療機関が揃い、生活利便性の高さから高所得層のファミリー層に支持されています。
さらに、代々続く地主層や資産家が多く住み、土地資産を相続・活用しているご家庭も多いのが特徴です。都心へのアクセスにも優れ、東急田園都市線というブランド力と相まって地価は安定的に上昇傾向にあり、令和7年度の駅前路線価も前年比+8.9%と高い水準を記録しています。
こうした複合的な魅力が、たまプラーザを“相続対策が重要な地域”として特徴づけているのです。
たまプラーザ駅近の土地評価額は1㎡あたり約170万円
令和7年度(2025年)では、たまプラーザ駅前通りの路線価が1,710,000円/㎡(前年比+8.9%)に達しています。
>>参考:令和7年分 東京国税局各税務署管内における最高路線価
たまプラーザエリアでは、駅近くに土地を持っているだけで相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるケースが少なくありません。
たとえば100㎡の土地でも評価額が1億7,100万円となり、他の資産(預金・建物など)を加えると、相続税が課される可能性が極めて高くなります。
1億7,100万円で相続人が配偶者と子供2人の場合の相続税は1,975万円です(小規模宅地の適用なし・法定相続分に応じて不動産を相続した場合)。
たまプラーザエリアの相続税申告の特徴
神奈川県は、相続税申告が必要な割合が全国平均よりも高く、中でもたまプラーザエリアを管轄する緑税務署は、申告件数や課税規模が県内最多となっています。
神奈川県で相続税申告が必要な割合は全国平均より高い
東京国税局が公開したデータによると、令和5年中に神奈川県でお亡くなりになった方は98,744人。そのうち、14,748件が相続税申告対象でした(前年比+4.4%)。
これは約15%にあたります。全国平均の9.8%と比べて約1.5倍もの高水準であり、相続税申告が非常になじみ深いエリアであることが分かります。
緑税務署(青葉区・都筑区・緑区)では申告件数・課税規模が県内最多
神奈川県内の相続税申告の課税状況を見ると、令和5年分の課税価格合計において最も多かったのが、緑税務署の2,024億円です。
同署の管轄地域である横浜市青葉区・都筑区・緑区には、「たまプラーザ」「あざみ野」「美しが丘」「青葉台」「センター北」など、地価の高い高級住宅地が多数存在し、土地や建物といった不動産を中心とする高額な相続財産が集中している地域であることが、この数字からもうかがえます。
こうした背景から、緑税務署は、神奈川県内でも特に相続税申告の件数・金額ともに大規模な地域であり、相続税に対する税務署の注目度が高い管轄といえます。
したがって、たまプラーザ・青葉台・センター北などに不動産をお持ちの方は、
「将来相続税がかかるかどうか?」
「相続時の評価や申告に不安がある」
といった段階であっても、できるだけ早い段階での相続対策や、相続税専門の税理士との連携が非常に重要となります。
特に、不動産評価の適正化、小規模宅地等の特例の活用、納税資金の確保などは、早期準備によって大きな差が生まれる分野です。
たまプラーザエリアの相続税対策①高額な土地評価への備えが必要
ここからは、たまプラーザエリアの相続税対策の必要性や、具体的な対策のポイントを詳しく解説します。
まず、たまプラーザエリアは 路線価が高いため、土地だけで基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えてしまうケースも珍しくありません。特に、駅に近い住宅地や角地などの形状の良い土地は、1㎡あたりの評価が非常に高くなりがちです。相続税を抑えるためには、小規模宅地等の特例を適用できるかがカギとなります。
小規模宅地等の特例を適用できるかがカギ
「小規模宅地等の特例」とは、相続人が自宅に住み続けるなど一定の条件を満たした場合に、相続税評価額を最大80%減額できる制度です。
たまプラーザのように路線価が高い地域では、この特例が使えるかどうかにより、相続税額に与える影響が非常に大きく、数千万円規模の税負担差が生じることもあります。適用要件には細かい条件があるため、早期の検討と専門家による判断が重要です。
たまプラーザエリアの相続税対策②税務署を意識した相続対策
緑税務署(横浜市青葉区・都筑区・緑区を管轄)は、神奈川県内でも相続税の申告件数・課税価格ともに最も多い税務署です。そのため、税務署側のチェック体制や調査の目も相対的に厳しい傾向があります。実際に、評価額の妥当性や特例の適用要件に対する確認、申告漏れや名義預金の指摘といった点で、専門的な知識と対策が求められる事例が見られます。
不動産評価の根拠資料を明確に整理
評価明細書や役所資料、測量図など、土地評価の根拠を事前に整理しておくことが重要です。緑税務署は地元事情にも精通しているため、あいまいな評価や根拠の薄い特例適用は、調査対象になりやすくなります。
名義財産(名義預金・共有不動産など)の明確化
被相続人の名義であっても、実態が異なれば申告漏れとして指摘されるリスクがあります。特に家族名義の預金や共有不動産は、事前に所有実態を確認し、適正な取り扱いを検討する必要があります。
税務調査を見据えた書面添付制度の活用
税理士法第33条の2に基づく「書面添付制度」を活用することで、申告の適正性を税務署に対して示すことができ、調査対象となるリスクを軽減する効果が期待できます。
「書面添付制度」は、税理士が申告書の内容を十分に確認・検討したことを示す書類を添付する制度であり、申告の適正性を税務署に伝える手段のひとつです。
これにより、申告内容に関する疑義が生じた際にも、まずは税理士への意見聴取というステップが設けられるため、いきなりの税務調査を回避できる可能性があるというメリットがあります。
なお、当法人でも相続税申告の際に書面添付制度を活用しております。初回面談やご相談時に、制度の仕組みや活用のメリットについても丁寧にご説明いたしますので、ご興味のある方はお気軽にお申しつけください。
過去の贈与や資産移動も見落とさず整理
税務署は過去の財産移動にも着目します。過去の贈与や名義変更についても、経緯や証拠を整理し、説明可能な状態にしておくことが大切です。
緑税務署のように相続税申告が集中する地域においては、税務署対応まで見据えた慎重な準備が不可欠です。特に高額な不動産をお持ちの方や、過去に資産移動の履歴がある場合は、相続発生前から専門家と連携して“税務署に説明可能な状態”を整えておくことが、将来の安心につながります。
たまプラーザエリアの相続税対策③相続税の支払準備
資産の大部分が不動産の場合、「相続税をどう払うか」が大きな課題になります。現金・預金が少なく納税資金に不安がある場合は、生命保険などの活用も一つの方法です。また、延納や物納制度についても事前に確認しておきましょう。
生命保険の活用
生命保険は、相続対策として非常に有効な手段です。まず、法定相続人1人あたり500万円までの非課税枠が設けられており、保険金の一部を非課税で受け取ることが可能です。これにより、相続税の課税対象額を抑えることができます。
加えて、生命保険は「資産を増やして備える」という機能も持っています。例えば、掛金を拠出することで、契約時よりも多額の保険金を遺すことが可能となり、将来の納税資金や生活資金としての備えとなります。契約の仕方によっては、生前贈与と組み合わせることで、相続財産そのものの圧縮を図ることも可能です。
このように、生命保険は“非課税枠の活用”と“資金準備機能”の双方を兼ね備えており、不動産資産が中心のご家庭にとっては、納税対策・資金確保・財産圧縮の観点から多角的に活用できる制度です。
納税資金の準備計画
生前に相続税の概算額を試算しておくことで、必要な現金をどのように捻出するか、計画的に進めることができます。
延納・物納制度の理解
どうしても現金が足りない場合には、相続税の延納(分割払い)や物納(不動産などを納税に充当)といった制度も活用可能です。ただし、どちらも申請の要件が厳しく、準備や手続きが煩雑なため、事前の把握と早めの対策が重要です。
まとめ
円満相続税理士法人では、たまプラーザエリアの方々からのご依頼もたくさん受けてきました。単に申告書作成するだけでなく、二次相続や、その次の相続に向けたコンサルティングにも力を入れています。また、書面添付制度も標準装備していますので、調査に選ばれない申告書作成にも自信があります。
是非、一度、ご相談に来てくださいませ。最後までお読みいただき、ありがとうございました!