相続時精算課税制度とは、「生前贈与をするときは2500万円まで贈与税を非課税にしますが、贈与をした人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく、過去に生前贈与した財産も一緒に、相続税を課税しますよ」という制度です。
制度の概要や、この制度を利用するときの注意点を徹底解説します!
円満相続税理士法人 税理士
大学在学中に税理士を目指し、25歳で官報合格。大手税理士法人山田&パートナーズに入社し、年間30~40件の相続税申告に携わりました。丸6年間の実務経験を経て退社。地元関西に戻り、円満相続税理士法人に入社しました。現在も相続税申告を中心に業務に励んでいます!
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対して、財産を贈与した場合に、選択ができる贈与税の制度の一つです。
よく皆様が利用している「暦年贈与」は年間110万円までの贈与であれば贈与税がかかりません。
一方、この「相続時精算課税制度」は、2,500万円までの贈与については、贈与をした時においては、贈与税がかかりませんが、贈与をした人が亡くなった時には、この制度を利用して生前贈与した財産も一緒に相続税が課税されるという制度です。
なお、2,500万円を超えた贈与を行うと、その超えた部分には、一律20%の贈与税が課税されます。
相続時精算課税制度の基礎については、こちらで詳しく解説をしています♪
手続き方法は?
「相続時精算課税制度」を利用する場合には、その贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、財産をもらった人の住所地等を管轄する所轄税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出します。
この「相続時精算課税選択届出書」には、下記の書類を添付します。
・ 贈与を受けた人の戸籍謄本(抄本)
・ 贈与を受けた人の戸籍の附票の写し(平成7年1月3日以後に生まれた方は、必要ありません)
・ 贈与をした人の住民票の写し
なお、この選択届出書は、受贈者(財産をもらった人)が贈与者(財産をあげる人)ごとに選択が可能です。しかし、一旦選択をすると、選択した年以後は、贈与者が亡くなるまで届出の効力は継続し、暦年課税に変更することはできません。
また、この届出書は、提出をした年分以降の贈与全てに効力が生じます。
つまり、同一年中に、まず暦年贈与を行い、贈与税を納付した後に、相続時精算課税制度を利用して贈与をすることはできません。
例えば、令和4年1月に200万円を贈与。令和4年7月に2,500万円を贈与し、翌令和5年2月1日に相続時精算課税制度をを選択した場合には、【(200万円+2,500万円)-2,500万円】×20%=40万円の贈与税を納付することになります。
暦年贈与を利用して(200万円-110万円)×10%=9万円を納付。その後の贈与は相続時精算課税制度を利用して2,500万円-2,500万円=0円とすることはできません。
なお、相続時精算課税制度を利用して納付した贈与税額(上記の例であれば、40万円)については、贈与をした人の相続税額から控除することが可能です。
その他の注意点については、こちらで解説をしています♪
ご参考になれば幸いです♪