生命保険契約紹介制度とは

この度、父が亡くなりました。父は長年一人暮らしで、私は遠方に住んでいたので、父がどのような保険契約をしていたかわかりません。実家を探してみましたが、保険証券等も見当たらず、困っています。

相続専門税理士をしていると、よくこういったご相談をお受けします。

今までは、預金通帳から保険料の支払いがないかを確認し、支払いをしていれば、契約が残っていないか、問い合わせをする等、手当たり次第、捜索をしていました。

しかし、生命保険契約照会制度が創設され、令和3年7月1日から開始されたことにより、生命保険契約を簡単に把握することができるようになりました。

まだまだ、知名度の低いこの制度を、わかりやすく解説します!

最後までお読み頂ければ、生命保険契約が把握しきれず困っているという問題を解決することができます。

生命保険金の受取り手続き

生命保険金は、亡くなった日の翌日から3年を経過すると時効となり、請求ができなくなってしまう可能性があります。

生命保険金の受取り手続きについては、こちらで解説をしています♪

手続きを行うことができる人、手続きを行うにあたって必要となる書類など、細かく解説をしていますので、是非お読みください。

加入している生命保険契約がわからない

今まで

冒頭でもお伝えした通り、亡くなった人が加入していた保険契約が把握できないケースは、意外と多く存在します。

そのような場合には、これまでは、下記のような身近なものを手掛かりに、手当たり次第、生命保険契約を捜索していくしかありませんでした。

通帳に保険料の引き落とし履歴はないか

年末調整や確定申告で、生命保険料控除の適用を受けていないか

保険会社のカレンダーやボールペンなどの日用品はないか

これから

生命保険契約照会制度を使って、亡くなった人が加入していた保険契約を照会することが可能になりました。

生命保険契約照会制度とは?

概要

この制度を簡単に説明すると、一定の者が生命保険協会に照会をかけると、照会の対象となっている人(亡くなった人や認知症になってしまった人)の生命保険契約を一括して生命保険各社に調査し、調査結果をとりまとめて回答をしてくれるものです。いわば、生命保険契約の名寄せです。

なお、照会ができる事由は下記のとおりです。

死亡した場合

認知判断能力が低下した場合

災害によって死亡もしくは行方不明になった場合

近年の超高齢化社会において、高齢者が独居のまま亡くなっていく場合や認知症によって本人が加入している保険契約を把握できなくなってしまう事案が多発しています。さらに、これから、ますますこのような事案が増加していくことを想定してこの制度は創設されました。

この制度で調査ができるのは、個人保険契約です。ただし、財形保険契約や財形年金保険契約、既に支払いが開始している年金保険契約、保険金を据え置いている保険契約は、調査の対象外となります。

制度の開始時期

まだまだ知名度の低い制度ですが、既に運用が開始されています。

令和3年7月1日からスタートしています

流れ

生命保険契約照会制度の流れ①

生命保険契約を把握できていない人が、生命保険協会に照会をかけます。

依頼を受けた生命保険協会は、各保険会社に調査を依頼します。

生命保険契約照会制度の流れ②

調査依頼を受けた各保険会社は、契約がないか調査を行い、調査結果を生命保険協会に報告します。

生命保険協会は各保険会社からの調査結果をすべてまとめて、照会を依頼した人に回答をしてくれます。

方法

照会の方法は下記の2つから選択が可能です。

書面による申込み

生命保険協会のホームページの申込みフォームに、照会をする人の氏名や生年月日、住所などを入力し、送信をします。

照会制度事務局より、入力をした住所宛に、申請書等が郵送されますので、必要事項を記載し、必要書類を添付の上、照会制度事務局宛に郵送をすることにより、申請が完了します。

WEBによる申込み

こちらも生命保険協会のホームページより手続きを行います。

契約照会システムに、ユーザー登録を行います。マイページから、申請書等をダウンロードし、必要事項を入力の上、必要書類と合わせて、アップロードします。この方法では、手数料もマイページより画面案内に従って決済をします。

また、回答も、マイページにログインをして、ダウンロードをして確認をすることになりますので、日ごろからパソコン操作に慣れている方でなければ、この方法は難しいかもしれません。

照会ができる人と必要書類

照会ができる人と必要書類は、照会をする事由によって、大きく異なります

死亡によって照会をする場合には死亡診断書が必要となったり、認知判断能力の低下によって照会をする場合には生命保険協会指定の診断書が必要となる場合もあります

照会をする前に、生命保険協会ホームページよりご確認ください。

Q&A

手数料

とても便利な制度ですが、手数料が高額だったりしますか?

照会1件につき3,000円の手数料が生じます。

一般的な死亡や認知症により照会をする場合には、照会1件あたり3,000円(税込)かかります

調査の結果、契約が存在しなかった場合や照会内容に誤りがあった場合であっても、返金を受けることはできないので、注意しましょう。

なお、災害による照会の場合には、手数料が生じません

回答までの期間

照会にはどれくらいの期間がかかりますか?

手数料の支払いが確認できてから、14営業日程度かかるといわれています。

契約があったことが確認できた後

保険契約があることが確認できた場合、そのまま受取の手続きができますか?

この制度は、保険契約の有無を確認するための制度であり、内容の照会や受取の手続きまで行うことはできません

契約内容の照会や受取の手続きは、別途、保険会社に直接行うことになります。

また、照会をするために一定の書類を提出しますが、これらの書類は個人情報保護の観点から生命保険会社に提供されません。契約のあることが確認できた後の手続きには保険会社指定の必要書類を再度提出する必要があります。

円満相続税理士法人が代理人となって照会

円満相続税理士法人が私の代理人になって照会をしてもらうことはできますか?

申し訳ありません。代理人になって照会することはできかねます。

代理人になれる人は、弁護士、司法書士その他照会対象者としてふさわしいとして生命保険協会が認めた人だけという決まりになっています。残念ながら、税理士は、代理人になることができません。

しかし、生命保険契約の詳細が判明したのちの相続税申告については、しっかりとサポートをさせて頂きます♪

≫相続税申告プラン

まとめ

生命保険協会は、この制度を利用する前に、

生命保険証券を今一度、探してください

生命保険会社から定期的に送付されている郵便物がないか探してみてください

預金通帳から保険料の口座振替履歴を確認してみてください

それでも、把握できない場合には、この制度を利用してくださいとアナウンスしています。

いわば、最後の砦として、利用してね!ということですね。

このような制度を利用しないで済むようにエンディングノートの活用も有効です。

弊社代表税理士の橘が執筆した「ぶっちゃけ相続手続大全」には巻末にエンディングノートを掲載しています。また、突然起きる相続の手続きをどの書籍よりもわかりやすく解説していますので、是非お読みください。

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