【この記事の執筆者】枡塚 冴加

大学在学中に税理士を目指し、25歳で官報合格。大手税理士法人山田&パートナーズに入社し、年間30~40件の相続税申告に携わりました。丸6年間の実務経験を経て退社。地元関西に戻り、円満相続税理士法人に入社しました。現在も相続税申告を中心に業務に励んでいます!

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「先代から所有している地方の土地を誰も相続したがらないので困っている」

「相続した地方にある山林を手放したいけど、売却もできない。良い方法はありませんか?」

といったお話は、実務上、本当によくお伺いします。

現行の民法では、一部の財産を放棄し、必要な財産のみ相続するということは認められていないため、不要な不動産のみを放棄するということはできませんでした。

しかし、この度、所有者不明土地の発生を予防するための方策として、相続登記の義務化と共に、土地所有権を国庫に帰属させることができる制度が創設されることになりました。

所有者不明土地と相続登記の義務化については、こちらで詳しく解説をしています♪

ここでは、土地所有権を国庫に帰属させる制度である相続土地国庫帰属法について、詳しく解説をしていきます。

相続土地国庫帰属法とは?

2021年4月に成立した法律です。相続等によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。

簡単に言うと、「相続した不要な土地の所有権を国に対して返すことができる制度」です。

ただ、なんでもかんでも帰属を認めてくれるというわけではありません。

土地の維持・管理には、当然、費用や労力がかかるので、モラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件を定めています。

後述しますが、意外とこの要件はハードルが高いものです。

この新しい制度はいつから始まるの?

法律の中に、「交付(2021年4月28日)から2年以内の政令で定める日から施行」と記載があります。

政令はまだ、未設定なため、具体的に開始される日は未定ですが、2021年4月28日から2年以内ですので、2023年4月までには、開始される見込みです。

申請ができるのはだれ?

相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。以下「相続等」という)によりその土地の所有権を取得した人に限られます。

つまり、売買などで自ら積極的に取得した土地については、この制度の対象外です。

土地を数人で共有して所有している場合には、共有者の全員が共同して申請する必要があります。

共有の場合、所有者の中には、相続等以外の原因でその持分を取得した人が含まれている場合があります。

この場合には、相続等により持分を取得した人と共同すれば、この申請を行うことが可能です!

例えば、AとBが共同してある土地を購入しました。

ほどなくして、Aが死亡し、その土地の持分は相続人であるCが引き継ぎました。

Aの相続を機に、BとCは共同して所有権を国庫に帰属させるための申請を行うことにしました。

この場合、Bの取得原因は相続等以外(売買)ですが、相続等で取得したCと共同して申請をするため、Bについても申請することが可能というわけです。

要件は?

簡単にまとめると

「抵当権等の設定や争いがなく、建物もない更地」

ということになります。

通常の管理や維持に必要以上の費用や労力がかかる面倒な土地はお断りというわけです。

具体的には、以下の10項目のいずれにも該当していないことが要件になります。

①建物がある土地

②担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

③通路など他人によって使用されている土地

④土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地

⑤境界があきらかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地

⑥崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地

⑦工作物や樹木、車両などが地上にある土地

⑧除去が必要なものが地下にある土地

⑨隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地

⑩その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地

費用は?

審査手数料がかかります。審査手数料については、詳しいことはまだわかっていません。

また、実際に承認を受けた場合には、10年分の土地管理費用相当額の負担金の納入が必要になります。

この負担金は、土地の地目や面積、周辺の環境など、実情に応じて算出するとされていますが、詳細は明らかになっていません。

参考までに現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、以下の通りです。

・市街地200㎡の宅地:約80万円

・粗放的な管理で足りる原野:約20万円

管理費用には、柵や看板を設置するための費用、草刈りや巡回のための費用が含まれています。

手続きの流れ

申請書と一定の添付書類を提出し、審査手数料を支払います。提出先は法務局になると考えられます。

申請書には、

・承認申請者の氏名又は名称、住所

・承認申請に係る土地の所在・地番・地目及び地積(すべて登記簿謄本で確認が可能です)

を記載します。

添付書類の詳細はまだ決まっていません。

法務大臣が要件に見合っている土地かの審査を行います。

実際には、権限の一部を法務局や地方法務局に委任し、そちらの職員の方が審査を行います。

職員には、申請された土地やその周辺の地域にある土地の実地調査を行い、必要に応じて申請者やその土地の関係者から事実を聴取したり、追加の資料提供を求めることができる権限が与えられています。

要件を全て満たしていた場合、法務大臣から承認の通知がされます。

ちなみに、以下に該当する場合には、申請は却下されます。

・承認申請の権限のない人からの申請の場合

・要件に該当しない土地、申請書や添付書類、負担金の規定に違反している場合

・事実の調査に協力しない場合

「費用は?」で解説をした負担金を納入します。

実際の負担額は、承認と合わせて、法務大臣から通知されます。

承認の通知を受けてから30日以内に納入しない場合には、承認の効力は失われますので、注意しましょう!

土地の所有権は、申請者が負担金を納付した時点で国庫に移転するものとされています。

承認の取消・損害賠償請求

申請の内容に偽りがあった場合や、不正をした場合には、当然に承認は取り消されます。

また、それによって、国が損害を受けた場合には、損害賠償を請求されることもあるので、決して、「不要な土地の引き取り先がないから…」といって、虚偽の申請をしないようにしましょう!

まとめ

今後定められる政省令において具体化されることも多いため、まだまだ明確でない部分がたくさんあります。

明確なことが公表され次第、改めてご紹介します♪

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