健康保険 死亡時の手続きは?医療保険制度資格喪失の手続き一覧

2021.06.26

こんにちは、税理士の枡塚です。

日本では、相互扶助の考えのもと、いつ、どこで、誰が、遭遇するかわからない万が一に備えて、お互いに資金を出し合ってともに助け合うための下記のような制度が設計されています。

ここでは、社会保険制度のうち、亡くなった場合の医療保険に係る手続きについて、解説をしていきます!

【医療保険制度とは?】

まず、医療保険制度の概要について簡単にお話をします。

相互扶助の精神に基づき、国民みんなが加入することを義務づけられています。病気やケガに備えて、あらかじめ保険料を出し合い、実際に医療を受けたときに、医療費に充当される仕組みです。医療機関を受診すると、原則1割~3割の自己負担で済みますが、残りの9割~7割は、自身が加入している医療保険から医療機関に支払いがされています。

また、医療保険は、大きく下記の3つに分類されます。

・健康保険は、サラリーマンなどの民間企業等に勤めている人やその扶養されていた家族が加入する医療保険制度です。個人ごとに年齢や収入に応じて保険料が算定され、その半分を個人が負担、もう半分を務めている企業が負担します。

・国民健康保険は、自営業者、農業者、会社を退職しその会社の健康保険を任意継続せずに脱退した人、無職の人及びその扶養されていた家族が加入する医療保険制度です。言い換えれば、健康保険、後期高齢者医療保険のどこにも属さない方が加入するものです。保険料算定の仕組みは、前年の所得、加入者数、年齢をもとに計算します。

・後期高齢者医療保険は、75歳(寝たきり等一定の障害があると認定された場合は65歳)以上の人が加入する医療保険制度です。保険料算定の仕組みは前年所得に応じて計算される所得割額と全員が等しく負担する均等割額をもとに計算します。

ご自身やご家族が加入されている医療保険制度がどの制度か、お分かり頂けましたでしょうか?

【健康保険に加入している方(会社員等)が亡くなった場合】

加入している医療保険制度ごとに手続きが異なりますので、それぞれ確認をしていきましょう!

健康保険に加入されていた方(会社員等の方)が亡くなった場合には、資格喪失に関する手続きは、基本的に勤務していた会社の担当者が行います。勤務先は、亡くなった日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があるため、速やかに勤務先に連絡をしましょう。

保険証は勤務先を通して返却されるため、亡くなった本人と扶養されていた家族の保険証は勤務先に渡します。

やむを得ず自身で返却する場合には、会社の住所がある各都道府県の協会けんぽや会社が加入してた健保組合に返却をします。保険証に協会けんぽ等の名称と住所の記載がありますので、自身で返却する場合には、そちらに問い合わせをすることをお勧めします!

また、亡くなった翌日より保険証は使用ができなくなります。扶養されていた家族は、会社員である別の家族の扶養に入らない場合には、国民健康保険への切り替え(加入)手続きを行う必要があります。

なお、国民健康保険への切り替え(加入)手続きは、死亡した翌日から14日以内に、お住まいの市区長村に「国民健康保険関係届」を提出することにより行います。その際、次のものが必要になります。

健康保険資格喪失証明書(協会けんぽや健康保険組合または事業所が発行したもの)
・マイナンバーがわかるもの(なくても手続きは可能です)
・印鑑

郵送でも手続きが可能です。ただし、窓口で手続きを行い、運転免許証などで、加入者本人と確認できる場合は、当日に保険証の受領を受けることができます

※市区町村によって、様式が異なります。 

〈一緒に手続きしましょう!〉
健康保険の手続きと合わせて、以下の手続きも一緒に行うとスムーズです。

◆埋葬料
亡くなった被保険者に生計を維持されており、埋葬を行う方に、埋葬料として一律5万円が支給されます。この「生計を維持されていた」とは、被保険者に生活費の全部または一部を負担してもらっていたことを意味し、民法上の親族である必要はありません。

また、申請できる人(被保険者に生活費を負担してもらっていた人)がいない場合は、実際に埋葬をした人が申請をすることができます。この場合、5万円を上限として、実際に埋葬にかかった費用(埋葬費)が支給されます。

申請書は協会けんぽや亡くなった方が加入していた健康保険組合のホームページ等から入手が可能です。事業主に記載をしてもらう箇所があります。

また、親族でない方が申請をする場合には、埋葬に要した費用の領収書の添付が必要になります。

これらを準備した上で、亡くなった方の勤務先の管轄協会けんぽ(年金事務所)もしくは健康保険組合に提出をします。
申請は、亡くなった日(親族でない方が申請をする場合には、埋葬をした日)の翌日から2年で時効となりますので、忘れず手続きを行いましょう!

◆年金
遺族厚生年金等の受給が可能な場合があります。また、国民年金への加入が必要な場合があります。年金関連については、別の記事にて、詳しく解説をします。

【国民健康保険に加入している方が亡くなった場合】

国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に「国民健康保険資格喪失届(国民健康保険異動届出書)」を亡くなった方の住んでいた市区町村役場に提出しなければいけません。
届出ができる人は、世帯主もしくは同一世帯の人(委任状があれば、代理人でも可能)です。
その際、次のものが必要になります。
・国民健康保険証
・死亡を証明する書類(戸籍謄本や死亡届のコピーなど)
・窓口で手続きをする人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑(認印でOKです)
市区町村によっては、死亡届を提出すれば、国民健康保険資格喪失届は不要となるところもあります。
亡くなった加入者本人の保険証は市区長村役場に返却をします。また、世帯主が亡くなった場合で、同一世帯に加入者がいる場合には、保険証の世帯主欄を変更する必要がありますので、持参してください。
なお、国民健康保険資格喪失届は、郵送でも手続きすることが可能な市区町村もありますので、郵送手続きを検討される方は、事前に市区町村に確認をしましょう!

保険証の世帯主欄を変更するためには、まず、世帯主の変更届を行いましょう。世帯主の変更については、こちらの記事で詳しく解説をしています!

ちなみに、会社員等が加入している健康保険では、被保険者は本人のみで、その家族は被扶養者と呼ばれます。一方、国民健康保険では、家族一人ひとりが被保険者となります。ただし、届出や保険料の納付は、世帯ごとに世帯主が行うことになります。

これは、世帯主が健康保険に加入している場合であっても同様です。世帯主の変更届は早急に済ませるようにしましょう!

〈一緒に手続きをしましょう!〉
国民健康保険の手続きと合わせて、以下の手続きも一緒に行うとスムーズです。

◆葬祭費
国民健康保険に加入をしていた方が亡くなった場合には、葬祭費として5~7万円が支給されます。金額は市区町村によって異なりますが、東京都で最も人口が多い世田谷区では、7万円が支給されます。
申請ができる人は、葬祭執行人いわゆる喪主です。ちなみに、喪主とは遺族の代表者であり、葬儀全般を取り仕切る人のことをいいます。

申請書は各自治体によって、様式が異なります。市区長村役場の窓口もしくはホームページから入手が可能です。

申請に必要なものは下記の通りですが、こちらも自治体によって異なりますので、申請前にご確認頂くことをお勧めします。インターネットで「●●区 葬祭費」などと検索をして頂くと簡単に必要なものを確認することができます!
ここでは、代表的なものをご紹介します。
・亡くなった方の保険証
・申請者の本人確認書類
・申請者の印鑑(認印でOKです)
・葬儀の領収書(宛名が申請者である喪主と同一である必要があります。コピーで可能な市区町村もあれば、原本が必要となる市区町村もあります。)
・申請者の振込口座の確認ができるもの(申請者以外の口座に入金する場合には、委任状が必要です。)
市区町村によっては、死亡診断書や火葬許可証などの死亡が確認できる書類や、喪主であることを証明するための書類として会葬礼状などの提出が求められているところもあります。

申請をしてから、約1か月後に指定口座に入金がされるのが一般的です。申請は、葬儀をした日から2年で時効となりますので、忘れずに手続きをしましょう!

◆年金
遺族基礎年金等の受給が可能な場合があります。年金関連については、別の記事にて詳しく解説をします。

【後期高齢者医療保険に加入している方が亡くなった場合】

後期高齢者医療保険は、都道府県ごとに全市区町村が加入する「後期高齢者医療広域連合」が運営をしています。保険料の決定、医療費の支給などは広域連合が行いますが、保険料の徴収、届出関連は市区長村にて行っています。

後期高齢者医療保険に加入している方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に「後期高齢者医療障害認定申請書及資格取得(変更・喪失)届書」の提出が必要になります。

その際、必要なものは次の通りです。
・亡くなった方の保険証
・申請者の印鑑(認印でOKです)
市区町村によっては、マイナンバーや届出をする人の本人確認書類が必要となる場合もあります。
また、国民健康保険と同様、死亡届を提出していれば、「後期高齢者医療障害認定申請書及び資格取得(変更・喪失)届書」の提出が不要となる場合があります。その場合、医療機関での精算など保険証が必要となる手続きが終了した後に、市区町村役場の担当窓口に保険証を返却することになります。

各連合会によって、様式は異なりますが、都道府県後期高齢者医療広域連合会や各都道府県のホームページもしくは市区町村役場の担当窓口で入手が可能です。提出先は、市区町村役場の担当窓口です。
ちなみに、後期高齢者医療保険制度には、扶養という考えがないため、加入者全員が個々に保険料を支払いしています。そのため、後期高齢者医療保険制度に加入している夫が亡くなった場合でも、健康保険のように、妻は国民健康保険への加入手続きが必要となるなど、別途手続きが生じることはありません。

一緒に手続きをしましょう!
後期高齢者医療保険の手続きと合わせて、以下の手続きも一緒に行うとスムーズです。

◆葬祭料
後期高齢者医療保険に加入をしていた方が亡くなった場合には、葬祭費として3~5万円が支給されます。金額は市区町村によって異なりますが、東京都で最も人口が多い世田谷区では、5万円が支給されます。
申請ができる人は、葬祭執行人いわゆる喪主です。(喪主とは、国民健康保険の葬祭費請求でご説明したとおりです)

申請書は各自治体によって異なりますが、市区町村役場の窓口またはホームページから入手が可能です。また、後期高齢者医療保険に加入していた方の葬祭費の申請書は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合のホームページからも入手ができるところがあります。

必要な書類等は、国民健康保険に加入している方が亡くなった場合の葬祭費の請求と同様です。

【まとめ】

お亡くなりになられた方が、どの医療保険に加入していたかによって手続きが異なります。また、世帯主の変更や葬祭費の請求など、あわせて手続きを進める必要があるものも存在していますので、慌てることのないよう、どのような手続きが必要になってくるか、事前に確認しておきましょう!

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