こんにちは、円満相続税理士法人の伊藤です!

お亡くなりになったご親族などから土地を相続した際、相続税を計算する基準となるものが評価額です。

今回は、「歴史まちづくり法」の認定重点区域にある土地の相続税評価について、取り上げます。

「歴史まちづくり法」とは、歴史的建造物や伝統的祭礼行事など、歴史的風致の維持・向上を図るために、2008年(平成20年)に制定された法律です。
この法律に基づいて認定された重点区域にある土地は、相続税の計算において、評価減を受けることができるケースがあります。
その条件や実際の事例などについて解説します。

「歴史まちづくり法」に基づく認定重点区域とは

歴史まちづくり法は、歴史的建造物や伝統的祭礼行事など、歴史的風致の維持・向上を図るために制定された法律です。

この法律に基づき、市町村が策定する歴史的風致維持向上計画が国に認定されると、その取組がさまざまな形で支援されるというものです。

令和6年7月17日時点で、97都市(40府県)が重点区域に認定されています。

国土交通省のホームページより、認定計画の一覧を確認することができます。

まずはご自分の土地が「歴史まちづくり法」の対象地域になっているかどうか、ご確認下さい。

>>対象地域のご確認はこちら

例えば、弊社名古屋事務所の周辺地区である東海三県の認定重点区域は、以下通りです。

・愛知県

 (犬山市)犬山城下町周辺地区

 (名古屋市)名古屋城周辺地区、熱田地区、志段味地区、有松地区

 (岡崎市)岡崎城下及び東海道地区、滝山寺地区

 (津島市)津島市歴史的風致維持向上区域

 (西尾市)西尾城下町・八ツ面山区域

・三重県

 (亀山市)亀山市東海道沿道区域

 (明和町)斎宮跡周辺地区

 (伊賀市)上野城下町区域、観菩提寺と大和街道島ヶ原宿区域、大村神社と初瀬街道阿保宿区域

・岐阜県

 (高山市)城下町高山

 (恵那市)城下町岩村地区、宿場町大井地区

 (美濃市)城下町上有知地区、和紙の里牧谷地区

 (岐阜市)金華・鵜飼屋区域

 (郡山市)城下町郡山八幡地区

お城や神社、仏閣など歴史上価値の高い建造物があり、周辺には、城下町や宿場町など、その地域固有の風情や情緒を醸し出している地域が認定されています。

相続税における財産評価の方法

歴史まちづくり法に基づく認定重点区域にある土地は、相続税評価において減額されることがあります。

・評価額=通常の評価額-通常の評価額×30%

つまり、重点区域でない一般的な場所にある土地の評価額よりも、30%の減額評価が受けられる可能性があり、結果として相続税の減額につながります。

具体的な条件を知るために、国税庁の質疑応答事例における「歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の評価」のポイントをまとめました。

認定重点区域における歴史的風致を形成し、その保全を図る必要があること(一体となって歴史的風致を形成している土地又は物件を含む)

増築等の際は、市町村長に届出が必要など、登録有形文化財と同程度の法的規制や利用制限を受けること

ポイントは、歴史的風致形成建造物の指定を受けた建造物そのものではだけではなく、一体となって歴史的風致を形成している土地又は物件を含むという点です。

したがって、お城周辺の城下町の中に自宅があるケースにおいても、適用できる可能性があります。

ただし、増築等をする場合に、市町村に届け出をしなければならないなど、一定の制限を受けていることが必要です。

実際の事例紹介(犬山城下町周辺地区)

実際の事例として、愛知県の犬山城下町周辺地区では、相続税における土地評価で30%減額になったケースがあります。

認定重点区域の城下町にある自宅の土地評価を行います!

国宝犬山城の周辺は、現在も江戸時代と変わらない町割り(町の区画)がそのまま残り、歴史的な建造物が立ち並びます。

景観法第9条6項に基づく犬山市景観計画に定められている城下町ゾーンに該当し、一定規模以上の建築などの行為については、行為の着手30日前までに届出が必要となります。

税務署に上記を伝えたところ、適用可能と回答を得て、通常の評価額から30%減額ができました。

景観法の規制を受ける地区においても、建築物の建築の際に届出が必要なケースがありますが、それだけでは、この取扱いの評価減を受けることはできません。「歴史まちづくり法」に基づく認定重点区域であることが必要となります!

適用せずに相続税申告してしまった場合

この取扱いを知らず、減額の適用をせずに相続税申告をしてしまいました…

税務署は、相続税を多く払ってもらう分には何も言わないですからね。
申告期限から5年以内であれば、更正の請求により、払いすぎた税金の還付を受けることができます!
更正の請求は、税務署内で厳正な審査がありますので、税理士に相談することをオススメします。

>>更生の請求の徹底解説はこちら

まとめ

今回は、歴史まちづくり法の認定重点区域にある土地の評価について、解説しました。

認定重点区域にある土地は、一定の条件を満たすと判断できれば、土地の評価額を30%も減少させることができます。

つまり、この取扱いを知っているかどうかで、相続税の評価額が大きく変わってきます。

相続税申告の8割は、払い過ぎ(過払い)と言われています!
その原因は、税理士の土地評価の技術の差です。
土地の評価は複雑なため、相続に強い税理士に相談してみることをオススメします!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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