遺言は放棄できる?

父の遺言で田舎の土地をもらうことになっているんですが、放棄できないですか?

祖母の遺言で、孫の私に預金をくれるって書いてあったけど、親にもらってほしいな。。。

こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です。

せっかく遺してくれた遺言ですが、遺言の内容は放棄できるのでしょうか?

実は、放棄できるんですが、遺言の内容によって手続きが異なってきます!

今回は、どのような場合に、どうすれば放棄できるのか、またほかに手放す方法はないのか、わかりやすく解説していきます。

最後までお読みいただければ、遺言の内容を放棄できる場合が分かるようになりますよ♪

遺言で財産を渡す場合、「相続」と「遺贈」がある!

遺言で財産を渡す場合、「相続」と「遺言」の2種類があります。

まずは、遺言の内容がどちらに該当するか判断することが必要です。

相続

相続は、亡くなった方の財産を包括的に承継することを言います。

「長男に土地Aを相続させる」「二女に財産の1/2を相続させる」など、法定相続人に対して財産を渡す場合は、「相続」です。

なお、特定の財産を相続させる旨の遺言のことを「特定財産承継遺言」とよびます。

遺贈

遺贈は、遺言により財産を他人に贈与することを言います。

法定相続人以外に財産を渡す場合は、「遺贈」です。

「内縁の妻に財産の1/2を遺贈する」「孫に預金100万円を遺贈する」といった感じです。

ただし、法定相続人に対して「遺贈」することも可能です。

遺贈には、「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類がある!

「包括遺贈」は割合で遺贈する方法です。

「内縁の妻に財産の1/2を遺贈する」といった感じです。

実は、包括遺贈を受けた方は相続人と同じ扱いをするという民法のルールがあります。

「特定遺贈」は、特定の財産を指定して遺贈する方法です。

「孫に預金100万円を遺贈する」といった感じです。

ここまでで、「相続」「包括遺贈」「特定遺贈」の3種類のどれに該当するか判別できましたか?

次から、どのようにして放棄できるか解説していきます。

ちなみに、放棄された財産は未分割の状態になりますので、相続人で遺産分割協議をして分けます。

遺言を放棄する方法

「特定遺贈」はいつでも放棄できる!

やり方は、相続人または遺言執行者に対して、放棄する意思を示すだけです。

ただ、実務的には、証拠を残すために、内容証明郵便で行います。

また、いつでも放棄をすることができます。

なお、相続人が特定遺贈を放棄しても、相続放棄したことにはなりません。

「包括遺贈」の放棄は相続放棄の手続きが必要!

包括遺贈を受けた方は相続人と同じ扱いをされます。

相続放棄と同様に、家庭裁判所への申述が必要です。

しかも、期限があり、包括遺贈があることを知ったときから、3か月以内です。

「相続」は相続放棄が必要!

相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。

≫相続放棄について、詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

ただし、相続人でなくなりますので、例えば遺言に記載のない財産を相続する権利も失います。

なので、

相続人としての地位を残しつつ、遺言の内容のみ放棄することはできません!

父の遺言で田舎の土地をもらうことになっているんですが、田舎の土地だけ手放して他の財産を相続することはできないですか?

3か月を過ぎてしまった場合にできることはないですか?

方法はあります!説明していきますね!

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その他の方法

相続人等全員の同意のもと、遺産分割協議をする!

相続人、遺贈で財産をもらう人、遺言執行者などの全員の同意があれば、遺言の内容を無視して、ゼロから相続人で遺産分割協議をすることができます。

相続土地国庫帰属制度を使う!

土地の所有権を手放して国庫に帰属させる、相続土地国庫帰属制度が、令和5年4月27日から始まります!

対象は、相続または遺贈により取得した土地です。

≫相続土地国庫帰属制度について、詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

共有財産であれば、持分を放棄する!

共有者がその持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属すると民法に定められています。

例えば、1筆の土地を長男と二男でそれぞれ1/2ずつ共有していた場合に、長男が持分を放棄すると、長男の1/2が二男に帰属し、二男が100%所有する土地になります。

持分の放棄は一方的な意思表示でできますが、他の共有者に贈与税がかかってしまうおそれがありますので、注意しましょう。

まとめ

遺言の内容を放棄する方法はありますが、

特定遺贈以外の場合は、相続放棄の手続きを取らなければなりません。

家族仲が円満ですと、相続人全員の同意で、遺産分割協議で分け方を変更することも可能です。

実は、実務上、遺言と異なる分け方を遺産分割協議ですることもあります。

それは、遺言どおり分けると相続税が高くなることがあるからです!

遺言書を書く前に相続に強い税理士に相談してみることをオススメします!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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