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  • 誰が先に亡くなったか分からない場合は!?相続における同時死亡の推定について解説!
相続における自動死亡の推定

交通事故や自然災害によって、家族のうち複数の人間が亡くなった場合、誰が先に亡くなったかわからないケースがあります。

誰が先に亡くなったかわからないと、相続の割合を確定できないので、相続の手続きを進めることができません。

誰が先に亡くなったかわからない場合に、同時に亡くなったと推定する民法の制度を、同時死亡の推定といいます。

今回は、相続における同時死亡の推定について解説します。

同時死亡の推定とは?

同時死亡の推定とは、数人が死亡した場合において、誰が先に死亡したか明らかでない場合は、数人が同時に死亡したと推定する規定です(民法32条の2)。

たとえば、長男と次男が車に搭乗中に交通事故にあってどちらも亡くなった場合に、どちらが先に死亡したかが不明な場合は、長男と次男は同時に死亡したと推定されます。

相続の手続きや割合は、誰が先に亡くなったかで変わってくるため、死亡の前後関係が明らかでない場合は、そのままでは相続の手続きを進めることができません。

誰が先に亡くなったか明らかでない場合に、同時に死亡したと推定することで、相続の手続きを進めることが可能になります。

同時死亡の推定が適用される主なケースとしては、家族が同乗中の自動車事故、家族で旅行中の飛行機・列車事故・大震災や津波などの自然災害があります。

なお、同時死亡の推定はあくまで推定なので、どちらが先に亡くなったかを証明できる場合は、推定を覆すことができます。

亡くなった順番によって相続の結果が変わる

家族が相次いで亡くなった場合、亡くなった順番によって相続の結果が変わってくるので、ケースごとに解説します。

わかりやすい例として、父・母・子・祖父(父の父)の4人家族において、父の財産が3000万円(子の財産はないものとします)あり、父と子が亡くなった場合で考えてみましょう。

父と子がどのような順番で亡くなったかによって、相続の結果が変わってくるので、ケースごとに見ていきます。

父が先に亡くなった場合

まず父が亡くなり、次に子が亡くなったケースです。

父が運転する車に子が同乗しており、事故によってまず父が即死し、次に病院に搬送された子が亡くなった場合などです。

まず、父が亡くなったことで、父を故人とする最初の相続が発生します。

最初の相続における相続人は、母と子の2人であり、祖父は相続人ではありません。

法定相続分(民法が定める相続の割合)で遺産3000万円を分割すると、母が1500万円、子が1500万円を相続します。

次に、子が亡くなったことで、子を故人とする2番目の相続が発生します。2番目の相続における相続人は、母1人であり、祖父は相続人ではありません。

子の遺産は、最初の相続で父から相続した1500万円です。相続人は母1人なので、母が1500万円全てを相続します。

父が先に亡くなった場合、父の遺産3000万円の全てを母が相続するのと同じ結果になります。

子が先に亡くなった場合

まず子が亡くなり、次に父が亡くなったケースです。

父が運転する車の事故によってまず子が即死し、次に病院に搬送された父が亡くなった場合などです。

まず、子が亡くなったことで、法的には子を故人とする最初の相続が発生します。

最初の相続における相続人は、父と母の2人です。しかし、子に財産はないので、最初の相続では特に手続きがありません。

次に、父が亡くなったことで、父を故人とする2番目の相続が発生します。2番目の相続における相続人は、母と祖父の2人です。

法定相続分で遺産3000万円を分割すると、母が2000万円、祖父が1000万円を相続します。

父と子が相次いで亡くなった事例において、父が先に亡くなった場合は、母が父の遺産を全て相続する結果になります。

しかし、子が先に亡くなった場合は、父の遺産を母と祖父の2人が相続します。

同時死亡の推定による相続

同時死亡の推定が適用される場合、亡くなった相続人同士では、相続が発生しなかったものとして扱われます。

たとえば、父と子が交通事故で亡くなって、同時死亡の推定が適用されると、父と子の間では相続が発生しません。

父・母・子・祖父(父の父)の4人家族において、父の財産が3000万円・子の財産が1000万円あり、父と子が亡くなった場合で見てみましょう。

父と子の死亡に同時死亡の推定が適用された場合、まず、父が故人となる相続については、子は相続人ではないものとして扱われます。

その結果、父の遺産3000万円については、母と祖父の2人が相続人となり、母が2000万円、祖父が1000万円の割合で相続します。

次に、子が故人となる相続については、父は相続人ではないものとして扱われます。

その結果、子の遺産1000万円については母1人が相続人となり、母が1000万円全てを相続します。

2つの相続の結果としては、母が3000万円、祖父が1000万円を相続します。

同時死亡でも代襲相続は発生する

代襲相続とは、相続人になるはずの人が相続前に亡くなった場合に、その子どもが相続をすることです。

たとえば、祖父が亡くなって相続が発生する前に、祖父の子がすでに亡くなっていた場合は、その子である孫が、祖父の遺産を相続します。

同時死亡の場合でも、代襲相続は発生します。

たとえば、祖父・祖母・祖父の子・祖父の子の妻・孫の5人家族において、祖父の遺産が1000万円・祖父の子の遺産が500万円であるとしましょう。

祖父と祖父の子が交通事故で亡くなって、同時死亡の推定が適用された場合、代襲相続によって孫が祖父の遺産を相続します。

祖父が故人である相続については、相続人は祖母と孫の2人です。それぞれの法定相続分は祖母が500万円、孫が500万円です。

次に、祖父の子が故人である相続については、相続人は祖父の子の妻と孫の2人です。

それぞれの法定相続分は祖父の子の妻が250万円、孫が250万円です。

まとめ

同時死亡の推定とは、数人が亡くなった場合において、誰が先に亡くなったか明らかでない場合は、同時に死亡したものと推定する制度です。

同時死亡が適用された場合、同時に死亡した者同士の間では相続は発生しませんが、代襲相続は発生します。

同時死亡の推定はあくまで推定なので、どちらが先に亡くなったかが客観的な証拠によって明らかになった場合は、推定を覆すこともできます。

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