円満相続税理士法人 税理士
大学在学中に税理士を目指し、25歳で官報合格。大手税理士法人山田&パートナーズに入社し、年間30~40件の相続税申告に携わりました。丸6年間の実務経験を経て退社。地元関西に戻り、円満相続税理士法人に入社しました。現在も相続税申告を中心に業務に励んでいます!
株式は「準共有」状態になる
会社を経営していた父が亡くなりました。
父は会社の株式の大半を所有しており、現在残された子供たちで遺産分割協議中ですが、難航しそうです。
亡くなったお父様がお持ちであった株式は、遺産分割協議が成立するまでの間は、「準共有」状態になります。
株式は、議決権などの会社経営に関する権利も含んでいるため、相続が発生したからといって当然に分割されるものではなく、(遺言書がない場合には)必ず、遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議が成立するまでの間は、相続人全員の準共有の状態になります。
例えば、亡くなった方が所有していた株式が2株で、相続人が子供2人だったとすると、遺産分割が成立するまでの間は、1人1株所有するというわけではなく、2人で2株を共有することになります。
「準共有」状態になると、その会社が権利を行使することに同意をした場合を除き、議決権の行使ができません。
会社にとっても大問題です。
「準共有」状態での議決権の行使
しかし、「準共有」状態であっても、議決権を行使できる方法があります。
権利行使者の指定・通知をする
準共有者は全員で、「権利行使すべき者(以下「権利行使者」という)を指定し、会社に通知することによって、亡くなった人が所有していた株式について、議決権の行使が可能になるというわけです。
この権利行使者は、準共有されている株式の持分の過半数によって定めることになります。
<最高裁平成9年1月28日>持分の準共有者間において権利行使者を定めるにあたっては、持分の価格に従いその過半数をもってこれを決することができるものと解するのが相当である。けだし、準共有者の全員が一致しなければ権利行使者をしているすることができないとすると、準共有者のうちの一人でも反対すれば全員の社員権の行使が不可能となるのみならず、会社の運営にも支障を来すおそれがあり、会社の事務処理の便宜を考慮して設けられた右規定の趣旨にも反する結果となるからである。
なお、会社側の同意さえあれば、準共有状態となった株式について議決権の行使が可能です。
しかし、平成24年11月28日東京高裁の判決において、「会社が自らにとって好都合な意見を有する準共有者に議決権の行使を認めるこを可能とする結果となるため、相当ではない」と、会社側の同意による議決権の行使を違法としていますので、注意が必要です。
準共有になるのを防ぐには?
生前に後継者が決まっているのであれば、準共有状態になることを避けるため、以下のような方法が考えられます♪
生前に後継者へ株式の贈与をしておく
遺言書を作成し、後継者に株式が承継されるようにしておく
遺言書の書き方や必要になる書類、気になる手数料については、こちら♪
ただし、後継者への株式の承継は、争続(そうぞく)のもととなることがあります。
後継者と他の相続人とのバランスを考慮して、進めていきましょう(^^)/
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ご参考になれば幸いです♪
※なお、定款への具体的な記載文については、我々税理士の業務範囲外となります。ご了承ください。
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