相続開始前3年以内の贈与は無かったことに?でも孫ならOKです!

2021.06.29

【この記事の執筆者】橘 慶太

相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。

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こんにちは!相続専門税理士の橘です。

みなさんご存知でしょうか?

生前贈与をしてから3年以内に、その贈与した方が亡くなってしまった場合には、その贈与はなかったことにされます。

相続税をちょっとでも少なくしようと思い、一生懸命に生前贈与をするご家庭はたくさんいらっしゃいます。

しかし、残念なことに、3年経過しないと節税の効果は一切でてこないのです。

今回は、生前贈与の3年内加算のルールについてと、この制度への対策をご紹介していきます。

【そもそも3年内加算とはどのような制度ですか?】

事例を使って解説していきましょう。

例えば、ここに甲さんという方がいたとします。
この甲さんは平成27年の時点で財産が1億円あります。

このままだと将来、相続税がかかってしまうなぁと思い、子供に対して生前贈与をしようと考えました。

まずは、平成27年に子供に対して300万円の生前贈与を行いました。
非課税となるのは110万円ですので、300万円に対して贈与税が課税されます。この場合の贈与税は19万円です。

お金をもらった子供は、しっかりと贈与税の申告をして贈与税も支払いました。
そして、同じことを平成28年、平成29年と順調に繰り返していきました。

しかし、残念なことに、平成30年6月25日に、甲さんは亡くなってしまいます。

もともと1億円持っていた甲さん。
生前贈与で300万円ずつ財産が減っていますので、亡くなった時にいくら手元に残っているかというと・・・

9100万が手元に残っていました。

残された家族からすると、
「元々1億円あった財産が9千万まで少なくできたなら、少しは相続税の対策になったのかしらね。」

と思っていました。

しかし、

残念なことに、ここで出てくるのが・・・・

3年内加算のルールです!!

このルールは、亡くなってしまった日(平成30年6月25日)を起点として遡ること過去3年間!
この間に行われた生前贈与で渡した財産については、亡くなった時の財産に足し戻して相続税を計算しなければいけないのです。

つまり、この甲さんの場合には、結局1億円に対して相続税が課税されてしまうのです!

勘の鋭い方だとここで疑問に思うことがでてくると思います。

それは・・・・

「1億円に対して相続税が課税されるなら、300万円に対して課税された贈与税19万円はどうなっちゃうんだ?また税金をかけるなんて2重課税じゃないか!!」

一度課税された財産に、もう一度税金を課税するのは2重課税と言って、あってはならないことです。

そこで、このような場合には、一度1億円から相続税を計算した後に、既に支払いが終わっている贈与税を、相続税から差し引いて最終的に納税をしてもらうことになります。

この取扱いがあるため、税金が2重で取られるということはありません。
つまり、贈与をして損するということはないのです。

ただ、ここで重要なポイントは、

亡くなる前3年以内に行われた生前贈与はなかったことにされてしまうということです。

また、この事例では300万円という金額で解説をしましたが、この制度は、110万円以内の贈与にも適用されます。贈与税の申告をしているかどうかは関係ありません。3年以内のものは戻されてしまうのです。(たまに110万以内の贈与なんて、税務署に黙っていれば、ばれないじゃないか!という人がいますが、そう思う人はこちらのブログをご覧ください)

相続税の税務調査の全貌

この制度は、元々、相続税を少なくすることだけを目的として、亡くなる直前に駆け込みで生前贈与をすることを防ぐ目的で導入されました。

生前贈与をするのであれば、お元気な時に早い内から初めるのが重要なんですね。

【孫への贈与は3年内加算にならない?】

実はこの3年内加算のルールは、誰に対しても適用されるわけではありません。
適用される人は限定されています。
誰が、この制度の適用を受けてしまうかというと・・・・

将来、相続人になる人への生前贈与です!!

例えば、この方が亡くなった時の相続人は誰かというと

奥さんと、子供の2人です。
この人たちに対して行われる生前贈与は3年経たないと意味がないのです。

だったら、どうすればいいかというと・・・

ここで出てくるのがお孫さんの存在なのです。
お孫さんというのは、お爺ちゃんからすると相続人には該当しません。

このお孫さんに対する生前贈与は、原則として3年内加算の対象にはならないのです。

本当に極端な話をすると、亡くなる1日前に孫に110万円を贈与した場合には、その110万円には税金はかからないのです。

新聞や雑誌なんかで「孫への贈与は有利!」と見たことがある人も多いのではないでしょうか?孫への贈与が有利な理由は、この3年内加算のルールに該当しないからなんですね。

また、このことはお孫さんだけではなく、子供の配偶者(お婿さん&お嫁さん)にも同じことが言えます。お婿さんやお嫁さんに対する生前贈与も、原則として3年内加算の対象となりません。

ただ、お婿さんやお嫁さんに生前贈与をして、もしその後に子供が離婚した場合には、そのお金は返ってきません。そのことから、お婿さんやお嫁さんに贈与をすることは、心理的に違和感をもつ人が多いのも事実です。(贈与はするけど離婚したら返せ、ということは法律上できないので)

【お孫さんでも3年内加算のルールに引っかかる場合もあります】

相続人ではないお孫さんへの贈与は原則として3年内加算の対象にはなりません。
しかし例外的に、お孫さんへの贈与であっても3年内加算のルールに引っかかることが2つあります。

まず一つ目は、遺言書がある場合です。
どういった遺言書かというと、「私が死んだ時には、孫にも財産残しますよ」という内容の遺言書です。こういった遺言書がある場合には、そのお孫さんは相続人と同じように3年内加算の対象となります。

二つ目は、生命保険がある場合です。
どういった生命保険かというと、「私が死んだ時には、孫に保険金がでますよ」という内容の生命保険です。こういった生命保険がある場合には、そのお孫さんは相続人と同じように3年内加算の対象となります。

ちなみにですが、相続人ではないお孫さんが受取人である生命保険は、生命保険の非課税枠(500万×相続人の人数)の適用はありません。これ、プロの生命保険会社の人でも非常によく間違えるので注意してくださいね。

また、住宅資金や教育資金贈与の特例を使って渡した財産については、3年内加算の対象となりません。ちなみに相続時精算課税制度を使っている場合には、3年どころではなく、何十年でも遡って加算の対象となります。※相続時精算課税制度について詳しく知りたい人はこちら

相続時精算課税制度とはなんぞや?

【まとめ】

相続で財産をもらう人への生前贈与は3年経たないと効果はでてきません。
駆け込みの生前贈与で税金を何とかすることはできませんので、贈与をするのであれば、初めからお元気なうちに始めることが大切です。

なお、生前贈与は、その人が認知症になってしまったらすることができなくなります。相続税の対策よりも緊急度、重要度が高いのは、認知症対策なのです。もしご興味ある方はこちらの記事も是非読んでいただければと思います

認知症対策としての家族信託とは

また、110万を超える贈与をして贈与税を払うのは、とてももったいないと考えている人が多いのですが、実は将来的に相続税が課税される人にとっては、贈与税を払ってでも、多くの財産を生前贈与した方が、最終的には得をします。詳しくはこちらの記事に書いてありますので、是非ともご一読していただければ嬉しいです

贈与税は払った方が得!

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