円満相続税理士法人 代表税理士
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相続税の税務調査が、いつ来るのか、怖くて眠れません…
こんにちは、円満相続税理士法人の橘です。
相続税の税務調査がいつ頃くるのか、不安の方も多いと思います。
私はこれまで、通算で500件以上の相続税申告を作成し、その中で30件程の相続税の税務調査に立ち会った経験があります。
その経験から言えることとして、相続税の税務調査がくる時期は、だいたい決まっています。
この記事を最後まで読めば、相続税の税務調査が行われる時期を把握することができ、安心した日々を過ごせますよ。
申告書を提出した1年か2年後の夏
相続税の税務調査が、最も行われやすいのは、申告書を提出してから1年後の夏か、2年後の夏です。
より具体的にいうと、だいたい7月10日前後に、税務署から
○○様の相続税申告につきまして、税務調査を行うことになりまして、つきましては~
という電話がかかってきます。
突然くることもある
基本的に、相続税の税務調査は事前に電話連絡があり、日程調整をしてから行われますが、無予告で行われることもありえます。
ただ、これは本当に大口で悪質な申告の場合なので、善良な皆様は過度に心配しなくてもOKです。
税務署の異動時期は7月
税務署OBの方に教えてもらったのですが、税務署は毎年7月1日が異動の日だそうです。
7月1日に新しい配属となり、
よーし!心機一転!脱税している悪い納税者を取り締まるぞー
と、意気揚々、調査対象者に電話をしてくるわけです。そのため7月10日前後に、税務調査を行う旨の連絡がくるのです。
実際の税務調査は8月が多い
7月の中旬ごろに税務署から電話がくるのですが、
つきましては、来週、相続人全員に集まってもらえますか?
と、無茶なスケジュールを依頼されます。
相続人の中には働いている人も多くいるので、そんな急に集まれるわけありません。
無理なものは無理と言ってOKです。
そんなに急には集まれません。日程調整してご連絡します。
と伝え、実際に日程が合うのは、8月上旬になることが多いです。
納税者に直接質問するのは1日~2日
実際に、納税者の自宅で行われる税務調査は、1日~2日間になることが多いです。
1日目は朝の10時から、夕方の16時頃まで(17時までに税務署に戻らないといけないそうです)。
2日目は朝の10時から、お昼過ぎくらいで終わることもあれば、16時までみっちり行う場合もあります。
【余談】調査官にランチを御馳走できない
お昼休憩を取るのですが、調査官は、納税者からランチを御馳走になってはいけないそうです。
鰻などを出されたら、追徴課税しづらくなってしまいますからね。
また、私達、税理士もお昼休憩をとりに、自宅の近くのレストランに行くのですが、高確率で、調査官と同じレストランに入ってしまうのです。住宅街だとレストランが限られますので。
同じレストランだと、お互い作戦会議ができないので、気まずい空気が流れます。
そのため、税理士にはランチを用意し、ご自宅で作戦会議をしながら一緒にランチをするのがよいでしょう(私は鰻、大好きです(^^))。
税務調査が終わるのは12月頃
納税者に立ち会ってもらうのは1日~2日ですが、その後に、税務署と税理士の間で、色々すったもんだします。
過去の生前贈与が適切に行われていたかどうか、不動産の評価額が違うのではないかなど、交渉が行われます。
そして決着がつくのが、だいたい12月頃になることが多いです。
追徴課税無しで終えられると、税理士として、とても嬉しい気持ちになりますね。
12月から税務調査が行われることもある
税務署の中には、税務調査を行うべき納税者のリストが作成され、重要度の高い納税者から優先的に税務調査を行うそうです。
そのため、重要度の高い納税者は7月に税務調査の連絡がきます。
ただ、7月に連絡が来なければセーフかというと、そうでもありません。
税務署の調査官は、1年間に行うべき税務調査の件数に、ノルマがあるそうで、そのノルマに到達していない調査官は、12月頃から税務調査を開始することもあります。
7月に行う税務調査に比べれば、重要度は少し劣るのかもしれませんね。
現在は1年後の夏が最も多いかも
昔と比べると、年々、税務調査が入るタイミングが早くなっているように感じます。10年前は、2年後の夏が本命と言われていましたが、現在は1年後の夏が本命かもしれません。税務署の処理スピードが上がっているのかもしれませんね。
相続時精算課税の申告漏れが多い
令和2年度の実績によれば、税務調査に選ばれると87.6%の確率で追徴課税になっています。
これは、調査官の調査能力が凄いのもありますが、元々絶対に追徴課税になる先を選んでいる、という要素も強いと感じます。
その代表例が、相続時精算課税制度の申告漏れです。
この制度は、『贈与をするときは、2500万まで贈与税を非課税にしますが、その人が亡くなった時には、贈与された財産も相続税の対象として、相続税を計算してくださいね』という特例です。
本来、この制度は、贈与を受けた子や孫が自分で行うべきものなのですが、贈与をした親が、子や孫の名前で勝手に贈与税の申告をしていることが大変多いのです。
2500万まで贈与税が非課税なんてお得じゃの。子の名前で、贈与税の申告書を出しおいてあげるか
その後、相続が発生し、子が相続税申告書を作る段階で、子は自分の名前で相続時精算課税制度が使われているとは夢にも思いません。
結果として、相続時精算課税制度分の財産が、すっぽり抜けた状態で相続税申告書を提出してしまいます。
その申告書を受け取った税務署では…
相続時精算課税の財産がすっぽり抜けてますね。税務調査したら100%追徴課税できるから、私、税務調査いってきますね!ひゃっほー
と、格好の餌食になります。こういった場合の税務調査は、行われる時期が非常に早いのです。
そのため私は、
税務調査がくる時期が早すぎる…。これはもしかして…
と、気づき、
もしかして、相続時精算課税を使っているのですか?
と調査官に先に質問します。すると、調査官は…
ぬぬぬ…。えぇ、実はそうですね。
と、教えてくれました。
ちなみに、書面添付制度を利用している場合には、税務調査が行われる前に、税理士だけが税務署に呼ばれ、色々と質問されます。
その時に間違いを発見し、速やかに修正申告を行えば、税務調査は省略され、ペナルティの税金もかかりません(利息はかかりますが)。
このように危機を回避できたケースは、これまで何度かあります。
親が勝手に相続時精算課税を使ってしまうケースは、世の中に非常に多いので、本当に注意が必要です。
申告期限から5年で時効
相続税の申告期限から5年を経過すれば、それ以降に相続税の税務調査が行われることはありません。
相続税の納税義務の時効となります。
悪質な場合には7年に延長
例外的な取り扱いですが、悪質な脱税と判断された場合には、時効の期限が5年から7年に延長されます。
3年経過すれば調査はほぼこない
私の経験上、申告書を提出してから3年経過後に、税務調査が行われたことはありません。
2年後の12月を過ぎれば、ほぼ大丈夫といえるでしょう。
コロナの影響で調査件数が激減
令和2年度の相続税の税務調査の件数は、コロナウイルスの影響で激減しました。
本来は、毎年12,000件ほどの税務調査が行われるのですが、令和元年が約1万件、令和2年が約5000件と、通常ではありえないくらい、調査件数が減っています。
ただ、1件当たりの追徴税額は非常に増加しており、悪質な納税者を重点的に取り締まっていることがわかります。
緊急事態宣言中には、さすが、税務調査は行われませんでしたが、2021年10月頃より、徐々に税務調査を再開しています。しかし、朝の10時から夕方16時まで、調査官(2名以上)、相続人、税理士が一つの部屋に集まるのは、やっぱり危険ですよね。早くコロナが終息してほしいものです。
本来であれば、3年経過すれば税務調査にくる可能性は、かなり低くなりますが、コロナの影響で調査の時期が後ろに倒れているだけかもしれません。そういった意味で、安心できる時期も少し後ろに倒れることになりますね(;^ω^)
まとめ
相続税の税務調査は、申告書提出から1年後か2年後の夏に行われることが一般的です。
私達、円満相続税理士法人では、書面添付制度と過去の預金調査を徹底的に駆使し、鉄壁の税務調査対策を行っております。税務調査の裏話を無料のLINE公式アカウントで配信していますので、是非、ご登録ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。