あえて小規模宅地特例や配偶者控除を使わない方が有利になるケース

数次相続とは、相続が開始して、遺産分割が決まる前に、次の相続が始まることをいいます。最初に起こった相続を一次相続、次に起こった相続を二次相続といいます。

小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減、いずれも相続税額を少なくする代表的な特例です。数次相続の場合には、一次相続で逆にこれらの特例を適用しない方が、二次相続を合わせたトータルの税金が少なくなるケースがあります。

理由としては、二次相続は一次相続の財産が乗ることに加えて相続人の数が減少するため、「二次相続の税率が一次相続と比較して高くなる」傾向にあります。

そして、二次相続の計算上、二次相続でなくなった方の一次相続の納付税額が「債務控除」で遺産総額から控除され、さらに「相次相続控除」により税額から控除されます。

そのため、一次相続の税額をあえて多くした方が、それ以上に二次相続の税金が少なくなることがあるのです。

具体的な事例を見てみましょう!

(家族構成:父・母・子)

(一次相続)

父 預金1億5000万円、土地5000万円(自宅)・・・相続人:母・子

(二次相続)

母 預金5000万円・・・相続人:子

※一次相続後、1年以内に二次相続が発生、一次相続で母が1/2を取得したものとします。

【①一次相続で特例の適用あり】

【②一次相続で特例の適用なし】

【試算結果】

合計税額で比較すると、➀一次相続で特例の適用ありは43,822,200円、②一次相続で特例の適用なしは38,890,000円となり、小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減を適用しない方が、4,932,200円少なくなりました。

もちろん有利不利は、財産構成や家族構成によって異なります。相続のプロとしては、『数次相続では一次相続における特例の適用要否を検討すべし』を忘れないようにしましょう。

【根拠条文】

(債務控除)

相続税法施行令第3条 (債務控除をする公租公課の金額)

法第十四条第二項に規定する政令で定める公租公課の額は、被相続人(遺贈をした者を含む。以下同じ。)の死亡の際納税義務が確定しているもののほか、被相続人の死亡後相続税の納税義務者が納付し、又は徴収されることとなつた次に掲げる税額とする。

二 被相続人が相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産に対する相続税額又は贈与税額

(相次相続控除)

相続税法 第20条 相次相続控除

相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した場合において、当該相続(以下この条において「第二次相続」という。)に係る被相続人が第二次相続の開始前10年以内に開始した相続(以下この条において「第一次相続」という。)により財産(当該第一次相続に係る被相続人からの贈与により取得した第21条の9第3項の規定の適用を受けた財産を含む。)を取得したことがあるときは、当該被相続人から相続により財産を取得した者については、第15条から前条までの規定により算出した金額から、当該被相続人が第一次相続により取得した財産(当該第一次相続に係る被相続人からの贈与により取得した第21条の9第3項の規定の適用を受けた財産を含む。)につき課せられた相続税額(延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する相続税額を除く。第1号において同じ。)に相当する金額に次の各号に掲げる割合を順次乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

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