社団法人にまつわる税金

こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!

平成20年の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行以来、社団法人の設立が容易となり、社団法人を活用して、ビジネスや公共性の高い活動を行ったり、もしくは財産の管理や信託に活用しようと考えられている方は多いのではないでしょうか。

社団法人では、一部の税金が非課税になるなどのメリットがあります。

今回は、社団法人にまつわる税金について、分かりやすく解説していきます。

≫社団法人節税スキーム封じ(H30改正)について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

社団法人の税務上の分類

まずは、社団法人の税務上の分類について解説していきます。

一般社団法人と公益社団法人

社団法人に関する基本的な法律として、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」があります。

この法律に基づいて設立された社団法人が、「一般社団法人」です。

そして、一般社団法人の中で、公益性が高いということで、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に基づき、都道府県知事(または内閣総理大臣)に認定された法人が、「公益社団法人」になることができます。

公益認定を受け、公益社団法人になると税制上の優遇を受けることができますが、前出の法律の第5条に要件が掲げられていますが、実に18項目もあり、かなりハードルの高いものとなっています。

税務上の分類

法律上の分類として、公益社団法人と一般社団法人があります。

税務上は、一般社団法人を「非営利型法人」とそれ以外の法人に分類していきます。

つまり、税務上は、「公益社団法人」「非営利型法人」「それ以外の一般社団法人」の3つが存在し、この順に税務上優遇されています。

非営利型とは?

非営利型法人になるためには、どのようにしたらいいのでしょうか?

具体的には以下のとおりです。

非営利型法人にも、「非営利性が徹底された法人」と「共益的活動を目的とする法人」の2種類があります。

様々な要件がありますが、いずれも、理事のうち親族等は3分の1以下にしなければなりません。

ここでは、税務上は、「公益社団法人」「非営利型法人」「それ以外の一般社団法人」の3分類があるということを押さえておいてください。

社団法人にかかる法人税

それでは、税金の話に入っていきたいと思います。

まずは、法人税です。早速、先ほどの3分類が登場します!

法人税の課税対象

簡単に言うと、公益社団法人と非営利型法人は、収益事業にしか課税されなくて、それ以外の一般社団法人は、全ての所得に課税されます。

収益事業とは

それでは、収益事業って何なのよってことですが、法人税法に34事業が限定列挙されています。

これらに該当すれば、収益事業です。

地方法人税

平成26年度税制改正で新たにできた国税で、法人税額×10.3%となります。

ちなみに、国税なのに地方と付いているのは、国が課税しますが、地方自治体に配られるためです。

社団法人にかかる住民税・事業税

住民税は私たちも納めていますので、馴染みはあるかと思います。

都道府県民税と市町村民税をまとめて住民税と呼びます。

事業税は、個人事業をされている方であれば、納めている方もいらっしゃいます。

それと同様に事業を行っている法人も都道府県に納める必要があります。

法人住民税

住民税には、「均等割」と「法人税割」の2種類があります。

「均等割」は、社団法人が存在しているだけでかかる税金で、「法人税割」は、法人税額を基準に課税されます。

均等割

大阪市内に所在する場合、府税と市税を合わせて、7万円です。

法人税割

大阪市内に所在する場合、府税と市税を合わせて、法人税額×7%です。

法人税額がゼロの場合は、法人税割は課税されません。

法人事業税

法人事業税は、法人税と同様に所得に対して課税されます。

また、令和元年10月1日以降は、特別法人事業税(国税)もあわせて、納付しなければなりません。

法人事業税

大阪府内に所在する場合は、以下の税率です。

・年400万円以下の所得 3.5%

・年400万円超800万円以下の所得 5.3%

・年800万円超の所得 7%

特別法人事業税

大阪府内に所在する場合、法人事業税額×37%です。

法人事業税額がゼロの場合は、特別法人事業税は課税されません。

個人が社団法人に寄附をした場合

ここまでは、社団法人の存在や活動に伴ってかかる税金について説明してきました。

ここからは、社団法人に財産を移転する際に、どのような課税関係が生じるのか、社団法人に寄附を行った場合を取り上げて、社団法人側、個人側に分けて、解説していきます。

社団法人側の課税

まずは、寄附を受ける社団法人側の課税関係です。

受贈益(法人税)

寄附はタダでモノをもらうことなので、もらった側がそのモノの価値(時価)の分だけ得をします。

その得をした部分(受贈益)に課税しますよということです。

そして法人税の課税のルールは、簡単に言うと、公益社団法人と非営利型法人は、収益事業にしか課税されなくて、それ以外の一般社団法人は、全ての所得に課税されるというものでした。

つまり、公益社団法人と非営利型法人は、収益事業以外の事業で寄附を受けた場合は、非課税となります。

不当減少の場合(贈与税または相続税)

法人に贈与税や相続税がかかるの?

そうなんです、個人とみなして課税します。

寄附をしたことで、寄附をした方の親族等の贈与税や相続税が不当に減少すると認められる場合には、社団法人を個人とみなして、贈与税または相続税が課税されます。

不当に減少するかの判定

不当に減少する場合とは、どういう場合なのか、判定のフローチャートがあります。

ここでも、社団法人の税務上の3分類が登場します!

公益社団法人や非営利型法人は、判定②からスタートです。

判定①

・定款等において、役員等のうち、親族等の占める割合は3分の1以下とする旨の定めがあること
・定款等において、解散時の残余財産の帰属先が国や公益法人に帰属する旨の定めがあること
・財産の贈与者、社団法人の設立者、社員、役員等に対し、特別の利益を与えないこと
・贈与または遺贈の前3年以内に国税等について重加算税を課されたことがないこと

判定②

・組織運営が適正であること
・定款等において、役員等のうち、親族等の占める割合は3分の1以下とする旨の定めがあること
・財産の贈与者、社団法人の設立者、社員、役員等に対し、特別の利益を与えないこと
・定款等において、解散時の残余財産の帰属先が国や公益法人に帰属する旨の定めがあること
・法令違反などがないこと

何をもって、組織運営が適正なのかなどは、さらに細かく定められていますが、不当減少に該当しないかどうかというのは、要件1つずつをチェックしなければいけないということを覚えておいてください。

個人側の課税

次に、寄附をする個人側の課税関係を見ていきます。

みなし譲渡課税(所得税)

個人が法人に財産を寄附した場合、時価で売ったとみなされて、譲渡所得が課税されるというものです。

現金を寄附した場合には、問題になりませんが、不動産や株式、金地金など、モノを寄附すると、時価で売ったとみなされるので、注意が必要です。

非課税(所得税・措置法40条)

みなし譲渡所得課税があると、公益性の高い社団法人に寄附することもためらわれますので、ちゃんと非課税の規定が用意されています。

対象

・公益社団法人
・非営利型法人のうち、非営利性が徹底された法人

要件

<公益増進要件>寄附が、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること
<事業供用要件>寄附財産が、寄附があった日から2年を経過する日までの期間内に寄附を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであること
<不当減少要件>寄附をすることにより、寄附をした人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄附をした人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税若しくは贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること

承認申請

寄附の日から4か月以内(ただし、寄附が11月16日から12月31日までの間に行われた場合は、寄附をした年分の所得税の確定申告書の提出期限まで)に、承認申請書を提出し、国税庁長官の承認を受ける必要があります。

寄附金控除(所得税)

公益社団法人に寄附をした場合には、寄附金控除が使えます。

相続財産の場合(相続税・措置法70条)

最後に、相続財産を相続人が国や地方公共団体などに寄附した場合に、その寄附をした財産については相続税が非課税になるというものです。

社団法人に寄附をする場合には、公益社団法人のみ非課税になります。

対象

・公益社団法人

寄附財産

相続した財産を寄附する必要があります。

換金をして寄附をすると、非課税にならないので、注意しましょう。

相続税申告

相続税の申告期限までに寄附をして、一定の書類を添付したうえで、相続税の申告をする必要があります。

まとめ

今回は、社団法人にまつわる税金について、解説しました。

非課税にするためや余計な課税を防ぐためには、細かい要件を1つずつ当てはめていく必要があります。

また、社団法人に財産を移転する際には、財産を受ける社団法人側だけでなく、財産を渡す個人側の課税関係にも注意を払わなければなりません。

社団法人の活用を検討される際は、相続に強い税理士に相談してみることをオススメします!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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