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遺産分割協議が確定するまでの不動産所得は誰のもの?

こんにちは、税理士の枡塚です!

アパートや駐車場などを所有して不動産賃貸業を営んでいる方が亡くなると、相続税申告の他に、不動産所得を確定申告する必要があります。

そこで問題となるのが、『遺産分割協議が成立するまでの間(未分割期間中)に発生した不動産収入は誰のものか』問題です。

これまで、数多くの亡くなった方の不動産所得を申告してきた私が、わかりやすく解説をします!

不動産収入の計上時期

不動産収入の計上すべき時期は、原則として、次に掲げる日によると所得税法基本通達により定められています。

少しわかりにくいので、年の途中8月15日に亡くなったとして、具体例を使ってご説明します。

契約又は慣習により支払日が定められている場合

契約では、翌月分を当月末に支払う契約がされているとすると、死亡の日までに契約が到来した7か月分が亡くなった人の不動産収入となります。

支払日が定められていない場合

1月分の家賃の支払いを12月25日に受領した場合、この1月分の家賃は12月の収入になります。

請求があったときに支払うべき場合

1月分の家賃を12月25日に請求し、実際に支払いを受けたのが1月10日であった場合には、この1月分の家賃は12月分の収入になります。

準確定申告の手順や必要な書類については、こちらで詳しく解説をしています♪

未分割期間中の収入の帰属

遺産分割協議とは?

人が亡くなった場合には、その人の遺産を相続人が相続します。

相続人が複数いる場合には、誰がどの遺産を、どのくらいの割合で相続するのかを決めなければいけませんが、遺産の分け方にはルールがあります。

そのルールは、遺言書がある場合と遺言書がない場合とで大きく異なります。

遺言書がある場合には、基本的に遺言書通り遺産を分けます。

遺言書がない場合には、相続人全員の話し合いによって遺産の分け方を決めます。

分割協議成立前(未分割期間中)の収入の帰属

遺言書がある場合には、亡くなった時から遺産の取得者が決まっているため、不動産収入が誰のものか(帰属するか)が問題となることはありません。

問題となるのは、遺言書がなく、遺産分割協議で遺産を分けるときです。

遺産分割協議で揉めている場合はもちろん、相続人同士の関係が良好で話し合いがスムーズに進んでいても、遺産分割協議が成立するまでには、時間がかかるものです。

では、成立するまでの期間中(これを未分割期間中といいます)に生じた不動産収入は誰に帰属することになるでしょうか?

結論からお伝えすると、共同相続人の法定相続分に従って帰属することになります。

これは、『相続開始から遺産分割までの間に生じた賃貸料は、被相続人の遺産ではなく、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するもの』という最高裁判決によるものです。

この事件は、アパート経営をしていた方が亡くなり、その相続人である妻と子供3人で未分割期間中の家賃収入は誰のものかを争ったものです。

未分割期間中の家賃収入は相続人で共有よ!

遺産分割の効果は相続開始時まで遡るんだから、未分割期間中の家賃収入はアパートを相続する私たちのものよ!

これに対し、最高裁判所は『相続開始から遺産分割までの間に生じた賃貸料は、被相続人の遺産ではなく、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するもの』という判決をくだし、妻の『未分割期間中の家賃収入は相続人で共有』という主張を認めたわけです。

平成17年9月8日最高裁判決/事件名『預託金返還請求事件』

Q&A

不動産を相続した者の収入として申告した場合

上記のような取り扱いを知らずに、未分割期間中の家賃収入を不動産を相続することが決まった私の収入として確定申告をしてしまいました。

実務的には、上記の取扱いを知らずに、相続する人の所得として申告をしてしまっているケースも多いようです。

私見ですが、相続する人の所得として申告をしてしまっている場合でも、課税側から指摘を受けたというケースは少ないように思います。

理由としては、下記のような事項が考えられます。

1.課税側が遺産分割の確定の日を特定することに手間を要する

2.相続人全員の共有として申告をするよりも、相続した人の所得として申告をする方が税額が増加する場合の方が多いため、課税側から特段指摘をするに至らない

ただし、本来清算をすべき家賃収入を相続した人のものとした場合には、贈与の問題が生じるため、注意が必要です。

相続開始の日から遺産分割成立までの期間が数年に及ぶ場合

相続人関係が悪く、父が亡くなってから遺産分割が成立するまでに3年が経過しました。その間、不動産収入については、相続人全員が申告を怠っていましたが、この度、私が相続することで、遺産分割協議が成立しました。

原則的には、最高裁判決に従って、未分割期間中に生じた所得は、相続人全員が法定相続分に応じて申告をするべきです。過年度分も含め、期限後申告をしておくべきでしょう。

しかし、実務的には、上記のように原則的に申告をするのが難しい場合もあります。

特に相続人関係が悪い場合には、不動産を相続しないと決まった人からの協力を得ることは非常に難しく、実務的には、その負担を不動産を相続した人が負担するケースが多いですが、相続人間での贈与とみなされる可能性があります。

そのため、賃貸料の清算や納税の負担を負担を含めた代償金を算出し、代償金として遺産分割協議書に明確に記載しておくことが重要です。

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