こんにちは!円満相続税理士法人の久保です。

税金の申告や納付を怠ったり遅れたりすると、本税とは別に追加で税金が発生する場合があります。

たとえば、加算税や延滞税が代表的ですが、その計算方法や適用条件、注意すべきポイントを本記事ではお伝えします!

期限内に申告納税しなかった場合のペナルティ

税金のルール上、申告や納付が適正に行われなかった場合に、ペナルティとなる税金が課されるしくみが用意されています。

代表的なものとしては以下のとおりです。

追加納税が必要となる税金の種類

❶過少申告加算税
本来納めなければならない税金よりも少ない金額で申告していた場合に、追加で課される税金

❷無申告加算税
税務申告をしなければならない人が、法律で定められた期限(申告期限)までに申告書を提出しなかった場合に課される税金

❸重加算税
意図的な不正行為があった場合に課される税金

❹延滞税
税金の納付期限を過ぎても税金を納めなかったときに、遅れて納付する期間に応じて課される「遅延利息」のような追加税金

過少申告加算税

本来納めなければならない税金よりも少ない金額で申告していた場合に、追加で課される税金です。納税者が申告の誤りに気が付き、自ら申告のし直しをした場合や、税務署から「ちゃんと正しい金額を申告してね」と指摘を受けたときに課されます。

相続した財産の金額を本来より少なく申告してしまったような場合が当てはまります。

過少申告加算税は当初申告した税金と本来納めるべき税金との差額に対して課されます。

過少申告加算税の税率は、申告の状況や修正申告を行うタイミングなどによって、下図のように 変わります。

過少申告加算税の時期ごとの税率
※( )書きは、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分がある場合に、超える部分に対して課される税率です。

「税務調査の通知」の時点とは、納税者または税務代理人である税理士に、調査の通知を行った時点のことです。具体的には、税務署から納税者に対して、⑴実地調査を行う旨、⑵調査対象の税目、⑶調査対象期間の通知を行った時点をいいます。

税務調査の通知より前に、修正申告書を提出した場合に過少申告加算税は課されません。

「更正予知」の時点は諸説ありますが、税務調査官が納税者の申告漏れ等について、具体的な資料・情報などの “手がかり”を把握した時点とする裁判例が多く存在します。つまり納税者にとっても、事実上「誤りを指摘される可能性が高い」と認識(=予知)できる時点です。

段階に応じて税率に差がある理由として、自主的な修正申告を促すことや、悪質度に応じたメリハリをつけることが背景にあります。

国外財産調書・財産債務調書の提出で過少申告加算税が軽減される!

国外財産調書とは、毎年12月31日時点で、海外にある財産の合計額が5,000万円を超える場合に提出義務が生じ、預金や株式、不動産などの財産の内容や評価額などを記載し、税務署に提出するものです。

また、財産債務調書とは、その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日時点で、総財産が3億円以上ある、もしくは保有している有価証券等が1億円以上である場合などに提出義務が生じるものです。

国外財産調書・財産債務調書について詳しくはこちら

国外財産調書・財産債務調書を提出している場合のインセンティブとして、調書に記載している財産(または債務)に所得税・相続税の申告漏れが判明したとしても、過少申告加算税を5%軽減してくれます。

一方、提出しない場合や、提出しても記載がない場合、また、記載が不十分な場合は過少申告加算税の税率が5%上乗せされることとされています。

無申告加算税

税務申告をしなければならない人が、法律で定められた期限(申告期限)までに申告書を提出しなかった場合に課されるペナルティです。申告書自体を出していなかった場合に課されます。

無告加算税は、当初申告した税金と本来納めるべき税金との差額に対して課されます。

税率は、申告の状況や修正申告を行うタイミングなどによって下図のように変わります。

無申告加算税の時期ごとの税率

申告期限から1か月以内であって、期限内に申告書の提出はしていたものの、納税だけ忘れた場合には、無申告加算税は課されません。いわゆる救済措置です。ただし、申告書自体の提出をしていない場合は免除されません。

なお、短期間に繰り返し無申告行為を行っている場合、上記に加えて、期限後申告時に納付するべき税金に10%の加重が行われます。

過少申告加算税と同様に、無申告加算税においても国外財産調書・財産債務調書の提出による5%の軽減・加重措置が設けられています。

申告期限が土日、祝日の場合は翌日が期限になる

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月後となる日ですが、その日が土日、祝日にあたる場合、その翌日が申告期限になります。

たとえば、4月10日が日曜日であれば、その翌日の4月11日(月)が申告期限になります。 

申告期限は発信主義!

無申告加算税が課されるかどうかを左右するのが、期限内に申告を行ったかどうかです。

では、ここでクイズです。
4月10日が申告期限の相続税申告書を同日に郵便ポストに投函した場合は、期限内申告となるのでしょうか?

期限までにポストに投函しているので、期限内かな…?

答えは、 期限内申告になる場合とならない場合、どちらもありえます!

相続税申告書を郵便提出する場合、郵便物の通信日付(いわゆる消印の日付)に税務署長が受領したものとみなされます(発信主義)。実際に税務署が申告書を受け取ったとき(到達主義)ではありません。よって、申告期限日までの消印をもらうことができれば期限内申告となり、期限日以降の消印であれば、期限後申告になります。

なお、電子申告の場合は、申告期日内に提出すれば問題ありません。具体的には、申告期日の23時59分までに電子申告が完了していればOKです。

還付金の減額に対しては過少申告加算税が課される    

申告期限までに申告を行わず、期限後に還付申告書(納めすぎた税金を取り戻す申告書)を提出した場合で、税務署から「還付金額が多すぎます!」と指摘された場合でも無申告加算税が課されるのでしょうか?

答えはNoで、還付金の減額に対しては過少申告加算税が課されます。

重加算税

仮装や隠蔽などの意図的な不正行為があった場合に課される、通常よりも重いペナルティの税金です。過少申告加算税などの一般的なペナルティよりも税率が高く設定されており、悪質性が高いとみなされたケースに適用されます。

重加算税の税率は、過少申告加算税に代えて課される場合と、無申告加算税に代えて課される場合で異なります。

重加算税の税率
※()書きは、過去5年内に過少申告加算税または無申告加算税が課されたことがあるときに適用される税率です。

延滞税

税金の納付期限を過ぎても税金を納めなかったときに、遅れて納付する期間に応じて課される「遅延利息」のような追加税金です。納税者が申告の誤りに気が付き自ら申告のし直しをした場合や、期限後申告をした場合、税務署から「ちゃんと正しい金額を申告してね」と指摘を受けた場合などに課される税金です。

相続税の延滞税の税率は、納期限の翌日から2か月以内を境に異なります。下図のように、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年利2.4%となり、2か月経過後に税金を納めると年利8.7%の高い割合で延滞税が計算されるので、注意が必要です(年利は毎年見直しが行われます)。

延滞税の時期ごとの税率

それぞれの場合の「納期限」の考え方は下記のとおりです。

相続税の申告期限内に申告書を提出していた場合
修正申告書を提出した場合

延滞税の免除の特例

期限内または期限後に申告書を提出し、それから1年以上経過して修正申告を行った場合には、期限内または期限後に申告書を提出した日から1年を超える日から修正申告書を提出した日までは、延滞税の計算期間から外すこととされています。

期限内申告書を提出した場合
期限後申告書を提出した場合

加算税や延滞税     は1円単位で納税するのか?

各種加算税や延滞税を計算した結果、100円未満の端数があるときは端数の全額が切り捨てられます。

また、延滞税が1,000円未満であるときや、加算税の全額が5,000円未満であるときは、その全額が切り捨てられます。このようなケースでは、実質的には納税が生じないことになります。

まとめ

今回は、相続税に関する加算税・延滞税について解説しました。

相続税の加算税や延滞税は、期限内に正確な申告と納付を行うことで原則回避できるものです。

しかし、仮に期限内に申告していても、内容に誤りや申告漏れがあった場合には、税務調査などで追加の税金が課される可能性があります。

相続税の申告は、評価や控除の判断、書類の整備など非常に複雑な作業が求められるため、ご自身での対応には限界があるケースも少なくありません。

トラブルや余計な税負担を防ぐためにも、相続税の申告は専門家に相談することをおすすめします。確かなサポートを得て、円満かつ正確な相続を実現しましょう。

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