円満相続税理士法人 公認会計士・税理士
在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人、コンサル、公務員を経て、円満相続税理士法人へ入社。相続・事業承継のプロとしてご家族のサポートができるよう業務に携わっています!
こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!
中小企業が事業承継を契機として新たな取り組みを実施する際に使えるのが、事業承継補助金です。
経営者の高齢化が進み、事業承継、事業再編・事業統合を促進し、日本の経済を活性化したいという思いが国にはあります。
今回は、そんな事業承継補助金の内容について、詳しく解説していきます。
最後までお読みいただければ、事業承継補助金について分かるようになりますよ♪
なお、直近の7次公募(申請受付期間:R5.9.15~R5.11.17)に基づき、解説していきます。
事業承継補助金とは?
事業承継に伴って活用できる補助金で、正式名称は、事業承継・引継ぎ補助金といいます。
一言でいうと、事業承継に伴って新たな取り組みをするなら、その経費の一部を補助しますよ!というものです。
「経営革新事業」、「専門家活用事業」、「廃業・再チャレンジ事業」の3タイプがあり、経営革新事業は、「創業支援型」、「経営者交代型」、「M&A型」の3類型、専門家活事業には、「買い手支援型」と「売り手支援型」の2類型に分類されます。
経営革新事業
事業承継やM&Aにより引き継いだ承継者が、経営革新等を行う際の費用の一部を補助しますよというものです。
承継の手段によって、「創業支援型」、「経営者交代型」、「M&A型」の3類型に分類されます。
創業支援型(Ⅰ型)は、事業承継を契機に、開業や法人設立を行った場合
経営者交代型(Ⅱ型)は、親族や従業員に承継した場合
M&A型(Ⅲ型)は、事業再編・事業統合等のM&Aを契機とする場合
本記事の後半部分では、事業承継税制との併用が想定される、「経営者交代型(Ⅱ型)」について解説していきます。
≫事業承継税制について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
専門家活用事業
M&Aに伴う専門家報酬の一部を補助しますよというものです。
ただし、FA・仲介業務は「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家への委託のみが補助対象となるので注意が必要です。
買い手側か売り手側かで、「買い手支援型」と「売り手支援型」の2類型に分類されます。
廃業・再チャレンジ事業
廃業をする場合にかかる経費の一部を補助しますよというものです。
経営者交代型(Ⅱ型)とは?
経営者交代型とは何ですか?
経営者交代型とは、「中小企業の代表者の交代をきっかけとした新しい取り組みにかかる経費を補助しますよ!」というものです。
ここでのポイントは、経営者を交代した後に、その後継者が行う新しい取り組みについての補助であるということです。
ちなみに、ここでいう経営者の交代とは、代表権の完全な移転のことを指します。
≫代表権の移転について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
ただし、補助金の申請時点で事業承継が完了していない場合でも、後継者候補が3年以上役員であるなどの一定の条件を満たす場合は、経営者交代前でも対象となります。
新たな取り組みとは?
次に、新しい取り組みとは具体的にどのようなものでしょうか?
それは、新商品の開発や技術に関する研究開発などの「経営の相当程度の向上を図ること」をいいます。
そして、その取り組みにかかるお金が補助金の対象となっています!
例えば・・・
新たなチャレンジに直接携わる従業員の給与などの人件費、新しく借りる店舗などの賃料、店舗開設のための外装・内装の費用、機械の調達費用などです。
ただし、以下のいずれかを伴うものであることという条件がありますので、ご注意ください!
デジタル化に資する事業
グリーン化に資する事業
事業再構築に資する事業
申請する際には、公募要領を詳しくご確認ください。
いくら補助される?
さて、例えば新しい取り組みのために、機械の導入を検討している会社さんがあったとします。その際に、全額補助金で機械を導入することができるのでしょうか?
実は、全額を補助金で補うことはできないのです!
そこでポイントとなるのが、補助金の「補助率」です。
通常は、補助上限額600万円、補助率1/2以内となります。
つまり、補助金の額は、最大でも、600万円か、使ったお金の1/2のいずれか小さい方までとなります。
ただし、一定の賃上げをすると、補助上限額が800万円に上昇し、
小規模企業者などの条件に該当すると、600万円相当部分の補助率が2/3以内まで上昇します。
必ずもらえるの?採択率は?
ところで、応募をすれば補助金は必ずもらえるのでしょうか?
経営革新事業の直近の採択率を見てみると・・・
4次公募:264件中146件(55.3%)
5次公募:309件中186件(60.2%)
6次公募:357件中218件(61.1%)
と、だいたい60%くらいの割合で採択されています。
申請すれば必ずもらえるというものではありませんが、チャレンジしてみる価値はあるのでは?
補助金を受け取るまでの流れは?
さて、事業承継補助金の全容が見えたところで、補助金の受け取りまでの流れを見てみましょう!
概ねこのような流れとなります。
ご覧の通り、交付決定を受けてから、安心して新しい取り組みを行うことができます。
ただし、取り組みが完了してから、補助金を受け取る流れとなるため、一時的に取り組みにかかるキャッシュが必要となります。
手元資金で足りない場合には、借入など資金調達が必要ですので要注意です!
また、無事に補助金を受け取ることができた後も5年間は、その補助金により新しく始めた事業の収益状況を事務局へ報告する必要があります。
そして、その5年間で、その新しい取組によって一定以上の収益が生まれた場合には、その収益のうち一部を返金することになります。もらうだけだと思っていると、どんでん返しのように感じますが、儲かっている場合限定で、納付する金額はもらった補助金の金額が限度ですので、損になることはありません♪
税理士への依頼は必要?
さて、実際に補助金の申請をするためには、専門家に依頼する必要があるのでしょうか?
必要書類
申請をする際の必要書類は、これらです!
交付申請書
認定経営革新等支援機関による確認書
その他の証明書類
細かい書類がたくさんありますので、実行の際には専門家主導で丁寧にそろえる必要がありますね。
このうち、2つ目について、実は、経済産業省より認定を受けている税理士などにより作成された確認書を添付する必要があるのです(その認定を受けている税理士などを「認定経営革新等支援機関」といいます)。
私たち、円満相続税理士法人では、事業承継のご相談を行っていますので、こちらもご覧ください。
まとめ
今回は、事業承継補助金の経営者交代型について、解説しました。
事業承継を契機に、お得に新しい取り組みにチャレンジすることができる補助金です。
事業承継補助金を検討される際は、事業承継に強い税理士に相談してみることをオススメします!
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最後までお読みいただきありがとうございました!