未払の医療費は誰が承継すべき?

亡くなられた方に係る医療費が未払いだった場合、相続税においては債務控除の対象となり、また医療費なので、医療費控除の対象になるのではないかと考えられるかと思います。

今回は、この医療費の取り扱いについて、解説し、誰が承継するとメリットがあるのか、解説していきます。

相続のプロを目指すなら、ここまで提案できるようにしておきましょう。

債務控除(相続税)

相続人の相続税の課税価格の計算上、「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」は控除することができます。

被相続人に係る未払いの医療費は、まさに「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」に該当しますので、債務控除の対象とすることができます。

そして、遺産分割協議の中で、相続人間で、負担する人を決めることができます。

<相続税法>

(債務控除)
第十三条 相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用

医療費控除(所得税)

医療費控除は、自分もしくは生計一親族の医療費を支払った場合、その支払った金額の一部を所得から控除することができるという制度です。

<所得税法>

(医療費控除)
第七十三条 居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

被相続人の準確定申告

被相続人に係る未払いの医療費は、被相続人の準確定申告において、医療費控除の対象とできるのでしょうか?

答えは、医療費控除の対象にできません!

これは、「支払つた場合」に該当しないためです。亡くなった時点では、支払われていないので、被相続人が支払った医療費ではないということです。

相続人の確定申告

それでは、支払った相続人の確定申告において、医療費控除の対象にできるのでしょうか?

ここで、ポイントになるのが、医療費控除の要件の1つである、「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」です。

つまり、被相続人と生計を一にする相続人が、未払いの医療費を承継し、支払った場合、医療費控除の対象にできます!

結論

未払いの医療費は、

債務控除の対象になる

被相続人の準確定申告の医療費控除の対象にはならない

生計一の相続人が支払った場合は、医療費控除の対象になる

ということです。

また、生計一の相続人が複数いる場合は、所得税率の高い方や医療費控除の金額が算出される方(10万円以上の医療費を支払う見込みの方)が承継するのが有利になりますね。

私たち、円満相続税理士法人では、遺産分割のご提案も相続税申告業務の一環として行っています。こだわりの相続税申告について、こちらもご覧ください。

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