円満相続税理士法人 税理士 地方銀行で働きながら税理士を目指し、40歳で官報合格。地方銀行を退社後、三重県内の税理士事務所を経て、相続専門の円満相続税理士法人へ入社。税理士に加えて、宅建士と社労士の資格を保有しており、税金面だけでなく、不動産や年金などのご相談にも対応できるよう日々研鑽に励んでいます。 詳しいプロフィールはこちら
今回は私の税理士合格体験記をお話しいたします。
皆さん、こんにちは。
円満相続税理士法人、名古屋事務所代表税理士の伊藤です。
こちらでは、銀行員として働いていた私が、30歳を過ぎてから税理士を目指したきっかけと、40歳で合格するまでの9年間、働きながら税理士試験に挑んだ合格体験記を書いております。
現在は一般の会社員だけれども、これから働きながら税理士を目指そうと考えている方がいれば、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
税理士になったきっかけは?
三重県の地方銀行に勤務していました。銀行では昇格要件の中に「銀行業務検定」という金融業界の検定試験(財務、法務、税務)やFP試験合格があります。それに沿って勉強をすると概要的な内容は学べるのですが、何か物足りず、もっと本質的に理解したいと思うようになりました。
資格の勉強は、体系的な知識を得るには最適ですし、合格することで達成感もあります。特に「試験後の自己採点のドキドキ感💓がたまらない」ということもありました。
税理士試験は、内容的に財務と税務、FPを網羅しており、科目合格制であり、働きながら目指すことができる最難関の資格と考えました。
大原簿記専門学校で、簿記3級、2級(1級は途中まで勉強して挫折)と勉強した後、最初の科目受験(32歳)から官報合格(40歳)まで9年間に及ぶチャレンジとなります。
税理士試験が内容的に網羅しているというのは本当で、税理士試験に合格すると、難関といわれるファイナンシャルプランナー1級でさえ簡単に感じます。
選択科目と受験歴
平日は終日仕事ですので、TAC名古屋校に土日ロングコースに通学(当時、通学コースがなかった所得税だけはWEB通信を受講)しました。
税法科目は、法人税、相続税、所得税を選択し、2回目はいずれもA判定での不合格でいずれも3回目で合格しました。
一般的には、法人税、相続税、消費税を選択される方が多く、私も消費税を法人税や相続税と並行して2回受講しました。ただし、法人税、相続税と勉強する中で、個人課税の基本となる所得税をどうしても勉強したくなりました。
また、消費税は、範囲が狭い分細かすぎて、他の税法に比べ面白みに欠けるように感じ、受験レベルには達しませんでした。
結論的には、ボリュームは気にせずに、興味がある科目を選択するのが一番良いです。ボリュームが大きい科目ほど、奥が深くて面白いですし、実力が結果に反映しやすいです。
- 1年目(32歳) 簿記論(合格)・財務諸表論(合格)
- 2年目(33歳) 法人税法(D)
- 3年目(34歳) 法人税法(A)
- 4年目(35歳) 法人税法(合格)
- 5年目(36歳) 受験せず(相続税と消費税を勉強するも、法人税合格で燃え尽きる)
- 6年目(37歳) 相続税法(A)
- 7年目(38歳) 相続税法(合格)・所得税法(C)
- 8年目(39歳) 所得税法(A)
- 9年目(40歳) 所得税法(官報合格)
印象深いエピソード
➀税法の複数科目受験
はやく合格して終わらせたいと考え、7年目に税法2科目(相続税・所得税)を受験しました。所得税が1年目だったのですが、相続税が3年目なので何とかなると思っていました。
ところが、直前期に所得税の理論が相続税と言い回しがごっちゃになってきて、本命の相続税にも影響する感じがしました。
そこで、前日は相続税に絞って理論を回し、Aランクのうち「相続税の非上場株式等の納税猶予」などをピックアップし、実際に紙に書いてスラスラかける状態で本試験に臨みました。本試験では、その理論がそのまま出題されて、ものすごいスピードで完璧に書くことができ、計算もミスもなく、余裕をもって合格できました。
結局、働きながらの受験という環境において受験専念者に対抗するには、税法2科目の受験はやめて、1科目に絞った方が近道だということを実感しました。
②勉強時間・勉強方法
働きながらですので、勉強は土日が中心です。土日のうち1日はTACで丸一日(授業と復習)、もう1日は午前中のみ地元の図書館で復習し、午後は家族サービスという感じでした。
具体的には、平日は、朝5時に起きて出勤前に計算問題を1時間、会社が早く終わったら、家に帰ってしまうと勉強できないので、会社近くのコメダ珈琲で計算問題を1~2時間しました。
ただし、あまり無理をしすぎると続かないので、平日は理論を読むだけの時もありました。
③家族のサポート
1年目の簿記論と財務諸表論を受験した際には、土日両方とも通学してしまい、当時3歳の息子がいるにもかかわらす、ほぼ家にいない状況(祝日のみ休み)になってしまいました。
さすがに「もういい加減にして!」という雰囲気になってしまい、2年目以降は、通学は土日のうち1日のみとして、家族サービスを約束しました。
それでも、8月に本試験、12月に合格したら家族でV旅行という感じで、税理士試験は家族の中での一大イベントとなり、家族には合格までの9年間、本当に協力いただきました。
印象深かった税法は?
税法は1科目に3年ずつかかったので、時間をかけた分、全ての科目に思い入れがあるのですが、印象深いのはやっぱり「相続税」です。
理由は、相続税が一番受験生のレベルが高いと感じましたし、実務を経験してみて振り返ると、一番、実践的な試験内容になっています。それでも、試験内容としては、実務をするための基礎知識という位置付けとなりますので、相続税に合格された方は、実務への橋渡しとして、弊社の「円満相続塾」を受講されることをお勧めします。
そして、ぜひ相続専門事務所で活躍されるのがよいと思います。私も相続税を合格した上で一般の会計事務所に勤務していましたが、「円満相続塾」を受講し、相続専門事務所で働きたくなり、転職しました。相続専門事務所では、1年間で約20~30件の相続税申告を経験できます。一般の会計事務所の10年分です。
円満相続税理士法人で働いてみて
現在、私は50歳を過ぎていて最年長のグループですが、フラットな組織です。所長とか、上司とか、誰かの顔色を見ながら仕事をするということは全くなく、お客様のことだけを考えて仕事ができます。
会社としては、税理士が独立するよりも勤務した方が幸せな環境を目指していて、個人事業という感覚も強いのですが、代表の橘さんが、人に教えるのがすごく好きで、知識を共有して組織全体でレベルアップしていきたいという意識が強いです。
また、お客様のアンケート(お客様の声)において、満足度の高い評価をいただく対応ができる税理士ばかりなので、とても刺激になります。
円満相続税理士法人では、一人の税理士が、初回面談から最後の納品まで、責任を持って対応します。税理士は裏方的な役割をする税理士事務所もありますが、担当窓口としてお客様対応ができるため、お客様の喜びが自分の喜びにつながり、本当にやりがいがあります。
税理士受験生へのメッセージ
働きながら税理士を目指されている方を応援します!
ボリュームの大きい科目は、なかなか1年で受かるのは難しく、焦ると仕事にも影響します。それでも、無理をせずに1科目に絞ってコツコツと2年勉強すると、成績上位者にもなれますし、受験専念者とも十分勝負ができます。
合格まで9年間勉強しましたが、本試験の緊張感は凄まじく、いつも理論では手が震えていました。そんな緊張感の中で、実力を出し切って初めて合格できる世界です。
そのため、税理士試験では特に直前期の過ごし方が重要となります。たまに本試験前日まで仕事をされる方がいますが、受験専念の方と勝負するには、直前期(特に前日は必ず)は休暇を取って、今までの総復習をして自分で仕上がったと思える状態にすることが大切となります。
このブログが働きながら受験されている方のお役に立てれば幸いです。