合同会社を最安で設立する方法

こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!

合同会社は、平成18年の会社法施行により、設立することができるようになった会社で、現在日本で設立することができる会社4つのうちの1つです。

もちろん株式会社もそのうちの1つです。

(ほかには、合資会社と合名会社があります。)

なお、有限会社は、新たに設立することはできず、現存する有限会社は、株式会社として扱われます。

個人事業の法人化や資産管理会社の設立を検討されたことがある方なら、一度は合同会社について調べられたことがあると思います。

≫資産管理会社に合同会社を活用するメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

今回は、合同会社を自分で設立する方法、しかも最も安く7万円以内で設立する方法を解説します。

CD-Rを作ることができるパソコンがあれば、印鑑証明書の取得などを除いて、お金がかかる場面はたったの3つだけです!

最後までお読みいただければ、合同会社の設立方法について、分かるようになりますよ♪

合同会社とは?

まず、合同会社とはどういった会社なのか、株式会社と比較しながら、解説していきます!

出資者は、株主ではなく、社員という

株式会社の出資者(すなわち、所有者)は、株主ですが、合同会社の出資者(所有者)は、社員と呼びます。

社員と言っても、一般的なイメージの従業員とは異なります。

少しややこしいですが、法律で、社員と呼ぶことが定められています。

最大の違いは、所有と経営の一致

株式会社の場合、株主ではない方が、取締役など役員に就くことができます。

一方で、合同会社の場合、出資者である社員が経営を行う役員になります。

社員が持っている出資は、持分という

株式会社の株主は、その出資の対価として、株式を所有していますが、合同会社の社員は、持分を所有しています。

社員は、有限責任である

有限責任ってなに?

会社の債務を弁済する責任が、出資の範囲に限られている(有限)ということです。

つまり、会社が倒産しても、出資した財産が戻ってこなくなるというだけです。

株式会社の株主も、会社が倒産しても、株式が無価値になるだけで、それ以上責任を負うことがないので、この点は、合同会社も株式会社も同じです。

経営権を持つ社員を限定することもできる

定款で経営権(業務執行権)を与える社員を定めることができ、その社員を業務執行社員と呼びます。

業務執行社員以外の社員は、社員のままですが、経営に参画しなくなります。

合同会社を代表する代表社員を置くこともできる

株式会社の代表取締役のような、会社を代表する代表社員を置くことができます。

ここまでは、合同会社の概要について説明しました。

次からは、具体的な設立方法を、解説していきます。

合同会社設立の道のり

合同会社の設立は、以下の5ステップです!

実際は4番まで行けば、合同会社の設立は完了ですが、補足的に5番も解説していきます。

1.会社の基本的なことを決める

2.定款を作る

3.印鑑を作る

4.法務局に登記申請する

5.税務署等に届け出る

1.会社の基本的なことを決める

まず、なぜ作るのか再確認

これから、会社の基本的なことを決めていく前に、なぜ作るのか改めて確認しましょう。

個人事業の法人化、資産管理会社、節税、共同事業の実施など、目的はいろいろとあると思います。

目的を再確認しておくことによって、次からの事項を決めやすくなります。

誰を社員にするか、いくら出資してもらうかを決める

社員=出資者・経営者です。

業務執行社員を定める場合には、出資者です。

また、株主のように出資額に応じて議決権が与えられるのではなく、原則として1人1個の議決権があります。

社員を一人にするのか、複数人にするのか、相続も踏まえて検討されることをおススメします!

相続税対策としては、親の出資を少なく、子供の出資を多くすれば、相続財産に含まれる持分を減らすことができますね!

≫合同会社の相続について、詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

業務執行社員を置くか、代表社員を置くか、決める

経営に関与しない社員を入れる場合には、業務執行社員を置きましょう!

合同会社の名前(商号)を決める

合同会社の名前には、必ず「合同会社」を含めなければなりません。

○○合同会社か、合同会社○○かです。

本店の所在場所を決める

本店とは本社のようなものです。

本店の所在地(住所)は、登記されるため、公になりますが、自宅でも構いません。

資本金の額を決める

合同会社では、株式会社のような制限はなく、資本金の額はいくらにすることもできます。

ただし、特段の事情がなければ、857万円以下にしてください。

これは、設立費用を最も安くするためと、税務上のメリットを取るためです。

2.定款を作る

ここが一番の山場ともいえるステップです。

定款とは?

定款とは、会社の基本的ルールを定めた「会社の憲法」とも呼ばれる、根本規則です。

「定款自治」という言葉があり、会社は法律に反しない限り定款で定めることによって、会社運営のルールを自ら定められるというものです。

定款の作り方

一から自分で作るのはかなり大変ですが、インターネット上には、たくさんのひな形が公開されています。

「定款 ひな形 合同会社」などで検索してみてください。

これをアレンジしていけば、なんとか自分でも作ることができます。

必ず記載しなければならないこと

絶対的記載事項と呼ばれ、これらの記載がない定款は無効とされ、設立登記申請も却下されてしまいます。

目的

商号(会社の名前)

本店の所在地

社員の氏名及び住所

社員全員が有限責任社員である旨

社員の出資の金額

記載しておかないと効力がないこと

相対的記載事項と呼ばれ、記載がなくても定款自体は有効ですが、会社法の原則と異なるルールで会社運営を行いたい場合は、必ず定款に記載しておかなければなりません。

代表的なものは以下のとおりです。

業務執行社員

代表社員

相続の特則

定款の変更

持分の譲渡

電子定款の作成

ここが安く設立するためのポイントです。

定款を紙に印刷して、設立登記申請をする場合は、4万円の収入印紙を貼らなければなりません。

しかし、電子定款といい、電子署名がされた定款のデータをCD-Rに焼いて、提出すれば、この4万円は不要となります。

電子署名は自分ですることもできるのですが、電子署名ソフトやICカードリーダーなど必要なものがあるので、ここは専門家(行政書士)に任せることをおススメいたします。

「電子定款 合同会社 行政書士」などとインターネットで調べれば、電子定款作成を行ってくれる行政書士を見つけることができます。

定款のワードファイルとその他必要書類を送れば、電子定款を納品してくれます。

費用は、3,000円~5,000円くらいだと思います。

これがお金のかかる場面の1つ目です。

3.印鑑を作る

会社の印鑑は一般的には3つ用意します。

実印、銀行印、角印の3つです。

実印とは、丸印ともいわれ、個人の実印と同様に非常に重要な印鑑です。

設立登記申請も実印を用いて行います。

銀行印は、金融機関に届け出る印鑑です。

角印は、社印とも呼ばれ、四角い形の印鑑で、個人の認印のような使われ方をします。

3つの法人印を準備するとしても、インターネットで発注すれば、3,000円~5,000円くらいで済みます。

これがお金のかかる場面の2つ目です。

4.法務局に登記申請する

あとは、申請書に記載して、必要な書類を添付して提出するだけです。

提出するだけとはいえ、以下のとおり様々な書類が必要となりますので、業務執行社員が2人で、うち1人が代表社員、資本金の額が100万円の場合を例に、1つずつ解説していきます。

設立登記申請書

別紙(CD-Rに記録)

収入印紙貼付台紙

決定書(定款で定めれば不要)

就任承諾書

払込みがあったことを証明する書面

以上のものをA4用紙に印刷して左端をホチキスで綴じて、以下の2つの書類と一緒に提出します。

印鑑届書

印鑑証明書

設立登記申請書

以下のように、必要事項をワードで記載して、会社の実印を代表社員の名前の横に押印します。

別紙

別紙は「登記すべき事項」を記載しますが、紙で提出することは推奨されていませんので、実際には以下のようにテキストデータを作って、CD-Rに記録して提出します。

収入印紙貼付台紙

以下のような左上に収入印紙貼付台紙と記載した白紙の用紙を用意して、収入印紙を中央に貼り付けます。

割印はしないでください。

収入印紙は、設立登記申請に係る登録免許税で、最低6万円です。

これがお金のかかる場面の3つ目です。

登録免許税は、資本金額の0.7%と6万円のいずれか大きい方の金額となります。

資本金額は857万円以下にしてくださいと言いましたが、資本金額が857万円の場合は857万円×0.7%=5.999万円となり、資本金額をこれ以上大きくすると、登録免許税が6万円を超えてしまうためです。

決定書

決定書とは、代表社員・本店所在地・資本金を決定したことを証明する書類ですが、これらのことを定款に定めておけば作成は不要です。

そのため、定款に定めておくことをお勧めします。

就任承諾書

就任承諾書は、代表社員に就任することを承諾する書面です。

代表社員の個人の実印を押印します。

払込みがあったことを証明する書面

出資金の払込みがあったことを証明するもので、会社の実印を代表社員の名前の横に押印します。

これに、実際に振込のあった、通帳のコピー(表紙・表紙の裏・払込みのページ)を添付します。

これら4つの書類は、左端をホチキスで綴じて、各ページに会社の実印で契印をします。

なお、会社の口座はこの時点ではありませんので、代表社員になる方の個人の口座に振り込む形を取り、会社の口座ができてから移し替えます。

綴じ方

ここまでの書類「設立登記申請書」「収入印紙貼付台紙」「就任承諾書」「払込みがあったことを証明する書面」の左端をホチキスで綴じ、「設立登記申請書」と「収入印紙貼付台紙」の間を会社の実印で契印します。

印鑑届書

印鑑届書は、会社の実印を登録するための書面です。

法務局で手に入れることができますので、会社の実印と代表社員となる方の個人の実印を押印して、必要事項を記入します。

印鑑証明書

代表社員となる方の印鑑証明書が必要です。

法務局に提出する

ここまでできれば、これら3つ(設立登記申請書等を綴じたもの、印鑑届書、印鑑証明書)をまとめて、管轄の法務局に提出しましょう。

なお、収入印紙は法務局で購入することができますので、法務局で貼り付けても大丈夫です。

また、設立登記申請日が会社設立日になりますので、事業年度の設定の際には、注意しましょう。

決算日を3月末日としているのに、3月1日に設立登記申請をしてしまうと、第1期は1か月しかないことになってしまいます。

5.税務署等に届け出る

法務局に申請書等を提出すると、設立登記完了予定日が伝えられます。

その日以降、会社の登記事項証明書や印鑑証明書を取得することができますので、銀行口座の開設手続きが行えるようになります。

会社を設立したら、一定期間内に税務署等に法人設立届出書を提出しなければなりません。

そのほかにも、社会保険関係の手続きも必要となりますので、年金事務所等で忘れずに手続きをしましょう。

税務署に届け出るもの

法人設立届出書と、青色申告をする場合は青色申告の承認申請書です。

提出期限が決まっていますので、注意が必要です。

法人設立届出書・・・設立日から2か月以内

青色申告の承認申請書・・・設立日から3か月を経過した日または事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで

いずれもインターネットで取得できますので、記入して、定款のコピーを添付して提出します。

また、必要に応じて、以下の書類も提出します。

・給与支払事業所等の開設届出書

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

・減価償却資産の償却方法の届出書など

都道府県・市町村に届け出るもの

会社が所在する都道府県と市町村の税事務所それぞれに、法人設立届出書を提出します。

基本的には、会社の登記事項証明書と定款のコピーの添付が必要です。

提出期限や必要書類は、各自治体のHPなどで確認してください。

まとめ

7万円以内で合同会社を設立する方法を解説してきました。

お金がかかるのは、電子定款作成(3,000円~5,000円)・法人印鑑(3,000円~5,000円)・設立登記の登録免許税(6万円)の3つです。

しかし、書類をきちんと準備するのはなかなかハードルの高いもので、定款を自分一人で作成するのは、やはり不安だと思います。

不安な方は、やはり司法書士や行政書士などの専門家に相談されることをおススメします。

また、設立登記申請も司法書士に任してしまうこともできます。

合同会社の設立による節税について検討される際は、相続に強い税理士に相談してみることをオススメします!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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