アメリカにお住まいの方が、日本などアメリカ以外にお住まいの方から、相続や贈与で財産を取得した場合の提出書類Form3520について、徹底解説します。

実は、アメリカ居住者が、アメリカ非居住者から相続や贈与で財産を取得すると、相続税申告の他に、Form3520、FBAR、Form8938など、様々な書類の提出義務がある可能性があります。今回は、その中でも「Form3520」にスポットライトを当てます!

※本ブログでは、分かりやすさのため、アメリカ居住者・アメリカ非居住者という表現を取っております。後半で、その違いについて、お話しております。

前書き

私はアメリカ居住者ですが、日本に住んでいる父が他界して、父から財産を相続しました。相続税申告以外に、すべきことはありますか?

アメリカ非居住者から、相続か贈与で、年間10万ドル超を受取ると、IRSへの報告義務があります。提出しないと最高25%の高額ペナルティです💦

それは、大変!分かりやすく、教えてください!

アメリカでは、アメリカ居住者からの相続の場合、日本でいう相続税の基礎控除(アメリカでは「統一移転税額控除」といいます)が2023年では12,920,000ドルと非常に高いので、相続税申告が必要な人は、ごく僅かです

しかし、アメリカ非居住者からの相続の場合、その統一移転税額控除が低いため、相続税申告が必要なケースが多く、さらに相続税申告以外にもIRSへ提出すべき「Form3520」という書類があるのです。

そして、そのForm3520の提出を忘れてしまうと、最高25%のペナルティがかかります。

今回は、「アメリカにお住まいの方」向けに、日本から相続や贈与で財産を取得した場合に提出するForm3520について、分かりやすく解説します♪

「アメリカにお住まい」の方や、「アメリカにお住まい」のご親族がいるというあなた、必見の内容です!

※アメリカでの相続税申告や、FBAR、Form8938については、別のブログで解説予定です。

いくら以上で提出義務?

その年の1/1から12/31の間に、アメリカ非居住者から贈与・相続でもらった財産額の合計が$100,000超の場合に、提出義務が生じます。

form3520の提出義務の要件

例えば、2023年は年間8万ドルの贈与を受け、2024年は年間12万ドルの贈与を受けた場合には、2024年のみが申告の対象となります。また、日本の贈与税の考え方と同じで、1/1~12/31に受け取った財産額の合計で判断します。

※アメリカから見た海外企業からの贈与については、本ブログでは割愛します。

Form3520の提出期限はいつ?

翌年の4/15までにForm3520を提出する必要があります!

提出期限は、受け取った年の翌年4/15です。アメリカの所得税の申告期限と同じですね!

税務申告の延長が認められれば、半年延長され、受け取った年の翌年10/15となります。

所得税の申告書(Form1040)とは別に提出できる?

Form1040を先に提出してしまいました!問題ありませんか?

Form3520は確定申告書類ではありますが、Form1040と別での提出が可能です。期限までに提出すれば、問題ありません♪

ペナルティはいくら?打開策は?

提出を忘れていました!ペナルティと打開策があれば、教えてください!

Form3520のペナルティは高く、月5%です。そのため、1,000,000ドルを相続して、提出期限を1か月過ぎると、1,000,000ドル×5%=50,000ドルがペナルティです。最高25%なので、1,000,000ドルを相続した場合の、最大ペナルティは250,000ドルです。財産額が大きくなればなるほど、相当高額なペナルティとなります。なお、最低額も定められており、それは10,000ドルです。そのため、120,000ドルを相続して提出期限を1か月過ぎた場合には、120,000ドル×5%=6,000ドルより、最低額の10,000ドルの方が大きいので、10,000ドルのペナルティとなります。

そこで、提出を忘れてしまった場合の救済措置が用意されていますが、近年認められにくくなっています。

まず、救済措置についてご説明します。それは、「Delinquent International Information Return Submission Procedures」というペナルティの減免をお願いする手続きです。故意の怠慢ではない、正当な遅れた理由を記載した書類「Reasonable Cause Statement」を、Form3520と一緒に提出します。

しかし、前述の通り、近年、この減免が認められづらくなっています。そのため、この「Reasonable Cause Statement」の提出に慣れており、経験を積んだ専門家に依頼することが必須です。

アメリカ居住者・アメリカ非居住者とは?

このForm3520は、アメリカ非居住者から、アメリカ居住者が財産を相続・贈与で受取った場合に申告するものですが、このアメリカ居住者・アメリカ非居住者は、どのように判断するのでしょうか?

まず、遺産税(相続税・贈与税)に関する判定をする際の、アメリカ居住者とは、アメリカに本拠地(Domicile)を置いている人のことです。つまり、所得税とは異なり、グリーカードの保有有無は影響しません。また、米国が本拠地である市民権のあるアメリカ市民は勿論のこと、米国が本拠地であれば市民権のないアメリカ居住者も、該当します。この本拠地(Domicile)という考えは、遺産税でのみ登場します。

一方、アメリカ非居住者とは、その逆ですので、アメリカに本拠地を置いていない人のことです。

アメリカに本拠地を置いているというのは、どうやって判定されますか?

総合的に判断されますが、グリーンカードをお持ちで、アメリカにお住まいであれば、基本的にはアメリカ本拠地と判断される可能性が高いです。

本拠地判定は、このForm3520の提出判定以外にも、遺産税の課税にも大きく影響しますので、専門家へご相談ください。、

所得税の居住者判定とは、違うんですね・・・

ここで注意すべきは、前述の通り、遺産税(相続税・贈与税)を考える際のアメリカ居住者は、所得税法上のアメリカ居住者と範囲が異なる点です。例えば、グリーンカードを保有しているけれど、日本に居住している人は、所得税上は、アメリカ居住者となるが、遺産税においては、アメリカ居住者になるとは限らないのです。

Form3520は、どんな書類?

Form3520は、実際にどのような書類ですか?見てみたいです!

このような3枚の書類です。難しそうに見えますが、要は、誰が誰から何をもらったか等を記載する書類です。

IRSのFomr3520に関するホームページは、こちらです。実際に提出する方は、こちらのページから書類をダウンロードしてください。

https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-3520

2023年9月現在の提出先は、下記住所です。所得税の申告書などと提出先が異なるケースがありますので、提出する際には、IRSのHPにて必ずご確認ください。

Internal Revenue Service Center
P.O. Box 409101
Ogden, UT 84409

まとめ

今回は、アメリカ非居住者からアメリカ居住者が年間10万ドル以上の財産を、贈与か相続で取得した場合に提出すべきForm3520について解説しました!

他のブログで、日本における相続税申告の義務があるかの判定方法、国外提出時課税など国際に関係するお題を数多く扱っております。ぜひ、ご覧ください♪

また、円満相続税理士法人では、アメリカ国籍でLAで開業されている税理士の佐野John司先生と提携しております。安心して、お問い合わせください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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