円満相続税理士法人 公認会計士・税理士
在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人、コンサル、公務員を経て、円満相続税理士法人へ入社。相続・事業承継のプロとしてご家族のサポートができるよう業務に携わっています!
こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!
社団法人を使った節税スキームが平成30年度税制改正で封じられたというのは、有名な話ですよね。
≫社団法人節税スキームについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
今回は、この改正によって新たに設けられた制度を詳しく見ていき、対応する方法はないのかについて、分かりやすく解説していきます。
H30改正の概要
改正前
社団法人には持分がないため、相続財産からは切り離されます。
そのため、社団法人に財産を移して、理事を親族で固めることで、実質的に財産を支配しつつ、相続税の課税を回避するという節税が行われていました。
改正内容
これに対して国は、一定の要件に該当する社団法人の理事が亡くなった場合に、社団法人に対して相続税を課税するという仕組みを作りました。
適用要件
それでは、続いて、この制度の内容を詳しく見ていきたいと思います。
あらまし
これが国税庁のHPに掲載されている「あらまし」です!
かなり長くて、何が書いてあるかよく分からない。。。
そうですよね、でも適用されるかのポイントは2つです!
黄色でマークした部分だけを見てください。その後ろは、計算方法が書かれているだけです。
つまり、適用されるかどうかは次の2点です!
特定一般社団法人等である
理事である者が死亡した
特定一般社団法人等
特定一般社団法人等とはなんでしょうか?
かっこ書きに「次の要件のいずれかを満たす一般社団法人等」と書かれています。
相続開始の直前におけるその被相続人に係る同族理事の数の理事の総数のうちに占める割合が2分の1を超えること。
相続開始前5年以内において、その被相続人に係る同族理事の数の理事の総数のうちに占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。
簡単に言ってしまえば、理事のうち過半数が同族理事なら、該当してしまいます。
そもそも節税目的で設立する社団法人なので、同族理事を半数以下に減らすというのは、なかなか難しいことですよね。。。
一般社団法人等
次に、一般社団法人等とは何かですが、国税庁HPでは、(注1)で説明してくれていますが、結局どういうことなのか、よく分かりませんよね。
要は、公益社団法人や非営利型の一般社団法人を除く、一般社団法人ということです。
そして、ここで重要なことは、公益社団法人になろうと思えば公益認定という非常にハードルの高い要件をクリアしなければならないということと、非営利型の一般社団法人にも要件があるということです。
その要件の1つに、「理事のうち、親族等は3分の1以下にしなければならない」というものがあります。
半数以下でも難しいのではないかと思われるところ、3分の1以下というのはかなり難しそうですね。
理事である者が死亡
2つ目の要件は、「理事である者が死亡した場合」でした。
亡くなる直前に理事を退任すればいいのでは?
と思ってしまうのですが、この点は、かっこ書きでカバーされています。
その一般社団法人等の理事でなくなった日から5年を経過していない者を含みます。
つまり、亡くなる前5年以内に理事であった方が亡くなった場合も、この要件に含まれるということですね。
亡くなる5年前に理事を退任すれば、さすがに適用対象外?
そのとおりです。H30年度改正の内容では、亡くなる5年前に理事を退任した方が亡くなった場合までは、適用対象にしていません。
相続はいつ発生するか分からないので、5年前というのは分かりませんが、余裕を持てば、亡くなる5年前までに理事を退任するというのは、まだできるかもしれません。
対応
上記でほとんど述べてしまいましたが、この制度の適用から外れる主な対応としては、以下の2つです。
同族理事を理事の総数の半数以下にする
または、
亡くなる5年前までに理事を退任する
まとめ
社団法人節税スキーム封じのH30年度税制改正の適用要件について具体的に解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?
適用対象外になるのはなかなか難しいですが、「亡くなる5年前までに理事を退任する」というのは、急な相続には対応できませんが、まだやってやれないことはないかもしれません。
ただし、今後、この点についても、将来的には、5年が延長されるや退任時に課税されるなどの改正がなされるかもしれません。
≫社団法人にまつわる税金について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
社団法人を活用した承継を検討される際は、相続に強い税理士に相談してみることをオススメします!
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