相続税なぜあるの?理不尽おかしい

相続税ってなぜあるの?意味不明な税金よ!

所得税を払って貯めた財産に課税するなんて二重課税だ!理不尽だ!

こんにちは、円満相続税理士法人の橘です。

日本の相続税は、お世辞にも安い税金とは言えません。

所得税を払ったうえで貯めた財産に、二回目の税金を課税するなんてけしからん!という意見もごもっともだと思います。

何故、相続税なんて税金が存在するのか…?

これは私のポジショントークのために言うのではないのですが、実は、相続税がないと、私達の生活はもっと苦しくなります

相続税は、税収を増やすためにあるのではなく、日本の治安を維持するためにあるのです。

今回の記事を最後までお読みいただければ、相続税の大切な役割を知っていただけると思います。

税収は期待されていない

相続税は、政府が少しでも多くの税金が欲しいから、取れるところから取ってやろうって魂胆だろ?

いいえ、実は、政府としては相続税を税収確保の目的で設けているわけではありません

こちらの図をご覧ください。

こちらは、国税庁から公表されている令和6年度の歳入額の内訳です。

最も多いのは、消費税。次に所得税。その次に法人税ときます。

注目すべきは、相続税は税収全体の2.9%しかない点です。

意外かもしれませんが、相続税は、もともと税収確保としての役割を期待されていないのです。

相続税の一番の役割は「富の再分配」

では、相続税が期待されている一番の役割は、いったい何でしょうか?

それは、「富の再分配」です。

お金持ちが亡くなった時に、財産の一部を税金として没収することにより、お金持ちと、そうでない人との格差を小さくすることを、富の再分配といいます。

そんなことして、いったい誰が得するの?

実は、富の再分配によって、非常に多くの日本国民が得をする結果になっています。

もしも日本に相続税がなかったら

相続税は、今から100年以上前の1905年(明治38年)にできた税金です。

もしも、日本に相続税がなかったら、今の日本はどのような国になっているか考えてみましょう。

地主が支配する世界

まず、日本に相続税が無かったら、昔からの地主一族が、国内で最強の力をもった一族として君臨しています。

相続税がなければ、地主の子孫は、先祖からの土地を丸ごと相続することが可能になり、その土地から上がってくる家賃や地代収入よって、さらに土地を買い占めていくことができます。

世代を超えて土地の買い占めを続けていけば、家賃や地代収入は、雪だるま式に増え、日本の土地は、そのような有力な地主一族に買い占められてしまうことになります。

相続税のない日本の地主物語

例えば、相続税のない日本の、とある街に大地主がいました。

その地主は、毎日、何もしなくても上がってくる家賃や地代収入で贅沢三昧。

お金が溜まったら、さらに土地を買い、それを人に賃貸していました。

そして気がつけば、その街の土地はほとんど地主の物になっていました。

強欲な地主は、こう言います。

もっとお金ほしいから、家賃と地代、一斉に値上げしますわ。嫌だったら街からでていけ!

大金持ちである地主は、さらに自分に有利な街を創るため、市長に立候補します。

地主の周りには、おこぼれをもらうために忖度する人間が集まってきます。

結果、難なく選挙に当選。市長になります。

私腹を肥やす市長とは知りながらも、住民は土地を借りている以上、文句を言えません。ますます権力を増していきます。

最後には、

国政にでるぞ!

と、国会議員に立候補し、日本は地主の私物と化してしまいました。

と、まぁこれは大袈裟な物語ですが、相続税がなければ地主が雪だるま式にパワーをつけていき、地域を支配できるようになるのは間違いありません。

また、ここでは地主を例にしましたが、歴史上の三井家や三菱家といった財閥が、圧倒的なパワーをもった一族の典型例です。

お金持ちが雪だるま式にパワーを増していくと、国家を手中に収めるほどの力を持ってしまうかもしれません。

このような事態を防ぐために、相続税があるのです。

相続税があることによって、お金持ちのパワーは、世代交代の際に何割か削られます。

そして、次の世代交代までの間に増えた財産は、次の相続税によって何割か削られます。

このようにして、お金持ち一族のパワーを一定に保つことにより、権力の集中化を防いでいるのです。

相続税がないと治安が悪化する

相続税がないと金持ち一族が雪だるま式に財産を貯めることができます。

一方、その他の人たちは、金持ちに富が集中する分、貧しい生活を強いられることになります。

貧しい生活を強いられた人たちは、人を思い遣る余裕なんてありません。

明日の生活のために犯罪に手を染める人も増えるでしょう。

貧しい人たちは、金持ち一族を妬み、

金持ちから金を奪い取ってやれ

と考えます。

しかし、金持ち一族もそれは想定済み。

自分たちが襲われないようにするため、高いお金を払い強力な私兵団を作ります。

金持ちから金を奪うことが難しいと判断した盗賊団は、貧しい人同士の中で奪い合いを始めます。

そして、それを取り締まるはずの警察もまた、貧しい人です。

警察への賄賂が横行し、機能しなくなります。

漫画のような話ですが、実際に、世界を見渡せば、そのような国はたくさんあります。

このような治安悪化の根本的な原因は、貧富の差が雪だるま式に広がってしまうことにあるのかもしれません。

相続税は、日本をこういった国にしないようにするために必要な税金なのです。

国土の狭い日本こそ相続税は必要

これは私見になりますが、世界には相続税が無い国もたくさんあります。

しかし、日本は人口の割に国土が狭く、人口密度が高い国です。

そのため、他の国よりも、土地の買い占めにより地主がパワーを付けやすいのかもしれません。

国土の広い国であれば、土地の買い占めが行われても、そこまでパワーはつきませんからね。

相続税は景気を活性化させる

日本には高い相続税が課されているからこそ、

死ぬ時にたくさんの財産があっても相続税でもっていかれるだけだから、使い切って死のう

という心理を働かせることができます。天国に財産は持っていけませんからね。

日本の資産の大半は高齢者が持っています。

相続税は高齢者の消費意欲を高め、景気を活性化させる機能も期待されています

贈与税を減税すれば景気が活性化する

上記のことを踏まえると、本来であれば、相続税を増税し、贈与税を減税すれば、より一層、生前贈与が活発に行われ、景気を活性化させることに繋がります。

新型コロナの影響もあり、先行きが不透明である昨今、本来であればそのような形にするべきだと私は思うのですが、どうやら政府としては逆のことを考えているようです。

≫相続・贈与一体課税とは

こちらの記事で詳しく解説しましたが、政府としては生前贈与による節税はやめてほしいと思っています。より一層、富の再分配機能を高めたい狙いなのでしょうかね。

確かに富の再分配機能は、日本の安全性を保つ上では大切ですが、これが強すぎると、本当のお金持ちたちは、早々に日本に見切りをつけて、海外に移住してしまいます。

現に、M&Aなどの多額の財産を得た成功者たちは、シンガポールやドバイなどの、税金の安い国にどんどん移住しています。

この流れを止めるには、日本の相続税の在り方も、少し考え直す必要があると思います。ちょうど良いバランスが大事ですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

相続税は、日本のお金持ちとそうでない人の格差を開きすぎないようにしてくれているのです。

富の再分配によって、日本は世界で最も安全な国と言われるようになりました。

そう思うと、相続税もそんなに悪い税金ではない気がしませんか?

相続税の存在意義はわかりましたが、私は払いたくありません

そうですね、それが人情というものです。

私達、円満相続税理士法人では、健全な価値観のもと、制度の趣旨に沿い、モラルある範囲内での節税によって、皆様の財産承継のサポートをしております。

ご相談はお問い合わせフォームからお気軽に!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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