円満相続税理士法人 公認会計士・税理士
在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人、コンサル、公務員を経て、円満相続税理士法人へ入社。相続・事業承継のプロとしてご家族のサポートができるよう業務に携わっています!
父が亡くなったんですが、遺産は換金して弟ときれいに半分にしたいんです。
こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!
相続した財産を換金して相続人で均等に分けたいと希望する相続人の方は多くいらっしゃいます。
遺産が6,000万円くらいだと、節税なんてできないですよね?
いえ、そうとも言い切れませんよ。
不動産などを換金する場合は、単純に換価分割をしてしまうと、思わぬ損失を招く可能性があります。
今回は、社会保険料まで考慮した遺産分割を提案することで、遺産額6,000万円の方が、80万円も負担を減らすことができた事例について、分かりやすく解説していきます。
最後までお読みいただければ、遺産分割に社会保険料などがどのように関わってくるのか、分かるようになりますよ♪
相続人・相続財産の状況
遺産は、父が住んでいたマンション一室と預金です。
マンションは売却する予定で、遺産は弟と半分にしたいと考えています。
分かりました。もう少し詳しく聞かせてください。
相続人の状況
亡くなった方(被相続人):父親
相続人:長女(姉)、長男(弟)
相続財産の状況
不動産(分譲マンションの一室):相続税評価額2,000万円、時価3,000万円、取得費1,000万円
預金:4,000万円
換価分割
他の税理士さんに相談に行ったときは、換価分割を提案されました。
≫換価分割について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
※取得費加算の特例や復興特別所得税などは省略しています。
そうですね、換価分割で半分ずつにすると、税金の計算はそのとおりですね。
ところでお二人とも会社勤めでしょうか?
ここで確認すべきは、不動産の売却が社会保険料などに影響がないかという点です。
長男は、会社勤めで、健康保険組合(年金の第2号被保険者)に加入しているが、
長女は、最近、自身で喫茶店をはじめたところ(自営業)で、ほとんどもうけがなく、国民健康保険(年金の第1号被保険者)に加入しているということでした。
健康保険(年金の第2号被保険者)は、標準報酬月額というお給料で社会保険料が決まるので、不動産を売却しても影響はありません。
一方で、国民健康保険料(年金の第1号被保険者)は、所得全体で決まるので、不動産を売却してもうけが出ると翌年の国民健康保険料が上昇してしまいます。
なお、相続で財産を取得しただけでは、社会保険料などに影響はありません。
国民健康保険料の上昇分を考慮
弟様は影響がありませんが、お姉様は80万円くらい保険料が上がってしまうかもしれません。
え、そんなにも!?
税引き後の手残り額は二人合計で、6,420万円の予定でしたが、国民健康保険料の上昇分も加味すると、6,340万円になってしまいます。
遺産分割の提案
不動産の取得を長男に寄せて、預金で調整することをご提案しました。
そうすると、国民健康保険料の上昇を避けることができ、手残り額は二人合計で6,420万円を維持することができました!
長女:提案前 3,130万円 → 提案後 3,201万円
長男:提案前 3,210万円 → 提案後 3,219万円
こんな分け方があるんですね!
私も少し増えて嬉しいです!
ご家族が協力しあえばWin-Winな遺産分割も可能です!
ポイントは、相続財産を売却する場合には、国民健康保険料が上昇する可能性に注意し、ほかに最適な分け方はないのか模索するということです。
まとめ
遺産分割によって、手残り額が異なってくるという事例の一つでした。
税金だけでなく、社会保険料なども含めて検討することも大切です。
相続でお悩みの場合は、まずは、お気軽にご相談いただけると幸いです!
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最後までお読みいただきありがとうございました!