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【法律家必見!】遺留分改正と小規模宅地特例の選択替え

遺留分改正による相続税への影響とは!?

大田 貴広

【この記事の執筆者】

相続税申告100件以上、相続不動産の売却でお困りの方1,000人以上のお客様を担当してきた相続専門の税理士。大手税理士事務所で勤めてきた経験とディズニーランドで鍛えた人当たりの良さで多くのお客様からの支持を得ている。

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こんにちは!相続専門税理士の大田です。

 

201971日から遺留分が改正されました

 

この改正に伴い、所得税の取り扱いが変わり、さらに相続税の取り扱いも大きく変わる可能性が出てきました!

 

これまで当たり前に使えていた特例が使えなくなったり、税負担が数千万円も変わるなど大きな影響が出てきます。

 

そこで今回は、改正が相続税に与える影響について解説します!

 

 

一般の方はもとより、相続実務に携わる方にとって、必ずためになる話だと思いますので、是非最後までご覧ください♪

遺留分はどう改正されたの?

まず、そもそもの遺留分についておさらいをしたい方は、こちらの記事をご覧ください。

遺留分について

遺留分とは何か相続専門税理士が日本一わかりやすく解説しました

遺言書を残すなら、必ず知っておかなければいけないルールがあります。そのルールの名前は、遺留分(いりゅうぶん)です。この遺留分という制度を、イラストを使いながらわかりやく解説していきたいと思います。

簡単に、今回の遺留分の改正を一言でいうと 

 

『遺留分の清算のやり取りは、全て、お金でやってください。』

 

という改正です。

 

これまでは清算のやり取りをする際、不動産などの現物で行うことも可能でしたが、これだと財産が共有になってしまったり、換金できないという問題点がありましたが、改正によってこの部分が払しょくされました。

 

※原則は、お金での清算となりますが、両者の合意があった場合には、現物で行うこともできます。

 

もっと詳しく、改正の経緯や所得税などの影響について知りたい方は、こちらの記事で触れていますので、ぜひご覧ください。

改正経緯と所得税への影響

2019年7月に改正された新遺留分制度では、所得税が発生するかも問題

遺留分改正の経緯と所得税への影響について解説しています♪

相続税への影響とは!?

遺留分の改正が、相続税に与える影響とは、 ずばり「小規模宅地の特例の選択替えができなくなる」という点です。

 

これだけを聞いても、何のことかさっぱりわからない人が、ほとんどだと思いますので、順番に解説していきます♪

小規模宅地の特例のおさらい

まず、「小規模宅地の特例」ってなんだったっけ、という方に向けて、ご説明しますと、「亡くなった人が自宅として使用していた土地については、配偶者か同居親族であれば、8割引きの金額で相続していいですよ」という特例です!

 

 このほかに、亡くなった方の自宅に限らず、賃貸用不動産事業用不動産についても適用があります。

内容をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

 

小規模宅地等の特例とはなんぞや?

自宅の土地は80%割引で相続ができる、小規模宅地等の特例をご存知でしょうか?この特例が使えるか使えないかで相続税は何千万と変わることがあります。この特例を使うための条件は、配偶者か同居している親族が自宅を相続することです。小規模宅地等の特例を基本的なことからわかりやすく解説しました。

小規模宅地の特例の選択替えとは

前提として、小規模宅地の特例の選択替えは認められていません。

 

これはどういうことかというと、例えば、長男が、亡くなった母から自宅とアパートを相続したケースを考えてみましょう。

 

この長男は、アパートに小規模宅地の特例を適用することを選択して、申告書を税務署に提出しました。

遺言書どおりの相続の場合

ところが申告期限後に、実はアパートではなく、自宅に特例を適用した方が有利なことに気が付きました。

 

この時に、「アパートから自宅へ」小規模宅地の特例の選択替えができるのでしょうか。

 答えは、NOです。

話し合いによって半分ずつ相続する場合

このように、あとで税額が有利になることが分かって、選択替えをしたかったとしても、修正することは認められないのです。

選択替えが認められるケース

ただし、次のようなケースの場合には、選択替えが認められます。

 

そもそも選択した土地について特例が適用できなかった場合

これは先程のケースで考えると、アパートが小規模宅地の特例の要件にあてはまらず、そもそも適用できなかった場合です。

 

この場合には、そもそもアパートから特例を適用できず、正しい申告が出来ていませんでしたので、自宅に特例を使った形に修正してもOKということになります。

相続した後に贈与といわれてしまう理由

②遺留分減殺請求があった場合

 

こちらでは、遺留分減殺請求があった場合に、どのように選択替えができるのかを解説していきます。

 

前提として、亡くなった方は母、相続人は長男と長女の2人、母は『自宅とアパートを全て長男へ遺す』という遺言書を作っていた場合を考えていきます。

 

長男は、引き継いだアパートに小規模宅地の特例を使うことを選択して、期限内に申告しました。

 

相続した後に贈与といわれてしまう理由

長女は、自分が財産を一切相続できないことを不服に思い、長男に対して遺留分の減殺請求を行い、アパートを取得したとします。

相続した後に贈与といわれてしまう理由

この時、小規模宅地の特例はどのようになるでしょうか。

 

長男はもともと遺留分減殺請求の前は、アパートに小規模宅地の特例を適用していましたが、そのアパートは長女のものになってしまったのです。長男は自宅だけを相続し、長女はアパートを引き継いだことになります。

 

 この場合、長男はアパートから自宅に選択換えが認められるのか?そして新たにアパートを取得した長女は、アパートに特例を使うことが認められるのか?ということが問題になります。

 

結論、この場合には、両者とも、小規模宅地の特例を適用できます!

相続した後に贈与といわれてしまう理由

この際、長男は修正申告、長女は遺留分減殺請求が確定してから4カ月以内に更正の請求をする必要があります。

 

遺留分減殺請求のような後発的な出来事によって、相続の仕方が変わった場合には、選択替えを認めてもらえます。

 

(参考 国税庁質疑応答事例 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/10/04.htm

遺留分侵害額請求(改正後)では選択替えが認められない!

ここまでの前提を抑えていただいたら、いよいよ今回の改正による影響が出る部分について解説していきます。

 

冒頭でも書きましたが、遺留分の改正が、相続税に与える影響とは、「小規模宅地の特例の選択替えができなくなる」という点です。

 

これはどういうことかというと、改正前(令和元年630日以前に相続発生の場合)は、先ほどのとおり、小規模宅地の特例が使えましたが、改正後(令和元年7月1日以降相続発生の場合)は、長男のアパートから自宅への選択換えは認められず、長女が新たに取得したアパートへの特例適用も認められない形になります。

相続した後に贈与といわれてしまう理由

これは、改正後の遺留分の精算は、金銭で行うことがルール化されたことが背景にあるようです。

 

これを受けて、遺留分減殺請求という名称が、改正後は遺留分侵害額請求へと変更されました。

 

これまでは、遺留分として不動産を現物で渡すとしていましたので、選択替えが認められていましたが、改正後は、不動産を渡したとしても、それはあくまで金銭の支払いに代えて引き渡したものであるとして、選択替えを認めないという考え方に変わりました。

 

要するに、不動産の移転は、「譲渡」であり「相続」で取得したことにならないので、小規模宅地の特例の選択換えも認められないということですね。

 

 

ただし、当初申告で長男がアパートで特例の適用を受けていて、その後引き続き、要件を満たしていれば、当初申告の通り、長男がアパートに特例を適用することができます

※長男が相続税申告期限内に遺留分の精算としてアパートを長女に移転させた場合には、継続所有要件を満たさなくなるため、適用できなくなります。

 

なので今後、遺留分侵害額請求が起こりそうな案件に当たった場合は、選択替えができないという前提で、コンサルティングを行う必要がありそうですね!

 

ちなみに、遺言書がある場合に、遺留分侵害額請求ではなくて、話し合いがまとまれば、遺産分割協議で兄弟間の財産を分け合うこともできます。

 

ただこの際に、上記の例のように、アパートだけを長女が相続するとしてしまう場合は、相続税のほかに、贈与税が課税されてしまう可能性があるので注意してください!

 

この点についてまとめた記事がありますので、興味がある方はこちらの記事もご確認ください!

遺言書の放棄と贈与税

遺言を放棄したら贈与税がかかるはうそ!?

「遺言書を放棄したら贈与税がかかる」というのを聞いたことはありますでしょうか。要は、相続税と贈与税のダブルパンチになってしまうということです。兄弟姉妹間の仲が悪い場合には、遺言書の放棄を検討することもたびたび出てくることになりますが、贈与税がかかるリスクも考えなければなりません。

終わりに・・・

ということでいかがでしたでしょうか。

 

円満相続税理士法人では、このような係争案件を年間数十件取り扱っています。

 

この記事のほかにも法律家や実務家が知っておかなければならない税金の話をお伝えしていますので、よろしければ一度定期勉強会にご参加いただければ嬉しいです♪

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