

異業種からの転職で税理士の勉強を始め、医療専門税理士法人や 国内大手税理士法人を経て円満相続税理士法人へ。 相続税申告を多数経験するなかで、多角的な視点が必要な相続税の 奥深さとやりがいを日々感じております。
こんにちは!円満相続税理士法人の鈴木です!
相続が発生して所有する土地を調べていたら、ゴミ置き場となっている土地の共有持分を持っていた!ということはないでしょうか。
戸建ての分譲地などでは、ゴミ置き場の土地を分譲地の購入者で共有しているケースがあります。
土地の登記に『雑種地』と書いてあるけれど、どうやって評価するの?
路線価がついているけれど、土地の面積を掛ければいいの?
今回の記事では、ゴミ置き場の土地の評価方法と検討すべき減額要素について、分かりやすく解説いたします♪
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雑種地の評価方法
雑種地とは、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地“以外の”土地をいいます。
ゴミ置き場の土地は、登記上の地目や固定資産税の課税地目が「雑種地」となっていることがほとんどです。
雑種地は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地と同じように評価します。例えばゴミ置き場なら、付近の宅地と同じように評価することとなります。
ただし、「雑種地」の倍率が定められている地域にある場合には、倍率方式で評価します。
この場合、雑種地の固定資産税評価額×雑種地の倍率で相続税評価は完結です。
(雑種地の倍率があることは、極めて稀です。)
基本的な土地の評価方法について詳しくはこちら↓
ここからは、ゴミ置き場の地目が「雑種地」である前提で、詳しい評価方法を解説します♪
倍率地域の場合(近傍標準宅地評価額×倍率)
そのゴミ置き場の土地が倍率地域にある場合には、そのゴミ置き場の土地の「近傍標準宅地」の1㎡あたりの標準額に宅地の倍率を乗じ、「普通住宅地区」の側方路線影響加算率や奥行価格補正率・不正整形地補正率などの調整率を使って評価します。
「近傍標準宅地」の1㎡あたりの評価額×宅地の倍率×普通住宅地区の各種調整率(不整形地補正率など)
「近傍標準宅地」の1㎡当たりの評価額とは
近傍標準宅地評価額とは、近くの標準的な宅地の評価額のことで、市区町村の固定資産税の担当部署で調べることができます。
お電話やメールで役所に確認するか、または固定資産税の評価証明書や名寄帳を申請する際に、「近傍宅地の1㎡当たりの固定資産税評価額を備考欄に記載してください」と依頼します。
また、全国地価マップや市区町村のホームページで、そのゴミ置き場が接する道路の固定資産税路線価が公開されている場合には、その固定資産税路線を「近傍標準宅地」の1㎡あたりの評価額として計算します。
路線価地域の場合(路線価×地積)
そのゴミ置き場の土地が路線価地域にある場合には、その土地の面する路線価をもとに、側方路線影響加算率や奥行価格補正率・不整形地補正率などの調整率を乗じて計算していきます。通常の宅地の評価方法と同じです。
路線価×地積×各種調整率(不整形地補正率など)
整備されていない雑種地に関しては宅地造成費(整備するための費用)を控除できる可能性がありますが、ゴミ置き場はアスファルト舗装されているケースが多く、整備済みなので宅地造成費の控除はできないことがほとんどです。
検討すべき減額要素
ゴミ置き場って価値があるのかしら?ここだけ売るわけにもいかないし、家が建てられる広さもないし、臭いも気になるし…
宅地(自用地)として評価したゴミ置き場の土地が、実際に想定される取引価格よりも高いようでしたら、使える評価減がないか検討してみましょう!
検討①私道に準じて評価
ゴミ置き場の土地は周辺住民が利用していますので、「私道の用に供されている宅地の評価」に準じて自用地(通常の評価額)の30%相当額で評価することも、実際に想定される取引価格に近づける一つの方法と考えられます。
なお、ゴミ置き場として利用しているのは分譲地の購入者など特定の方に限られますので、「不特定多数の者の通行の用に供されている場合」の0円評価には該当しない点にご留意ください。

検討②利用価値が著しく低下している宅地の評価
同じ道に並んでいる家でも、裏が墓地だったり、端っこの家だけ線路沿いだったりするなど、同じ路線価で評価するには不合理なケースがあります。
下記に当てはまる場合には、自用地としての評価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額×10%を控除することができます。
1.道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
2.地盤に甚だしい凹凸のある宅地
3.震動の甚だしい宅地
1~3までの宅地以外で、騒音、日照阻害(建築基準法第56条の2に定める日影時間を超える時間の日照阻害のあるものとします。)臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの
ゴミ置き場の土地に関しては、夏場の臭気やカラスによる食べ散らかしの被害などが想定され、嫌悪施設と同じような印象があること、また、狭小地であることから、利用価値が著しく低下している宅地として10%の評価減が考えられます。
なお、電柱の周りにゴミを出しているなど、ゴミ置き場がその地域内で移動可能な場合には、土地取引において影響を与えないと考えられ、10%の評価減は適用となりません。

ゴミ置き場に「隣接」する土地の10%評価減は厳しい
国税不服審判所の裁決事例(令和6年9月17日裁決)では、ごみ集積所に隣接していることや高低差があること等から「利用価値が著しく低下している宅地」として10%相当額を控除して申告した結果、「付近にある宅地と比較検討してもなお、宅地の取引価額に影響を与えると認められる事情があるとはいえない。」として10%減が認められませんでした。
ゴミ置き場に「隣接」する土地については、周辺の同じ路線価の土地と比較して価値の低下が証明できる場合や、24時間365日ずっと臭気が気になるなどの特段の事情がない限り、利用価値が著しく低下している宅地としての10%評価減は厳しい印象です。
「利用価値が著しく低下している宅地の評価」に関連するブログはこちら↓
まとめ
ゴミ置き場の土地の相続税評価について、解説いたしました。
地目が『雑種地』でも、付近の宅地と同じように評価
検討① 私道に準じて評価
検討② 利用価値が著しく低下している宅地の評価
土地の相続税評価は、検討すべき事項が多く、減額要素を適用するかどうかで相続税額が大きく変わるケースがあります。
土地の評価額が出たけれど実際にはこんな高い金額で売れない気がする…、ゴミ置き場の土地の持分を持っているなんて知らなかった…など、土地の評価でお困りの際は、私たち円満相続税理士法人にぜひ一度ご相談ください♪















