円満相続税理士法人 税理士
学生時代に税理士試験の受験を始め、在学中に4科目取得し群馬県の会計事務所に就職。売上規模数十億円の企業の法人税、相続税を担当しつつ25歳の時に税理士試験合格。
相続財産に株式があるのですが、どのように手続きをすれば良いでしょうか?
株式の相続手続きは、その株式がある口座の種類(一般、特定、特別)によって変わってきます。
そこで今回は、口座の種類ごとに、株式の相続手続き方法を解説します!
皆さんこんにちは。
円満相続税理士法人、税理士の加藤です。
今回は、相続財産に株式がある場合の手続きの方法を解説します。
株式の口座は
・一般口座
・特定口座
・特別口座
など、さまざまな種類があり、その種類ごとに手続きも変わってきます。
この記事は代表的な上記3つの口座の手続きを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
共通する大まかな流れ
まずはどの口座にも共通する、株式の相続手続きの大まかな流れを解説します。
被相続人(亡くなった方)が株式を持っていた場合、その相続人は、被相続人と同じ証券会社に口座を持っていないと、株式を相続することが出来ません。
そのため、もし被相続人と同じ証券会社に口座が無い場合には、まずは、その証券会社に口座を開設する必要があります。
(株式を相続する人だけが開設すれば問題ありません。)
株式を相続する手続きの大まかな流れは、次のようになります。
~株式の相続手続き~
①:被相続人が株式を所有している証券会社を調べる
②:株式等を相続する人を決める
③:被相続人と同じ証券会社に口座を開設する(すでに口座がある場合は不要)
④:各種手続きを行い、被相続人の口座から、相続をする人の口座に株式を移管する
※共通する必要書類は、次のようなものが挙げられます。
・遺産分割協議書(証券会社が指定する遺産分割同意書)
・被相続人の戸籍謄本(法定相続情報一覧図で代用可能)
・法定相続人を確認できる戸籍謄本(法定相続情報一覧図で代用可能)
・法定相続人全員の印鑑証明書
など
一般口座の場合
ここからは口座の種類ごとに、相続手続きの詳細を解説していきます。
まずは被相続人の株式が「一般口座」にあった場合の手続きです。
一般口座とは?
「一般口座」とは、特定口座やNISA口座などで管理されていない株式を管理する取引口座のことをいいます。
一般口座内で売買を行った場合、利益や損失は自分で計算をする必要があり、原則として確定申告も行う必要があります。
一般口座の相続手続
被相続人が一般口座に株式を所有していた場合には、次の書類を証券会社に提出して、移管の手続きを行います。
~一般口座の相続手続き書類~
①:相続上場株式等移管依頼書(名称は証券会社によって異なります。)
②:相続上場株式等の取得の日及びその取得に要した金額を証する書類
など
なお②の書類とは、具体的に次のようなものが考えられます
~②の書類の具体例~
・取引報告書
・取引残高報告書
・月次残高報告書
・受渡計算書
・顧客勘定元帳
・証券会社の証明書等
・発行会社または名義書換代理人等が作成した払込みに関する取得証明書
一般口座を特定口座に移管できる?
一般口座の相続手続きを行う際に問題になるのが、
一般口座の株式を、自分の特定口座に移管できるのか?
という点かと思います。
この結論は、
同じ証券会社であれば移管可能
となります。
逆に、別の証券会社の特定口座へは移管できませんので注意してください。
~一般口座から特定口座への移管~
同じ証券会社での移管⇒〇
別の証券会社へ移管⇒×
特定口座の場合
続いては「特定口座」の相続手続きを解説します。
特定口座とは
特定口座とは、株式や投資信託などの取引で生じた損益を、証券会社が集計や計算をしてくれる口座となります。
特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の二種類があり、口座開設者が選択をすることが出来ます。
「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社が税金の部分も手続きを代行してくれるため、口座開設者は確定申告などを行う必要が無くなります。
また「源泉徴収あり」を選択した場合でも、損益通算などを行いたい場合には、確定申告をすることも出来ます。
「源泉徴収なし」を選択すると、口座開設者は自身で確定申告を行い、納税をする必要が出てきますが、「年間取引報告書」が証券会社から送られてくるので、損益の集計をする必要はありません。
特定口座の相続手続き
特定口座の開設者が死亡した場合は「特定口座開設者死亡届出書兼非課税口座開設者死亡届出書」を証券会社に提出する必要があります。
また株式等を移管する際には、その移管先の相続人も特定口座を開設している必要がありますので、もし相続人が口座を持っていない場合には、その開設手続きも必要になります。
なお、被相続人の特定口座から、相続人の一般口座への移管は、証券会社にもよりますが、特に制限は設けられていません。
特別口座の場合
つづいては「特別口座」の相続手続きについて解説します。
上記で解説した特定口座と間違えやすいのですが、こちらは、特「別」口座なので、注意しましょう!
特別口座とは
特別口座とは、株券の電子化の際に、証券保管振替機構に預託をされなかった株券を管理している口座となります。
主に端株(単元未満株)などが保管されていることが多く、相続税の計算で漏れてしまう可能性が高いので注意が必要です。
特別口座の相続手続き
特別口座にある株式を相続するには、「一般承継(相続)による口座振替申請書」に必要事項を記載し、所定の書類を提出する必要があります。
特別口座の株式の場合、相続人は証券会社に自身の口座を開設し、その口座に振り替える必要があるので、証券会社の口座を持っていない相続人は、まずは口座開設手続きをしましょう。
特別口座の中にある株式などは、そのままでは売却や贈与などが出来ないので、生前に証券会社の口座に振り替えておくのも一つの手です。
まとめ
今回は株式の相続手続きを、口座の種類ごとに解説しました。
解説した方法の他、各証券会社や信託銀行ごとに異なる手続きが必要になる場合もあります。
もしご自身で手続きをすることが難しい場合には専門家に依頼をしましょう。
弊社では相続手続きを専門とした司法書士などもご紹介できますので、何かあれば一度お問い合わせください!