特定口座の確定申告はデメリットもある

~ポイント~

特定口座(源泉あり)を確定申告する

その年の所得の金額が増える可能性がある

(確定申告をしなければ、特定口座内の利益が所得に加算されることはない)

所得の金額が要件となっている、所得税や贈与税の特例が適用できなくなる

皆さんこんにちは。

円満相続税理士法人、税理士の加藤です。

今回は、特定口座(源泉徴収あり)での譲渡所得や配当所得を確定申告したために所得が増加してしまい、適用が出来なくなる可能性がある特例を紹介します。

通常、特定口座内で株式を売却したり、配当を受け取った場合は、源泉徴収がされるため確定申告をする必要はありません。

(「源泉徴収あり」を選択した場合に限ります。以下同じ。)

しかし、損益通算をしたい場合などは、あえて特定口座の利益も確定申告することがあるかと思います。

もし皆様の中で特定口座の利益を確定申告しようと思っている方がいる場合は、次から紹介する特例の適用が出来るかを注意して確認いただければと思います。

また特定口座の確定申告を考えていない方も、所得が要件となる各種特例はどのようなものがあるかを確認できますので、ぜひ参考にしてください。

所得が要件となる所得税の特例

寡婦控除

寡婦控除は、合計所得金額が500万円を超えると適用が出来なくなります。

ひとり親控除

ひとり親控除は、

・子供の総所得金額が48万円を超える

or

・自身の合計所得金額が500万円超える

と適用が出来なくなります。

勤労学生控除

勤労学生控除は

・合計所得金額が75万円を超える

or

・給与所得等以外の所得が10万円超える

と適用が出来なくなります。

配偶者控除

配偶者控除は、合計所得金額が1,000万円を超えると適用が出来なくなります。

配偶者特別控除

配偶者特別控除についても、合計所得金額が1,000万円を超えると適用が出来なくなります。

扶養控除

扶養控除は、扶養親族の合計所得金額が48万円を超えると適用が出来なくなります。

基礎控除

所得税の基礎控除は、合計所得金額が2,500万円を超えると適用が出来なくなります。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は、合計所得金額が2,000万円(※)を超える年分は適用ができなくなります。

(※)一定の場合には3,000万円

省エネ改修工事の特別控除

省エネ改修工事をした場合の特別控除は、合計所得金額が3,000万円を超えると適用が出来なくなります。

認定住宅等新築特別控除

認定住宅等新築等をした場合の特別控除は、合計所得金額が3,000万円を超えると適用が出来なくなります。

災害減免法による減免

災害減免法による減免税の特例は、災害減免法の合計所得金額が1,000万円を超えると適用が出来なくなります。

所得が要件となる贈与税の特例

住宅資金の非課税贈与

住宅資金の非課税贈与は、受贈者の合計所得金額が2,000万円を超えると適用が出来なくなります。

教育資金の非課税贈与

教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は、受贈者の前年分の合計所得金額が1,000万円を超えると適用が出来なくなります。

結婚子育て資金の非課税贈与

結婚子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は、受贈者の前年分の合計所得金額が1,000万円を超えると適用が出来なくなります。

まとめ

今回は、特定口座の確定申告を行う事によって、適用が出来なくなる可能性がある特例をご紹介しました。

特定口座を確定申告することは、他にも社会保険などにも大きな影響を与えますので、細心の注意を払う必要があります。

損益通算が出来るからと安易に確定申告をしてしまうと、ご紹介した所得金額が要件となる特例が使えなくなったり、思いもよらない負担が発生する可能性がありますので、まずは税理士に相談をしてみてはいかがでしょうか!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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