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【不動産管理会社で節税】否認されない管理料の目安は無い?判例解説

相続対策で不動産管理会社を設立しようと思うのですが、管理料に気を付けないといけないと聞きます。
実際、管理料はどのくらいが適正なのでしょうか?

実は不動産管理会社の管理料については、これが適正、ということは決められていないのです。
そこで大切になってくることが判例です。
今回は管理料が争点となった判例を紹介し、その考え方について徹底解説します!

みなさんこんにちは。

円満相続税理士法人、税理士の加藤です。

賃貸不動産を所有する方は、相続対策として不動産管理会社を設立することがあるかと思います。

(不動産管理会社の相続対策については、次の記事を参考にしてください。)

不動産管理会社を使った相続対策で切っても切れない問題が、

管理料をどのように設定するのか

というものです。

管理料の設定を間違えてしまうと、税務署から否認されてしまい思いがけない税金が発生してしまう可能性があります。

そこで今回は、そんな管理料が争点となった判例をご紹介します。

この判例をもととして、

〇管理料についてどのように考えれば良いのか?

〇適正な管理料とは?

といった説明をしますので、ぜひ参考にしてください!

否認されない適正な管理料は存在しない

まず不動産管理会社の管理料について考える上で大切なことは、否認されない一律で適正な管理料は存在しない、と認識することです。

管理料については例えば、

家賃の〇%~〇%が適正

というような形で紹介がされていたりしますが、これをそのまま鵜吞みにしてしまうのは危険です。

その理由は、国税庁の内部指示で次のようなものがあるためです。

不動産管理料の算定方法について

不動産所得を有している個人が、自己又は親族の主宰する不動産管理会社を設立し、その不動産管理会社に高額な管理料を支払うなどしている場合における当該管理料又は管理料率については、目安となる適正額等といったものはないのであり、委託する管理業務の内容、事業規模や収益の状況等個々の実態に応じて適切に取り扱うよう周知・徹底されたい。

(個人課税部門における事務運営の執行等に関する指示事項について(指示)平成12年9月6日  課所6-46)

これはつまり、

管理料は不動産によって変わるのが当然なのだから、事情を見ないで家賃の〇%~〇%は適正、みたいに決められるものでは無いよね。

と言っているのです。

この文言は法律の条文ではないため、厳密にいえば法的な規制はないのですが、この考え方が税務署の中では通っているという認識をした方が良いかと思います。

管理料はどうすればいいのか?

適正な管理料が無いのは分かりましたが、それではどのようにすれば良いのでしょうか?

管理料を考える上では、裁判などでどのように判断されているのかが重要になってきます!

一律に適正な管理料がないことは、上で説明をした通りです。

しかしこれでは管理料をいくらにすればよいか分からなくなってしまいます。

そこで、管理料の設定で重要になってくるのが判例となります。

裁判等でどのように管理料が取り上げられて、どのように判断されたのか、という基準を知っておけば、それを応用して管理料の設定について考えることが出来ます。

適正な管理料は裁判等でどのように計算されている?

それでは、裁判等では適正な管理料はどのように計算されているのか、ご紹介します。

適正な管理料については、他の賃貸不動産オーナーが同族会社では無い業者にはどのくらい管理料を支払っているのか?という点を重視して判断されています。

~適正な管理料の計算方法~

〈東京地裁平成5年(行ウ)第39号所得税更正処分取消請求事件判決文より抜粋〉

適正な管理料を算定するための方法としては、同族関係にない不動産管理会社に本件ビルと同程度の規模のビルの管理を委託している同業者(比準同業者)の賃貸料収入、支払管理料の額を調査し、通常であれば支払われるであろう標準的な適正管理料の額を算定した上、これと本件ビルの管理料とを対比する方法が合理的である。

そこで、被告は、次のアないしオの基準を設定し、これらの基に該当する者を抽出した。

ア 原告の納税地であり、かつ、本件ビル所在地~~~に納税地及び貸ビルを有する不動産貸付業を営む個人で、その貸ビルの管理を右個人と同族関係にない不動産管理会社に委託している者で、本件各係争年分において、収支計算に基づき所得金額を算定し、かつ、所得税青色決算書(不動産所得用)又は収支内訳書(不動産所得用)を提出している者

イ 本件各係争年分に係る賃貸料収入(共益費、更新料及び礼金等の臨時的収入を除く。)が貸ビル1棟について、原告の賃貸料収入額の半分以上2倍以内の範囲内にある者

ウ 年を通じて不動産貸付業を営んでいる者

エ 次のいずれにも該当しない者

1) 災害等により経営状態が異常であると認められる者

2) 更正又は決定処分を受けている者については、当該処分につき国税通則法又は行政事件訴訟法の規定による不服申立期間又は出訴期間が経過していない者並びに当該処分に対して不服申立中及び訴訟中の者

オ 管理委託の業務内容が主として賃貸借契約の締結、更新、入居者の募集及び集金であるもの

つまり、他の似たような人が、第三者である管理会社に支払っている管理料などを調査して、その平均値を適正としているわけですね!

その通りです!
個人の力でこれを全て調べるのは難しいですが、少なくとも通常の管理会社の相場は念頭に置いておくべきだと思います。

実際の事例

それではここからは、実際の裁判例等を紹介し、管理料の取り扱いについて見ていこうと思います。

管理料については、

・管理業務だけを管理会社に依頼する「管理委託方式」

・管理会社に物件を貸し付ける「転貸方式」

によって相場は変わってきます。

実務上では、よりリスクの高い転貸方式の方が、管理料が高い傾向にあります。

事例①:管理委託方式

まずは、平成6年1月28日 東京地裁判決です。

この事例では家賃収入の34~37%の管理料を同族会社に支払っていましたが、それが否認されました。

判決では適正な管理料は、家賃収入の約4%となりました。

事例②:転貸方式

次の事例は、平成6年6月21日 最高裁判決です。

この事例では、家賃収入の30%ほどを管理料としていましたが、結果として適正な管理料は5~9%ということになりました。

事例③:転貸方式

3つ目の事例は、平成12年1月31日裁決です。

(詳細はコチラ)

この事例では、家賃収入の40%以上を管理料としていたのですが、適正な管理料は8~9%ほどと判断されました。

事例④:転貸方式

4つ目の事例は、平成13年1月30日 東京地裁判決です。

この事例では家賃収入の約60%を管理料としていましたが、適正な管理料は約10%と判断されています。

事例⑤:転貸方式

5つ目の事例は、平成14年4月24日 裁決です。

(詳細はコチラ)

この事例では、家賃収入の33~35%程を管理料としていましたが、適正な管理料は3~4%と判断されています。

(なお、この裁決の場合には上記の管理料の他、火災保険料等は管理料に含めるとされています。)

実務で採用される管理料

ここまで適正な管理料や、実際の判例での管理料について触れてきました。

私見となりますが、実務で採用されている管理料は、次のような範囲が多いものと思われます。

~実務で採用されている管理料~

〇管理委託方式:収入の3~8%程

〇転貸方式:収入の10~15%程

しかしながら、この割合も明確な根拠があるわけではないので、必ず安全なわけではありません。

例えば管理料を低く設定していても、そもそもの管理をしていない場合などは、当然否認されてしまうのです。

このようなことから、不動産管理会社を相続対策のために設立する場合は、管理料は慎重に検討する必要があります。

まとめ

今回は、相続対策のための不動産管理会社設立について、管理料の問題を取り上げました。

ご紹介した通り、管理料の設定は一筋縄ではいきません。

明確な基準や、目安、といったものもありません。

もし皆様の中で管理料についてお悩みの方がいる場合は、ぜひ一度相続を専門としている税理士にご相談ください。

弊社では数々の相続案件に立ち会った税理士が対応をさせていただきますので、どうぞお気軽にご連絡ください!

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