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アパートや駐車場も小規模宅地特例で50%引き?貸付事業用の解説

小規模宅地等の特例

【この記事の執筆者】

相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。

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こんにちは、相続専門税理士の橘です。

 

亡くなった人が自宅として使っていた土地は、330㎡まで8割引きで相続ができる小規模宅地等の特例という制度があります。この特例が使えるかどうかで、支払う相続税が何千万と変わってしまうことはよくあります。それくらい重要な特例です。

 

小規模宅地等の特例

 

これまでのブログでは、「自宅は8割引きですよー」とお伝えしてきましたが、実は・・・・

 

 

アパートや駐車場にも小規模宅地等の特例が使えるのです!アパートや駐車場の場合には、200まで50%引きです。

 

これを貸付事業用(かしつけじぎょうよう)の小規模宅地等の特例といいます。この特例を上手く活用できれば、相続税の負担をだいぶ軽くすることができます‼

 

今回は、貸付事業用の小規模宅地特例について、基本的な部分から解説していきます。※自宅は80%引きになるという話を詳しく知りたい人はこちら↓をご覧ください。

小規模宅地等の特例とはなんぞや?

自宅の土地は80%割引で相続ができる、小規模宅地等の特例をご存知でしょうか?この特例が使えるか使えないかで相続税は何千万と変わることがあります。この特例を使うための条件は、配偶者か同居している親族が自宅を相続することです。小規模宅地等の特例を基本的なことからわかりやすく解説しました。

貸付事業用の小規模宅地特例とは?

この特例は一言でいうと、亡くなった人が賃貸物件として使っていた土地は、賃貸経営を続ける人が相続した場合、200㎡まで50%引きでいいですよ、という特例です。

 

賃貸物件として使っていた土地というのは、言い換えると、賃貸アパートの敷地や賃貸マンションの敷地、駐車場の敷地などが当てはまります。また、地主が借地人に土地を貸している場合の底地部分も該当します。

 

このような土地を相続した人が、相続発生日(亡くなった日)から10ヶ月間、賃貸経営を継続するのであれば、200㎡まで50%引きをしてあげますよ、という、かなり奮発した特例です。

200㎡は60坪

賃貸経営を継続させるって、そんなに難しいことではないでよね。基本的にはそのまま家賃を受け取り続ければOKです。

 

相続発生日から10ヶ月以内にその物件を売却するような場合には、この特例は受けられません。

 

なお、ここでいう賃貸経営とは、それ相当の家賃や地代を受け取っていることが前提です。親族間で超格安な家賃しか取っていないような場合には賃貸経営と認められませんので注意しましょう!

 

 

 

自宅80%引きとは併用できない?

自宅80%引きの特例と賃貸物件50%引きの特例は、一緒に使うこと(併用)が部分的にしかできません。この併用の考え方は、ちょっとだけ難しいので、丁寧に解説していきます。

 

自宅は330㎡まで、賃貸物件は200㎡までと、特例が使える面積にはそれぞれ限度が決まっています。

 

小規模宅地等併用

例えば、ある人の自宅は110㎡だったとします。

 

 

本来、自宅は330㎡まで80%引きにできるのに、この人は110㎡までしか特例を使えませんでした。そうすると、本来まだ使える特例の余りを、賃貸物件50%引きに繰り越すことができるのです。

 

 

小規模宅地等併用

小規模宅地等併用

と考えると思いますが、この考え方は間違いなのです。

 

特例の余りを賃貸物件に繰り越すことは正解なのですが、自宅は330㎡と賃貸物件は200㎡と限度面積が違うので、調整をしないといけないのです。

 

先ほど、自宅で110㎡分特例を使いました。限度は330㎡なので、特例を33.3%使用したと考えます(110÷330=33.3%)

 

そうすると、特例の余りは66.7%ということになります。

小規模宅地等併用

この66.7%という割合を賃貸物件に繰り越します。

 

賃貸物件の限度面積は200㎡です。200㎡の66.7%133.4㎡です。

小規模宅地等併用

この人の場合には、自宅110㎡を80%引き、そして賃貸物件を133.4㎡まで50%引きできるということになります。

 

※この限度面積の計算方法は、まず(自宅の面積 ÷ 330) - 1をします。その答えに、× 200をすると計算できます。先ほどの例でいうと、(110÷330)-1は-0.66666666…です。-0.666666666×200=-133.3333…㎡。答えにマイナスがつきますが、気にしないでOKです

自宅80%引き賃貸物件50%の有利判定

今の事例では、自宅が先、余った部分を賃貸物件という流れで説明しましたが、この順番は自由に選ぶことができます。

 

賃貸物件が先、余った部分を自宅、という流れでもOKです。

 

しかし、賃貸物件は50%引きですが自宅は80%引きです。地価が同じくらいの地域であれば自宅から特例を使った方が有利になります。一方で、地価が非常に高い賃貸物件であれば、自宅よりも賃貸物件から優先した方が有利になるケースもあります。

 

この有利判定は、①土地の評価額を計算して、②1㎡あたりの減額幅を計算し、③限度面積の違いを加味すれば答えがでます。

 

例えば、1㎡あたり50万円の六本木の賃貸物件と、1㎡あたり20万円の横浜市の自宅で有利判定を考えていきましょう。

 

150万円の六本木の賃貸物件に50%引きを使えば、1㎡あたりの減額幅は25万です。1㎡あたり20万円の横浜市の自宅に80%引きを使えば、1㎡あたりの減額幅は16万円です。

 

このような場合には六本木の賃貸物件から特例を使った方が有利に見えますが・・・

 

 

実は、違います!

 

 

賃貸物件には200㎡までしか特例が使えませんが、自宅には330㎡特例が使えるのです。この限度面積の違いも加味しなければいけません。

 

そこで、仮に賃貸物件で限度面積MAXまで特例を使った場合と、自宅で限度面積MAXまで使ったことを想定して有利判定を検証します。

 

まず、賃貸物件でMAX200㎡まで50%引きをした場合には、25万×200㎡=5000万の評価減を受けることができます。

小規模宅地有利判定

次に、自宅でMAX330㎡まで80%引きをした場合には、16万×330㎡=5280万の評価減を受けることができます。

小規模宅地有利判定

結果として今回のケースでは横浜市の自宅から80%引きを選択した方が有利になります。

 

ここの考え方は、かなり難しいですよね。しっくりこない人は、2つのパターン(自宅から優先して使った場合、賃貸物件から優先して使った場合)を計算して、どちらがトータルで多く評価減をとれるか計算してみましょう。※土地の評価額の計算方法について知りたい人は↓の記事をご覧ください。

土地の相続税評価額の計算

土地の相続税評価額の計算方法は意外と簡単です。土地の面積さえわかれば後は路線価図をインターネットで探すだけです。イラストと図を使って日本一わかりやすく土地の相続税評価額を解説しました。

青空駐車場は特例が使えないので要注意!

この特例を使う条件に、「建物または構築物の敷地として使われている土地であること」という条件があります。建物か構築物の敷地になってないとダメですよ、ということです。

 

アパートやマンションは問題ないのですが、駐車場でこの特例を使う場合には、むきだしの土にロープだけで作ったような駐車場には、この特例が使えないので注意です!(このような駐車場を青空駐車場と呼びます)

 

 

例えば、こんな感じはアウトです↓

小規模宅地青空駐車場

アスファルトを敷いていれば問題ないので↓このくらいの駐車場になれば間違いなくOKです。

小規模宅地青空駐車場

微妙なのが↓このようなケース。砂利も法律上は構築物になりますので問題ないのですが、砂利なのか、ただの石ころなのか判断が難しいです。

小規模宅地青空駐車場

この点について、以前、国税庁のOBに質問しにいったことがあります。

 

 

橘「先生!これは砂利でしょうか?ただの石ころでしょうか?」

 

 

 

と聞いたところ

小規模宅地青空駐車場

とのことでした。

 

ちなみに、アスファルトなり砂利があったかの判定は、相続が発生した時点で行いますので、税務署から、「相続が発生した後に、急いで砂利まいたんじゃないですか?」と疑われないように、対策する人は早めに対策するようにしましょう。(写真取っておくのもいいかもしれませんね)

 

 

 

まとめ

小規模宅地の特例は、実は自宅8割引きだけではないんですね。

 

アパートやマンションの敷地にも200㎡まで50%引きが使えます。ただ、自宅の80%引きとは部分的にしか併用できません。どちらが有利になるかは慎重に検討しましょう。

 

ちなみに、この賃貸物件50%引きの特例は、平成30年4月1日に税制改正が行われました。相続が発生する3年以内に購入した不動産には、この特例が使えなくなりました。

 

亡くなる直前に賃貸不動産を購入して相続税対策をしようとする人を封じるための改正ですね。

 

税制改正について詳しく知りたい人は↓の記事をご覧くださいませ!

【平成30年改正】小規模宅地の貸付事業

平成30年4月1日から小規模宅地の貸付事業用の特例が税制改正されました。相続発生前3年以内に新たに貸付けした賃貸物件は特例が使えなくなりました。ただ5棟10室という事業的規模がある方は、これまで通りです。イラストを使いながらわかりやすく解説しました。

週刊ポストより貸付事業用の税制改正について取材を受けました

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