株主の権利何ができる?

こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!

株主は会社に対して、どういったことができるのでしょうか?

代表的なものには、株主総会で議決権を行使できるや配当金をもらえるなどが、思い浮かぶと思います。

そのほかにも、株式の所有割合に応じて、できることがあります!

しかも、その所有割合は、一人で満たす必要がなく、複数の株主で要件を満たす場合は、連名で行使することができます。

株主の権利はかなりたくさんあるので、今回は、その中でも主なものをピックアップして、分かりやすく解説していきます。

なお、所有割合だけでなく、所有期間なども要件になる権利もありますので、ご注意ください!

最後までお読みいただければ、株主の権利が分かるようになりますよ♪

目次
  1. 1.1株でも持っていればできること
  2. 2.議決権の1%以上を持っている株主ができること
  3. 3.議決権の3%以上を持っている株主ができること
  4. 4.議決権の10%以上を持っている株主ができること
  5. 5.議決権の33.4%(3分の1超)を持っている株主ができること
  6. 6.議決権の50.1%(過半数)を持っている株主ができること
  7. 7.議決権の66.7%(3分の2以上)を持っている株主ができること
  8. まとめ

1.1株でも持っていればできること

株主総会の決議に加わることができる権利(議決権)

(会社法105条1項3号)

株主の権利として、最もイメージしやすいものではないかと思います。

会社の持ち主は、社長ではなく、株主です。

そして、株主が集まって意思決定する株主総会が、会社の中で最高意思決定機関です。

その株主総会で決議に加わる権利は、株主にとって最も基本的な権利といっても過言ではありません。

配当金をもらうことができる権利(配当請求権)

(会社法105条1項1号)

議決権と並んで、イメージしやすい権利であると思います。

上場株式を所有していると決算の3か月後くらいに配当金がもらえると思います。

出資に対する金銭的な見返りとして、重要な権利ですね。

会社が解散したときに残余財産をもらうことができる権利(残余財産請求権)

(会社法105条1項2号)

繰り返しになりますが、会社の持ち主は、社長ではなく、株主です。

ですので、会社が解散して、清算し終わったあとに残った財産は株主のものになります。

その残った財産をもらうことができる権利です。

株主総会で議案を提案できる権利

(会社法304条)

まず、「議題」と「議案」の違いについて、説明しなければなりません。

議題は、株主総会で議決すべき事項となっていることを指します。

議案は、議題について、議決する対象となる案を指します。

例えば、「取締役選任の件」が議題で、「Aを取締役に選任する」が議案です。

この場合、「Bを取締役に選任する」という議案を提案できます。

「監査役選任」など別の議題や、「Bを監査役に選任する」という議題になっていない議案を提案することはできません。

法令や定款に反しない限り議案を提案することができますが、10分の1以上の賛成が得られなかった場合は3年間同じ議案を提案することはできません。

計算書類等を見ることができる権利

(会社法442条3項)

計算書類等の閲覧を会社に請求することができます。

計算書類等とは、計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)と事業報告書並びにこれらの附属明細書を指します。

定款を見ることができる権利

(会社法31条2項)

定款の閲覧を会社に請求することができます。

株主名簿を見ることができる権利

(会社法125条2項)

株主名簿の閲覧を会社に請求することができます。

株主代表訴訟を提起する権利

(会社法847条)

会社に対して役員等の責任を追及する訴え等を提起するよう請求することができます。

なお、会社がこの請求から60日以内に訴えを提起しない場合は、株主が、会社のために訴えを提起することができます。

取締役の違法行為を差し止め請求する権利

(会社法360条)

取締役が、会社の目的の範囲外の行為や、法令や定款に違反する行為をした場合、またはするおそれがある場合に、当該取締役に、その行為をやめるよう請求することができます。

会社が新規に株式を発行するのを差し止め請求する権利

(会社法210条)

会社の新株発行が、法令や定款に違反する場合や、著しく不公正な方法で行われる場合は、その新株発行をやめるよう請求することができます。

株主総会で行なわれた決議の取り消しの訴えを提起する権利

(会社法831条)

株主総会の日から3か月以内であれば、以下の場合は、決議の取り消しの訴えを提起することができます。

・招集手続きや決議の方法が、法令や定款に違反する、もしくは著しく不公正な場合

・決議の内容が定款に違反する場合

・特別の利害関係を有する者が議決権を行使したために、著しく不当な決議がなされた場合

2.議決権の1%以上を持っている株主ができること

株主総会の議題を提案できる権利

(会社法303条)

議題は、株主総会で議決すべき事項となっていることを指すと、説明しました。

例えば、「取締役選任の件」などです。

会社が議題としていない事項についても、議題にすることを、会社に請求することができます。

ただし、株主総会の8週間前までにする必要があります。

なお、取締役会を設置していない会社では、1株でももっていれば、行使できます。

株主総会で提出する予定の議案を、株主に事前に通知するよう要求する権利

(会社法305条)

議案は1株でも持っていれば提案できると説明しましたが、その議案を事前に提案して、ほかの株主に通知することを会社に請求することができます。

こちらも、株主総会の8週間前までにする必要があります。

なお、取締役会を設置していない会社では、1株でももっていれば、行使できます。

株主総会の招集手続きなどについて検査役を選任するよう求める権利

(会社法306条)

ここでの検査役とは、招集手続きや決議方法が適正に行われているか調査する人で、裁判所が選任した人です。

株主総会について、会社と株主がもめそうな場合に、事前に裁判所に検査役の選任を請求しておきます。

3.議決権の3%以上を持っている株主ができること

会社の会計帳簿等を閲覧させるよう要求する権利

(会社法433条)

会計帳簿等の閲覧を会社に請求することができます。

計算書類等は1株でも持っていれば閲覧できますが、会計帳簿等の閲覧は要件が厳しくなります。

会計帳簿等とは、計算書類等の基礎となる帳簿やその関係資料で、仕訳帳や総勘定元帳、補助簿、さらには伝票なども含みます。

株主総会を招集するよう要求する権利

(会社法297条)

会社に株主総会を招集するよう請求できます。

なお、この請求をしても会社が株主総会を招集しない場合には、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができます。

会社の業務執行に関して検査役の選任を要求する権利

(会社法358条)

ここでの検査役とは、会社の業務の状況や財産の状況について調査する人で、裁判所が選任した人です。

会社の業務執行に関して疑いがある場合に、株主に代わって検査役が調査してくれます。

会社の役員を解任する訴えを提起する権利

(会社法854条)

役員の職務執行に関して不正や法令違反などがあるにも関わらず、解任する旨の議案が株主総会で否決された場合に、解任の訴えを裁判所に提起することができます。

4.議決権の10%以上を持っている株主ができること

会社解散の訴えを提起する権利

(会社法833条)

次の場合で、やむを得ない事由があるとき、会社の解散の訴えを提起することができます。

・会社の業務執行が著しく困難な状況で、回復することができない損害が生じた場合、または生じるおそれある場合

・会社の財産の管理や処分が著しく不当で、会社の存立が危うい場合

5.議決権の33.4%(3分の1超)を持っている株主ができること

株主総会で特別決議を否決する権利

特別決議とは、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となる決議です。

これに対して、普通決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席した株主の議決権の過半数の賛成が必要となる決議です。

特別決議の方が要件が厳しく、以下のような会社の重要事項を決める際に必要とされます。

定款の変更

非公開会社の新株発行

資本金の減少

合併などの組織変更

解散

このように重要事項を決定する特別決議ですが、3分の1超を持っている株主にとっては、ほかの株主が全員賛成しても、3分の2に届かないので、特別決議を否決に持ち込めるというわけです。

6.議決権の50.1%(過半数)を持っている株主ができること

株主総会で普通決議を可決する権利

会社法や定款に定めがない場合、株主総会の決議は、普通決議です。

過半数を持っていると、ほかの株主が全員反対しても、単独で普通決議をすることができます。

7.議決権の66.7%(3分の2以上)を持っている株主ができること

株主総会で特別決議を可決する権利

特別決議を否決できる権利の裏返しですが、3分の2以上を持ていると、ほかの株主が全員反対しても、単独で特別決議をすることができます。

なお、特別決議より、ハードルの高いものとして、以下のものがあります。

特殊決議

すべての株式に譲渡制限(※)を付す場合には、議決権のある全株主の半数以上、かつ、全議決権の3分の2以上の賛成が必要となります。

頭数の要件があり、議決権の大多数を持っていても、単独で成立させることはできません。

また、出席した株主の議決権ではなく、全議決権の3分の2以上というところもポイントです。

株主ごとに異なる取扱いをする定め(※)を設ける場合には、全株主の半数以上、かつ、全議決権の4分の3以上の賛成が必要となります。

総株主の同意

全株主の賛成が必要な事項もあります。

例えば、すべての株式に取得条項(※)を付す場合です。

(※)種類株式等について、詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

まとめ

今回は主なものをピックアップしましたが、それでもこれだけたくさんあります。

オーナーがどれくらいの議決権を持っておくべきか、親族以外の人にどれくらい議決権を渡してもいいのかなど、議決権の比率を考える際には、ぜひ参考にしてください。

一般的に3分の2以上持っておくとよいと言われるのは、特別決議をすることができ、会社の重要事項もある程度、自由に決めることができるからです。

私たち、円満相続税理士法人では、議決権割合を考慮した事業承継のご相談などを行っていますので、こちらもご覧ください。

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また、最も基本的な権利である、議決権、配当請求権、残余財産請求権などについて、異なる取扱いをすることができる種類株式というものも、会社法には用意されています。

≫種類株式について、詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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