医療法人の相続税対策!持分の評価を下げる4つの方法!

皆さんこんにちは。

円満相続税理士法人、税理士の加藤です。

医療法人の相続税対策を考えたときに、まず初めに意識しなければならないのは持分の評価額です。

医療法人は法律で配当が禁止されているため内部留保が増えてしまい、持分の評価も上昇してしまいます。

この持分の換金が容易であればいいのですが現実は難しいので、医療法人の持分所有者が亡くなった場合、相続税の納税資金などで困るケースが非常に多いのです。

そこで今回は、医療法人の相続対策の一つである、持分の評価を下げる方法を4つ紹介いたします。

持分の評価を引き下げることで、相続税を減らすことが出来たり、引き下げた時点で後継者に持分を贈与することも出来るので、医療法人の相続対策を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。

持分の評価を下げる=利益を下げる

医療法人の持分評価を下げるためには、利益を下げることが最も重要になります。

それは、医療法人持分の評価方法が、通常の非上場株式の評価と異なる点があるからです。

通常の非上場株式の評価(類似業種比準価額)は

・配当金の金額

・利益の金額

・純資産の価額

という3つの要素で計算をしていきます。

しかし、医療法人の場合には配当が禁止されているので

・利益の金額

・純資産の価額

という2つの要素で計算をしていくことになり、利益の対策の影響が通常よりも大きくなることが多いのです。

もちろん単純に利益を下げれば良いというわけではないですが、医療法人の持分評価対策は、利益の引き下げ対策と同一と言っても過言ではないかもしれません。

具体的な利益引き下げ方法

これからは、具体的にどのようにして利益を引き下げるかを紹介していきます。

役員退職金

利益の引き下げ対策の一つ目は、退職をする役員に対して退職金を支給することです。

役員退職金は適正な金額であれば全額を費用(専門的には損金といいます)にすることが出来ます。

長年勤めてきた役員の方の退職金は高額になることが多いので、退職金の支給前後で持分の評価額が大きく変わります

もし退職が近い役員の方がいる場合には、退職金を支給した後に持分の贈与などを行うことで、税金を減額することが出来ます。

また退職金については、相続税の納税資金にすることも出来るので、その点も大きなメリットです。

~適正な金額とは?~

役員退職金の適正な金額は、ケースバイケースのため、一概にこれが正解というものはありません。

しかしながら、これまでの判例や通例で、実務的には次のような算式をもとに計算することがあります。

退職時の報酬月額×勤続年数×功績倍率

功績倍率についても明確な基準があるわけではないのですが、おおよそ3倍くらいを目途にする場合が多いように思います。

含み損のある財産の売却

利益の引き下げ対策2つ目は、含み損がある財産を売却する方法です。

例えば昔1億円で買った土地が、今は6,000万円の価値しかない場合などが当てはまります。

この土地については、売却をしなければ1億円が帳簿価額に計上されているままですので、特に利益に影響はありません。

しかしこの土地を売却すると、土地売却損として4,000万円(1億円―6,000万円)を費用にすることができ、利益を引き下げる効果が生まれます。

もし医療法人の対策を検討する中で、含み損がある資産がある場合には、売却して損失を表面化することを考えておいても良いかもしれません。

生命保険の活用

利益の引き下げ対策3つ目は、生命保険の活用です。

生命保険の保険料については保険の種類にもよりますが費用にすることが出来ます。

また、将来の退職金や払戻請求を受けた時の原資を確保する手段としても、非常にメリットが大きいものとなります。

会社の資金の中で余裕がある部分は保険にして積み立てなどを行う事により、利益の引き下げと将来の必要資金を確保することが出来ますので、検討の余地はあるかと思います。

ただし、保険については保険料を支払った時は費用になりますが、逆に保険金が払い戻されたときは利益になってしまうので、最終的には節税効果が無いことは認識しておきましょう。

大規模修繕

利益の引き下げ対策4つ目は、病棟などを大規模修繕する方法です。

病棟などの修繕については大きな金額を必要としますが、費用にすることが出来ますので利益の引き下げにつながります。

また、病棟が綺麗になることによって経営の面でもプラスに働くことも十分あり得ますので、将来への投資という側面もあります。

もし現時点で劣化している個所があるときは、持分の贈与などをする前に修繕してしまうと良いかもしれません。

引き下げた後はどうする?

これまでは利益を引き下げる方法について紹介してきました。

それでは実際に引き下げをした後はどのようにすればよいでしょうか?

確かに利益を引き下げて持分評価が下がることによって、将来の相続税は減少するかもしれません。

しかし、実際に相続が発生するまでに、また利益が積み重なってしまうと、せっかくの対策の効果が薄れてしまいます。

そこで、大きな引き下げ対策を行った後は、その引き下げた後の評価額で贈与をしてしまう方法があります。

特に相続時精算課税制度は令和6年より改正があり非常に使い勝手が良くなったので、ぜひ検討していきたいところです。

贈与をした方が良いのかなどのシミュレーションは、一度税理士に依頼していただくのが良いでしょう。

持分評価対策をしても問題が解決できない場合

医療法人の持分評価を引き下げる方法を紹介してきましたが、どの方法も限界があるのが現実です。

そのため、対策を色々と行ったものの、それでも持分の評価が高すぎて相続税などの負担が回避できない場合もあり得ます。

そのような時は、持分なし医療法人に移行することも検討すべきかと思います。

持ち分あり医療法人や持分なし医療法人については、次のブログで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ただし、持分なし医療法人に移行するときに要件を満たしていないと、多額の税金が発生する可能性がありますので、こちらも可能であれば税理士に相談をしつつ進めていくことをお勧めします。

まとめ

今回は医療法人の相続対策について解説をしてきました。

医療法人については普通の法人とは異なる部分があり、その評価額も年々増加する可能性が高いです。

現時点では問題になっていないような場合でも、10年後や20年後には大きな問題になる可能性もあります。

もし医療法人の相続対策でお困りのことがあれば、弊社にご相談いただければと思います。

相続税を専門としている税理士が最初から最後まで対応いたしますので、何かあればお気軽にお問い合わせください。

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