円満相続税理士法人 公認会計士・税理士
在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人、コンサル、公務員を経て、円満相続税理士法人へ入社。相続・事業承継のプロとしてご家族のサポートができるよう業務に携わっています!
こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!
今回は、軍用地の相続税評価について、取り上げたいと思います。
軍用地とは、米軍基地や自衛隊施設として使用されている土地のことを言います。
沖縄県では、軍用地のうち、個人所有のものも少なからずあり、軍用地をお持ちの地主さんもいらっしゃいます。
個人所有の軍用地については、国が所有者から借りており、軍用地の所有者には、国から借地料が支払われています。
そんな特殊な土地ですが、相続税評価も通常の土地とは少し違った方法で行っていきます!
そこで、今回は、軍用地の相続税評価の方法について解説していきます♪
軍用地とは?
簡単に言うと、米軍基地や自衛隊施設として使用されている土地のことを言います。
軍用地をお持ちの方は、国に土地を貸しており、国から借地料をもらっています。
軍用地のメリット・デメリット
借り手が国なので、借地料の滞納リスクや空室リスクがない
借地料が毎年値上がりしている
実際の取引価額と相続税評価額に乖離がある
返還されれば、普通の土地になる
一般的な不動産投資と比べて利回りが低い
借地料の支払いは基本的に年1回
相続税評価の方法(基本形)
それでは、本題の軍用地の相続税評価の方法について、解説していきます。
まず、押さえていただきたい、基本形は、
軍用地の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 公用地の倍率 × ( 1 - 40% )
です。
公用地って何ですか?
公用地≒軍用地 と考えてもらっても大丈夫です!
「公用地」という新しい用語が出てきましたが、国税庁は以下に該当する土地を「公用地」と呼び、評価方法を定めています。
(1) アメリカ合衆国の軍隊の用に供されている土地
(2) 自衛隊の施設の用に供されている土地
(3) 那覇空港施設の用に供されている土地
(4) 未買収となっている国道、県道、市町村道で賃貸されている土地及び返還された陸軍貯油施設のうち通称パイプラインの用に供されていた土地で道路の用に供されている土地
つまり、軍用地は、「公用地」に含まれるものですので、以下では「公用地」と表記します。
さて、基本形の計算式に戻っていただきますと、「固定資産税評価額」と「公用地の倍率」が分かれば計算できてしまいます!
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、市町村から毎年送られてくる固定資産税の課税明細書を確認すれば、把握できますので、問題は、公用地の倍率です。
公用地の倍率
実は、公用地の倍率は、国税庁のHPで公表されています。
方法さえ分かればすぐに確認できますよ!
国税庁のHPの画面を示しながら、順に説明していきますので、このまま読み進めてください。
1.国税庁の路線価図・評価倍率表のページで「沖縄県」をクリックする。
https://www.rosenka.nta.go.jp/
2.「雑種地の評価(公用地用の評価倍率表を含む)」をクリックする。
3.公用地用の評価倍率表から該当する倍率を見つける。
以下が公用地用の評価倍率表です。
例えば、那覇市の陸上自衛隊那覇駐屯地で、地目が畑の場合、倍率は4.5(令和5年分)となります。
このとき、注意していただきたいのは、地目は、登記地目(登記簿上の地目)で判定するということです。
土地の相続税評価を行う場合、通常は現況地目で判定するので、要注意です!
なお、登記簿上の地目が途中で変更されている場合は、公用地に供された時(要は、軍用地として使われ始めた時)の登記簿上の地目で判定します。
これで基本形の計算は問題なくできるかと思います。
以下では、例外パターンを2つ、ご紹介していきます。
相続税評価の方法(例外1)
1つ目の例外は、以下の2つともに該当する場合です。
1.公用地が伊江村・恩納村・宜野座村・金武町・国頭村・久米島町にある場合
2.固定資産税評価額の評価上の地目と、登記簿上の地目が異なる場合
これらに該当する場合は、固定資産税評価額をそのまま使うのではなく、その公用地が登記簿上の地目であるとした場合の固定資産税評価額に相当する価額を使用します。
ややこしくなってきましたが、固定資産税の課税地目が宅地で、登記地目が畑の公用地があったとした場合、
宅地の固定資産税評価額 × 畑の倍率 ではなく、
畑の固定資産税評価額に相当する価額 × 畑の倍率 というように、
固定資産税評価額も、倍率も、畑でそろえてくださいということです。
登記地目の固定資産税評価額に相当する価額は、所在の町村役場で確認することができます。
例えば、伊江村では、宅地の倍率が4.4(令和5年分)に対して、畑の倍率は256(令和5年分)です。
そもそも評価額が高い宅地の固定資産税評価額を、256倍もしてしまったら、評価額がものすごく高くなってしまいますので、要注意です!
宅地よりも評価額の低い、畑の固定資産税評価額に相当する価額を、256倍するのが正解となります。
相続税評価の方法(例外2)
2つ目の例外は、返還予定がある場合です。
返還予定がある場合は、基本形の計算式の最後の「40%」が返還までの年数によって変わります。
具体的には以下のとおりです。
・10年以下 → 5%
・10年超 15年以下 → 10%
・15年超 20年以下 → 20%
・20年超 25年以下 → 30%
・25年超 30年以下 → 40%
・30年超 35年以下 → 50%
・35年超 40年以下 → 60%
・40年超 45年以下 → 70%
・45年超 50年以下 → 80%
・50年超 → 90%
まとめ
今回は、軍用地の相続税評価について、解説しましたが、意外に簡単だったのではないでしょうか?
地主さんは財産のうち、土地の占める割合が大きく、金融資産は少ししかないという状況もよくありますので、納税資金対策や、あわせて、相続対策について検討することも大切です。
≫地主さんの納税資金対策について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
軍用地のお持ちの地主さんは、相続に強い税理士に相談してみることをオススメします!
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最後までお読みいただきありがとうございました!