円満相続税理士法人 公認会計士・税理士
在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人、コンサル、公務員を経て、円満相続税理士法人へ入社。相続・事業承継のプロとしてご家族のサポートができるよう業務に携わっています!
相続したあとに、実家の不動産や金地金など、相続財産の売却を検討される方も多くいらっしゃると思います。
そんなときに不安になるのが、所得税のほかに、来年の社会保険料がどうなるのかという点です。
相続のプロを目指すなら、相続財産を売却したときに、来年の社会保険料がどうなるのか、説明できるようにしておきましょう。
社会保険の被保険者の分類
まずは、どのような社会保険に加入しているパターンがあるのか、主なものを確認しておきましょう。
かっこ書きは、年金保険における呼称です。
国民健康保険(第1号被保険者)
健康保険(第2号被保険者)
健康保険加入者の被扶養者(配偶者:第3号被保険者)
後期高齢者医療保険
後期高齢者医療保険は、75歳以上の方が加入するもので、75歳未満の方のうち、サラリーマンなど、お勤めの方は、健康保険に加入しており、その扶養親族も健康保険の対象となります。
それ以外の方、個人事業主や無職の方などが、国民健康保険に加入しています。
国民健康保険(第1号被保険者)
国民年金保険料は一律ですが、国民健康保険料は、前年の所得によって決定されます。
従って、相続財産を売却して、もうけが出た場合は、来年の国民健康保険料が上がってしまいます。
<大阪市国民健康保険条例>
(一般被保険者に係る基礎賦課額の所得割額)
第13条 一般被保険者に係る基礎賦課額の所得割額は、一般被保険者に係る賦課期日の属する年の前年の所得に係る地方税法(昭和25年法律第226号)第313条第9項中雑損失の金額に係る部分の規定の適用がないものとして算定した同法第314条の2第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額並びに他の所得と区分して計算される所得の金額(略)の合計額から地方税法第314条の2第2項の規定による控除をした後の総所得金額及び山林所得金額並びに他の所得と区分して計算される所得の金額の合計額(以下基礎控除後の総所得金額等という。)に、第14条の所得割の保険料率を乗じた額とする。
健康保険(第2号被保険者)
会社などにお勤めの方の社会保険料は、標準報酬月額という月収で、決定されます。
従って、会社からもらうお給料が増えない限りは、そのほかにどのような収入や所得があっても、社会保険料が変わることはありません。
<健康保険法>
(被保険者の保険料額)
第百五十六条 被保険者に関する保険料額は、各月につき、次の各号に掲げる被保険者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 介護保険法第九条第二号に規定する被保険者(以下「介護保険第二号被保険者」という。)である被保険者 一般保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率とを合算した率をいう。)を乗じて得た額をいう。以下同じ。)と介護保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ介護保険料率を乗じて得た額をいう。以下同じ。)との合算額
二 介護保険第二号被保険者である被保険者以外の被保険者 一般保険料額
健康保険加入者の被扶養者(配偶者:第3号被保険者)
健康保険加入の扶養家族は、自身で保険料を支払う必要がありません。
130万円の壁といわれる、扶養から外れるラインを超えてしまうのかどうかということが関心事かと思います。
現在、年収130万円未満のパートで、被扶養者となっている方が、相続財産を売却して、130万円を超えそうだという場合、基本的には一時的なものは収入から除かれますので、扶養から外れることは基本的にはありません。
※基本的にはというのは、各保険者により取り扱いが異なりますので、詳しくは、各保険者にご確認ください。
なお、税務上の扶養に該当するか、要は配偶者控除や配偶者特別控除が受けられるかどうかは、一時的なものなど関係なく、すべての所得で判定しますので、もうけが出た場合は、控除を受けられなくなる可能性があります。
後期高齢者医療保険
後期高齢者医療保険料も、国民健康保険料と同様に、前年の所得によって決定されます。
従って、相続財産を売却して、もうけが出た場合は、来年の後期高齢者医療保険料が上がってしまいます。
<大阪府後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例>
(保険料の所得割額)
第5条 前条の所得割額は、地方税法(昭和25年法律第226号)第314条の2第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額並びに高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号。以下「令」という。)第7条第1項第1号に規定する他の所得と区分して計算される所得の金額(以下この条において「他の所得と区分して計算される所得の金額」という。)の合計額から地方税法第314条の2第2項の規定による控除をした後の総所得金額及び山林所得金額並びに他の所得と区分して計算される所得の金額の合計額(以下「基礎控除後の総所得金額等」という。)に第1号に掲げる額を第2号に掲げる額で除して得た率(以下「所得割率」という。)を乗じて得た額とする。
私たち、円満相続税理士法人では、相続財産の売却のアドバスも相続税申告業務の一環として行っています。こだわりの相続税申告について、こちらもご覧ください。