円満相続税理士法人 公認会計士・税理士
在学中に公認会計士試験に合格し、監査法人、コンサル、公務員を経て、円満相続税理士法人へ入社。相続・事業承継のプロとしてご家族のサポートができるよう業務に携わっています!
会社は長男に、不動産は長女に残そう!
こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!
事業承継の失敗事例シリーズの第4弾です。
今回は、会社に個人資産を貸している場合の事業承継について、取り上げます。
どういったリスクがあるのか、詳しく解説していきます。
ケース4
家族構成
父、長男、長女の3人家族です。母は既に他界しています。
父は、もともと個人事業主として、小売業を営んでいましたが、事業拡大に伴い法人化しました。
このとき、店舗は会社に移転せず、個人で所有したまま会社に賃貸する形で、経営していました。
長男は父の会社で後継者として、働いていますが、長女は会社には全く携わっておらず、継ぐつもりもありません。
父の財産は、創業した会社の株式5,000万円、会社に貸している店舗3,000万円、現金2,000万円です。
事業承継
会社は長男に、不動産は長女に残そう!
ということで、長男と長女それぞれに財産を残すことができるよう、長男には会社の株式を長女には店舗を相続させ、現金は2分の1ずつするように、遺言書を残しました。
娘も賃料収入が入るし、安心だ
長男だけでなく、長女にも収益を生むものを残せて、安心と思っていましたが・・・
相続発生
そうこうしているうちに、父に相続が発生してしまいます。
その後、長男と長女の仲が悪くなり、賃料の増額要求をされたり、店舗の高額買取要求をされたりと、父が創業した会社の経営が悪化していきます。
対策
今回の事例でいうと、以下のような対策が考えられます。
遺留分を侵害していても、長男に店舗も相続させる
上記と合わせて、株式を生前贈与し、遺留分の民法特例(除外合意)を使う
生前に、会社が店舗を父から買い取る
遺留分とその民法特例については、失敗事例第3弾をご覧ください。
今回は、「生前に、会社が店舗を父から買い取る」について、解説していきます。
会社が不動産を個人から買い取る
基本は時価で売買
基本は、個人から会社に時価で売り渡します。
このとき、以下の点に留意する必要があります。
個人側では、譲渡所得税(約20%)が発生
会社側では、不動産取得税と登録免許税が必要
時価>相続税評価額により、相続財産が増加する可能性
純資産価額方式において、当該不動産は、購入後3年間、時価で評価
時価より低い価額で売買
資金繰りや相続財産の抑制のため、あえて時価より低い価額で売買する場合は、上記に加えて、以下の点に留意する必要があります。
個人側では、時価の2分の1未満の場合、時価で売却したものとみなされる(みなし譲渡課税)
会社側では、時価と購入額との差額が受贈益として課税
他の株主がいる場合には、みなし贈与課税の可能性
相続財産の現金化もメリット
会社が不動産を取得することで、自社所有の店舗で経営することができ、経営が安定します。
それに加えて、父の財産が不動産から現金に変わることもメリットの1つです。
店舗を会社に売却して、仮に税引き後で3,000万円の手残りがあったとすると、父の相続財産は、創業した会社の株式5,000万円、現金5,000万円となり、分けやすく、遺留分対策もしやすくなります。
最後に
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最後までお読みいただきありがとうございました!