事業承継の失敗事例

これまでどおり兄弟仲良く、会社を引き継いでほしい!

こんにちは、円満相続税理士法人の中岡です!

事業承継の失敗事例シリーズの第2弾です。

今回は、共同経営のリスクについて、取り上げます。

子供2人に事業承継をしたい場合のリスクと対策について、詳しく解説していきます。

ケース2

家族構成

父、母、長男、二男の4人家族です。

父は、創業した会社のオーナー社長で、長男も二男も父の会社で取締役として、一生懸命働いていました。

事業承継

引退を考えた父は、事業承継を考えます。

社長を譲るから、私は会長としてしばらく見守ろう

父は、代表取締役社長を退き、代表権のない取締役会長となり、長男が代表取締役社長、二男が代表取締役副社長に就任します。

そして、会社の株式100株のうち、長男には51株、二男には49株を事業承継税制を使って贈与しました。

長男と二男で、差をつけたくありませんでしたが、万が一のことも考えて、長男を優先して1株だけ差をつけて、過半数になるようにしました。

これまでどおり兄弟仲良く、会社を引き継いでほしい!

父のその言葉どおり、社長となった長男と副社長となった二男は、力を合わせて、会社を成長させていきます。

万が一、意見が合わないことがあっても、長男が51%を所有しているので、二男が折れてくれるだろうと考えていました。

相続発生

そうこうしているうちに、父に相続が発生してしまいます。

その後、兄弟の仲が悪くなり、二男は会社を辞め、退職金を取るとともに、会社に対して多額の配当金を要求したり、株式の買取を請求したりしてきて、長男も社長業どころではなくなってしまいました。

対策

経営権は一人に集約する

株式は社長を譲った長男一人に100%承継しておくという方法もあります。

その場合は、他の財産で、相続財産のバランスを取る必要があり、財産の中に占める株式の割合が大きい場合は難しさもあります。

それぞれをオーナー社長とする

会社分割を行い、2社に分割してから、それぞれを事業承継する方法や、M&Aで他社を買収したのち、それぞれを事業承継する方法などがあります。

以下では、会社分割により事業承継を行う場合の手順やデメリット・リスクを解説していきます。

会社分割による事業承継

手順

まず、父が所有する会社を、会社分割(分社型分割)の手法を使って、2社に分割します。

例えば、製造部門と販売部門があった場合、製造会社と販売会社に分けるイメージです。

そして、それぞれの会社の社長を、長男と二男にそれぞれ任せます。

その後、父の持つ2社の株式を、長男と二男それぞれに100%ずつ承継させます。

こうすることで、長男と二男は二人ともオーナー社長として、互いの干渉をあまり受けずに経営することができます。

デメリット・リスク

シナジーの希薄化

これまで1社で行ってきた事業を2社に分けて行うので、補完機能が低下し、これまで通りの利益が上げられなくなるリスクがあります。

また、2社の取引関係がある場合は、完全に独立して経営することは不可能であり、やはり兄弟仲が悪くなったときに、正常な取引が継続できなくなるリスクはあります。

そのため、会社分割後に独立採算が成り立つか、相互依存・補完関係はどの程度か、取引先や従業員への影響などを総合的に検討する必要があります。

株価の上昇

以下のことにより、株式の相続税評価額が上昇する可能性があります。

・会社規模の縮小

・会社分割により新しく設立される会社は、3年間、類似業種比準価額方式を使えない

・会社分割する方の会社も、事業内容が変化し、3年程度は類似業種比準価額方式を使えない

会社維持コストの増加

管理部門のコストや会社維持のための間接経費など、これまで1社分で済んでいた経費が、2社分となり全体としてコスト増になってしまいます。

最後に

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