円満相続税理士法人 代表税理士
『最高の相続税対策は円満な家族関係を構築すること』がモットー。日本一売れた相続本『ぶっちゃけ相続』シリーズ19万部の著者。YouTubeチャンネル登録者10万人。
こんにちは、円満相続税理士法人の橘です。
私は2011年の税理士試験で官報合格(簿財法消固)しました。
受験歴と合格科目は下記の通り。
比較的スムーズに合格できた方だと思いますが、見てわかる通り、固定資産税に相当苦しめられました…。
4年目の受験の時は、固定資産税をやめ、相続税法を一から勉強するか、真剣に悩みました。
相続税は実務でも使いますし、固定資産税よりも勉強してて楽しそうだと思ったからです。
しかし、私の父から
これまで勉強してきた科目があるなら、絶対にそちらを優先させるべき!
4科目止まりで、最後の1科目に合格できない人が山ほどいる!
さっさと税理士試験を終えてから実務の勉強をした方がよっぽどいい!
と説得されました。
※父は税理士業界の人間ではないのですが、何故か税理士試験に詳しかったです。
今振り返ってみると、これは非常に的確なアドバイスだったと思います(感謝)。
税理士業界には、4科目合格以降、最後の1科目が合格できずに何年も止まってしまう人が本当にたくさんいるのです。
今回は、何故、4科目合格で止まってしまうのか、私なりの分析結果をお伝えします。
最大の理由は『気の緩み』
まず間違いないのですが、4科目合格で止まってしまう最大の理由は、気の緩みです。
精神論ですか!?
そうです、精神論です。
しかし、これが本質的な回答だと思います。
私も経験したから分かります。
税理士試験で一番大変だったのは、間違いなく3科目と4科目を取るときでした。
会計科目と比べ、税法科目は受験生のレベルも高く、
簿財には合格できたけど、税法に合格することはできるのかな…
と、いつも不安に思っていました。
4科目合格すると、税理士試験の峠を越えた安心感に包まれます。
法人税も合格できたし、あと少しだ…
応援してくれていた人達からも、
ここまでよく頑張ったわね!あと一歩よ
と称賛されます。
そして同時に、悪魔のささやきが聞こえ始めます。
4科目合格できたし、あと1科目は楽勝だろう
先を見てしまうと、途端に気が緩みます。
税理士試験に合格したら、旅行に行くぞー
まだ合格していないにも関わらず、合格した後の生活がチラつき始めます。
これまで禁欲生活を強いられていたため、強烈な誘惑に感じるのです。
この辛い勉強もあと少しだ…
この気の緩みが、これまでストイックに勉強していた姿勢を崩してしまいます。
理論暗記は直前期から本気出せば間に合うだろう…
こんな緩んだ姿勢で突破できるほど税理士試験は甘くありません。
官報合格を勝ち取るまでは、全てを捨てる覚悟で挑むべきなのです。
4科目合格でドヤってはいけない
俺、もう4科目合格だからね
税理士試験も4科目合格に達すると、他の受験仲間から尊敬の目で見られることがあります。
えー!4科目合格?すごーい!
あの人、官報リーチだ!す、すげぇ…
私も経験があるのでわかります。
大原やTACに友人や知り合いが多い人ほど、注意しないといけません。
確かに、受験仲間からは尊敬されるかもしれません。
しかし、世間からは、0科目合格者と4科目合格者は、『税理士ではない人』という意味で、全く同じに見られます。
いくら自分で、
4科目は受かっているんですけどね
と言っても、
世間の人からは、
税理士の卵さんですか?お勉強頑張ってくださいね
としか思われません。
厳しいかもしれませんが、ご自身のセルフイメージは、できるだけ世間の人のイメージと合わせておいた方がいいです。
4科目合格は凄くありません!ここでドヤってはいけないのです!
※税理士になってからもドヤってはいけないんですけどね。
仕事との両立
受験専念生や学生さんも、4科目合格を機に、税理士法人へ就職する人も多いと思います。
既に働きながら4科目合格に辿り着いた人はわかると思いますが、仕事と勉強の両立は本当に大変です。
税理士業界は基本的に、超多忙ですからね。
特に1月~3月までの確定申告期、3月~5月までの3月決算法人の確定申告期は、恐ろく忙しいです。
仕事でヘトヘトになりながら、税理士試験の勉強をするのはとても過酷です。
試験勉強を前向きにサポートしてくれる事務所でないと、中々厳しいかもしれませんね。
ただ、
僕が合格できない原因は、忙しすぎる会社にあるんだ!
というマインドはよくありません。
BIG4でも、ヤマパでも、働きながら合格する人はいるのです!
環境のせいにするのは簡単ですが、それではあなたの成長が止まってしまいます。
本当に勉強時間が取れない仕事量であれば、勇気をもって上司に相談しましょう。
現実逃避で仕事に逃げる人
また、自覚はないかもしれませんが、仕事に逃げる人もたくさんいます。
これは、仕事に追われ、勉強できない日々が続くと、ライバルにどんどん差を付けられ、その現実を直視したくないがために、
勉強できないのは仕事が多いせいだ…。
落ちたら会社のせいにできるように、仕事をたくさんしよう
と、勉強そっちのけで仕事に没頭してしまうことをいいます。
ただ、これは完全な『逃げ』です。
一度、このスパイラルにハマると、抜け出すのは非常に困難になります。
まずは、現実を直視しましょう。
それが逆転劇への第一歩になります!
実務の勉強の方が楽しく感じる
これは盲点かもしれませんが、実務の勉強は、試験勉強よりも楽しいです。
新しい発見も多く、実際のお客様の税金計算をするのは、スリルや、やりがいもあります。
気を付けるべきは、実務の勉強をするにつれ、税理士試験の勉強を下に見てしまうことです。
こんなの、実務では使わないよね
という感じで。
ただ、よくも悪くも、実務と試験は違います。
試験に合格したいなら、試験に沿った勉強をしないといけません。
少なくとも、あなたのライバルは、試験に沿った勉強に100%コミットしていますよ。
官報調整はある?
最後の1科目に合格できないのは、官報調整があるからと聞きました
税理士試験の官報合格者の数を調整するために、本当は合格点に達しているのに不合格にされるという噂があります(これを『官報調整』といいます)。
私は、この噂は9割方で嘘だと思っています(真相はわかりません)。
官報調整は、気の緩みや、仕事との両立ができずに最後の1科目が合格できない人の言い訳が、都市伝説のように広まったものだと推測しています。
合格する人は最後の1科目もスムーズに合格できますし、合格できない人は10年以上も合格できません。
官報調整は、意識しなくてOKです。
調整に巻き込まれない点数を獲ればいいだけです。
官報リーチを10年以上続けた先輩
私の前職時代の先輩に、官報リーチの状態を10年以上続けている人がいました。
その先輩はよく
別に税理士の資格がなくても、僕はそんじょそこらの税理士よりも税務について詳しい自信がある
と言っていました。
実際に、その通りで、並みの税理士よりも税務に詳しく、仕事もできる人でした。
しかし、その先輩と私で、初めてお会いする方と名刺交換をする際、私の名刺には『税理士』と書いてあるのに、その先輩の名刺には税理士と書いてありません。
先輩は、
橘君と一緒に名刺交換すると、僕が税理士でないことがバレちゃうから嫌なんだよね
と言っていました。
その先輩は、お客様から聞かれない限りは、自分が税理士であると誤解させ、その誤解を自分から解くことはしていませんでした。
現に、お客様からよく『○○先生』と呼ばれていたのに、訂正しないのです。
税理士業界にいない方からすると、このような話は信じられないと思いますが、こういった現象は、日本全国の税理士事務所(税理士法人)で、頻繁に起きています。
つい最近(2021年)も、大手税理士法人の職員が、三菱UFJ銀行で、税理士ではないのに、税理士の名刺を使って営業していたことが週刊新潮に取り上げられていました。
税理士業界は、この辺りの感覚が麻痺していると思います。
お医者さんの世界で、こんなことがあったら大問題です。
看護師さんが、ドクターと同じ服を着て、
では手術を始めますよ~。メスッ!
なんてことは、ありえませんよね!
何故か、税理士業界では、資格がない職員に税務判断の必要な仕事を任せており、それが黙認されています。
私は、この風潮はおかしいと思っていますので、うちの事務所では、税理士(会計士)資格を持った人だけにお客様対応させることを徹底しています。
まとめ
この記事をお読みの方は、官報リーチで止まることなく、早々に官報合格を目指していきましょう。
4科目合格した次の年が、勝負の年です!
集中を切らすことなく、4科目合格に辿り着いた勢いのまま、官報合格まで突っ走っていきましょう。
そして、官報リーチで止まっている人は、もう一度、ご自身を見直してください。
確かに、4科目分の知識と実務経験があれば、一通りのことはできます。
しかし、もしも、あなたのお客様に税務調査が入ったら、税理士の資格がないと税務調査に立ち会うことはできません。実際に私の先輩は、税務調査の際、調査官から退席を命じられていました。
本当の意味でお客様を守るためには、税理士資格が絶対的に必要です。
気を引き締め直して、次の試験で官報合格を勝ち取りましょう。
今回は厳しい論調になってしまいましたが、皆さんの受験を心から応援しています。
勉強頑張ってくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^)/